Whitey DOB25 インプレッション

 

                                                                                               

 

 

 

 

 

< 惑星撮影編 >

 

 

◆土星を撮ってみました(H18.12.16

 

 

とりあえず、惑星撮影の方は軌道に乗ってきましたので、撮影環境も含めてちょこちょこと紹介していきたいと思います。

撮影機材の接続ですが、WB25には42Tネジ(オス)が切られているので、ビクセンのカメラアダプターについている中間リングCとカメラ接続リングをつなげることができます。これに43NST DXカメラアダプターの中間リングCでリレーしてWEBカメラを接続します。

アイピースは、ホタロン時代から使っているPL17mmを引き続き使います。この場合、拡大率は約5.7、合成F約23となります。ホタロンの場合だと口径が小さい分合成Fが33と大きくなり(つまり像が暗くなる)、撮影時にはゲインを高くしてやらないといけませんでしたが、WB25でおおよそ20〜25%ほど低くすることが出来ました。

具体的には、フレームレート15fpsで露出を1/25秒とした場合、ホタロンではゲイン80〜85%なのに対して、WB25だと60%近辺で程よい明るさに調整できます。

 

 

モニタで見る土星像は意外にもしっかりしていることに最初驚きました。口径が大きくおまけに反射式と言うことで、シーイングや筒内気流の影響でホタロンとは比べ物にならないほど悪化するだろうと予想していたのですが、温度順応が十分に出来ていれば30〜40分ほどでカッシニとか赤道帯の縞がはっきり見え、時折ボヤッとするぐらいで、グニャグニャになることはありませんでした。

既に拙ギャラリーでも掲載していますが、実際に撮影してみた結果が下の画像です。ホタロンほどではないにしてもなかなかいいイメージになりました(自画自賛)。大きさは、ホタロンの土星像の約1.3倍程度大きくなったでしょうか。これは基本的にはお互いの倍率の差として表れています。

WB25で撮った土星は、心持ちしっとりした印象があります。おそらく、ゲインが低いためノイズが抑えられていることが一番の理由ではないかと思います。余談ながら、ノイズが少ないと動画ファイルを圧縮したときのサイズにも恩恵があります。ノイズがたくさん乗ると圧縮率が低くなるわけです。したの土星比較画像で、ホタロンで撮ったゲインバリバリの800MBの土星動画は圧縮後120MBしか抑えられなかったのに対し、WB25版の画像の元動画(ほぼ同じ800MB)では、圧縮後40MBになりました。

惜しいのは、処理をきつくすると本体の周辺に変な模様が浮かんでくることです。たくさんの画像をスタックしようと欲張りすぎて、質の悪い画像も引っくるめてしまったのが原因でしょうか。それとも、露出が低いのでしょうか。この辺りは今後の課題といえそうです。

 

 

 

 

 

 

ホタロンで撮影した土星

撮影日:  2006年11月5日04時50分

露出 :   15fps 120秒間の動画撮影

その他:   1683枚をコンポジット

 

WB25で撮影した土星

撮影日:  2006年12月11日02時25分

露出 :   15fps 120秒間の動画撮影

その他:   1537枚をコンポジット

 

 

さて、次はどこまで大きい土星が撮れるかということに挑戦してみたいと思います。大きく撮ろうとすれば当然像が暗くなるので、ゲインを高くしてやらないとならず、ノイズが乗りやすくなってしまいます。その他、コントラストが落ちたり、シーイングの影響が大きくなって「使える画像」が少なくなると言うデメリットも増えてきます。そうならない程度にギリギリ許せる拡大率はどこにあるでしょうか。お次に「大っきい土星」を目指してアイピースを取っ替え引っ替えしてみます。

使うアイピースは、カサイのHi Or12mmとWB25に付属しているPL10mmにしてみます。

まずPL10mmを試してみましたが、これはモニタに映した瞬間にアウト。明らかに過剰拡大でした。アイピースを浮かしてレンズ面からCCD面までの間隔を縮めても、ゲインを100%にしても明るさ・コントラストともに全く上がりません。あっさり却下。

次はHi Or12mmです。こちらの方は割と行けます。アイピースを浮かしてレンズ面とCCD面の間隔を適当に調整すれば、縞模様がはっきりしてきてしかも大きい。後で計算してみたところ、拡大率が約6.5とPL17mmの1.2倍になりますが、パッと見ではそれ以上に大きく感じられます。ゲインは75%と高くなっていますが、これは期待できそう。

ということで、撮ってみた結果がこれです。PL17mmの場合よりも像は甘くなったものの、見られる画像にはなっています。

難点は、拡大率を大きくするとやはり「使える画像」が極端に少なくなることです。下の画像はスタック数が550枚程度と、通常の40%しか使える画像がありませんでした。この拡大率はシーイングが良いときに使える領域と言えそうです。

 

 

 

 

 

 

PL17mmで撮った土星

撮影日:  2006年12月11日02時25分

露出 :   15fps 120秒間の動画撮影

その他:   1537枚をコンポジット

 

Hi Or12mmで撮った土星

撮影日:  2006年12月11日02時40分

露出 :   15fps 120秒間の動画撮影

その他:   554枚をコンポジット

 

 

 

 

◆新しいアイピースを使って土星を撮ってみました(H19.1.12

 

 

昨年12月に入手したLVW13mm使ってみました。LVWはLVシリーズよりも広角で、視界中心から周辺まで像質がよい優れたアイピースです。眼視ではLVW3.5mmを高倍率用として常用していますが、ナチュラルでシャープな像はおそらく撮影においても威力を発揮するんじゃないかなと期待していました。

LVW13mmでの接続構成はこれまでとは違って、

36.4mmNSTアダプター43NST DXの中間リング43NST DXのカメラ接続リング普通の中間リングWEBカメラ

となります。なにしろアイピース本体がでかいですから、普通の構成ではアイピースが入らないのです。

この構成で得られる拡大率は約6.5〜7.1の範囲になり、合成Fは約31.5〜34となります。一番低い拡大率でHi Or12mmとほぼ同じになります。

最初の撮影は12月23日で、以降2007年1月12日時点で4回ほど使用し、まずまずの結果を得ていると思います。LVWはレンズ枚数が多い分光のロスが心配されましたが、実際のゲイン調整は70%程度。拡大率を最大に持って行っても75%ぐらいと、これまでとほぼ変わらない範囲で調整できそうです。モニタ上の像の質は良好ですが、発色はやや黄色みが強いようで画像処理で補正する必要があります。

1月12日に撮影した土星の画像結果を貼り付けます。輪郭のシャープさはこれまで使っていたアイピースと比べても遜色なく、色彩も豊富です。この結果なら、WB25で惑星撮影をする場合、LVW13mmをスタンダードなアイピースとして使っても良さそうです。一度ホタロンでも使ってみようか・・・。

なお、画像処理は全てレジスタックス3を使っています。スタック後の土星像は緑色が強く、RGBのうちG成分を下げてマゼンタ色を強くする必要がありました(それもかなり下げています)。PL17mmやHi Or12mmでは、B成分をちょっと下げる程度で良かったんですけど、この辺りはアイピースの特性なんでしょうねぇ。

 

 

 

単独画像

スタック後(798枚合成)

画像処理後

 

 

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