金 星 食 観 望 大 作 戦
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【賭けに出る】
来る5月29日、日中に金星が月に隠される「金星食」が見られます。惑星が月に隠される、いわゆる「惑星食」はあまり観測したことがありませんし、観望大作戦のネタとしては格好の材料になりますので、これは見逃せない現象です。 これを書いているのは金星食の1週間前のことになりますが、実のところ現象前のミッションをHPに出すべきか出さざるべきか迷っていました。何となれば、5月7日の「水星日面通過」では、本番前の顛末をHPであれこれ書いたまではいいものの、当日はどしゃ降りの天候で撮影も観望もパァとなりましたので、 気合いを入れればまた曇るんじゃないか?と そして、こんな事が続けば、 HPで取り上げないでほしい!と 強烈なクレームが来たあげく、 HP閉鎖に追いやられてしまうのでは?と 心配になってくるのであります。既に週間天気予報では29日は下り坂。降水確率40%と怪しげな臭いがプンプン漂っています。 しかし逆に当日はピーカンになった場合、「気合いを入れると曇る」というマーフィーの法則みたいなジンクスは当てはまらないことになります。賭です。自分はHP閉鎖をする覚悟で賭に出ることにしました。 さて金星食の概要ですが、食は29日午後から始まります。九州では福岡の予報で月への潜入が13時46分頃。月からの出現が15時17分頃。 月齢が27でほとんど新月同然の細さなので、「月を見つけることができるか」が成功への第一歩になります。自分は昼間に新月前の細い月を見たこともなければ、日中に金星を見たこともなく、相当苦労することは目に見えて明らかです。まずは太陽と月の位置関係をしっかり把握しておく必要があるでしょう。 |
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金星食の概要 (アストロアーツの特集ページから引用) |
金星食中の月の高度図 (東京:アストロアーツの特集ページから引用) |
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月への潜入は、月の明縁からとなります。もし金星をちゃんと導入していれば月との接触から完全に隠されるまではまず問題なく見ることが出来そうです。以前紹介した木星食の経験を生かして、潜入の様子をしっかりとデジカメ動画で狙うぜ! 次に出現ですが、木星食の時は出てくる場所を間違って出現の様子を動画で撮ることが出来ませんでした。あの時は、望遠鏡が一つしかなく、しかも倍率を高くしすぎたために出現場所の特定が出来ませんでした。今度はもう一台望遠鏡を取り付けて、金星の出現場所を監視するよう対策を施しましょう。月の暗縁から金星の光が出た瞬間を素早くキャッチしてデジカメへの導入を短縮化します。既にイメージトレーニングでは5秒以内を達成しました(ホンマかいな?)。 そして最大の難関はやっぱり天気。これを少しでも回避するためにここでも出てもらいましょうか、あのてるてる坊主!ジャン↓ 前よりも画像を大きくしてご利益を期待しましょう。29日は頼んますよぉ!? |
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【賭けに勝つ】
いよいよXデーの5月29日がやってきました。見よ!このピーカンの青空。てるてる坊主の御利益絶大?いずれにしても自分は賭に勝ちました。HPの閉鎖の危機はとりあえず回避できそうです。朝からクルマに機材を運び、10時頃現地へ出発。あまりにもクルマが汚れていたのでよっぽど洗おうかと思いましたが、 その効果が昼間に現れたらたまりません 今回は、嵐を呼び込む行為は徹底して禁止です。 現地は西の方角が開けた海の見える丘です。最近は空が本当に澄みわたり、まるで夏を思わせる青さです。海とのコントラストが素晴らしく、到着してしばらくは景色を眺めてささくれだった心にコーティングを施しました。 |
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しかしゆっくりとはしていられません。金星食が始まるまでまだ3時間以上はありますが、やらねばならない準備は山積みです。 機材を組み立てて、メインの望遠鏡にサブ望遠鏡、ファインダーの視野調整を行い、さっそく金星の導入練習です。星図では金星・月と太陽は結構離れているように見えますが、実際は太陽の光が強いために月や金星はかき消されていることが予想されます。しかも、他の星を目印に目的地までたどり着く方法も今回は使えないので、おそらく導入には1時間か1時間半はかかるだろうと踏んでいました。緊張の内にファインダーをのぞいて探索に入ります。 「あ、あった…。(3分後)」 何と言うことでしょう!あっさりと見つかったではありませんか(劇的改造ビフォーアフターのノリ)。 |
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そうなのです。ビギナーズラックとでも言いましょうか、おおざっぱな見当を付けて向けたところに金星が輝いていたのです。ファインダーで見る金星は予想よりもはっきりと輝いていて、これなら見過ごすことはありません。むしろ、金星よりも見つけやすいと思っていた月がどこにあるのか分からないぐらいです。 あとは、デジカメをつないでビデオ撮影の練習をしたり、金星の写真を撮ったりして時間をつぶしました。こんなにあっさり見つかるとは思ってもみなかったので、ほとんど2時間以上カンカン照りの中ボケーッとしてました。 そして迎えた13時40分。そろそろ撮影準備に入る頃合いです。デジカメの液晶画面には金星の明るい像が映し出されました。おそらく今まさに月に隠されようとしているはずです。でも、肝心の月はどこだろう?いくら何でも金星食まで(推測)5分前だから、視野内に入ってていても良さそうなのに、なぜいないんだろう?自分の脳内シミュレーションによれば、この時刻では非常に細い月の輪郭が金星に迫る様子が思い描かれていました。ちなみに、ファインダーでは金星も月もちゃんと見えるから、望遠鏡だと月はもっとくっきりと見えるはず。うーーん、おっかしいなぁ。そうこうする間に13時41分(ここで1枚写真を撮る)、42、43分…。それでも月は見当たりません。 おかしい!まさか、既に視野内に入っているのでは?もう一度副望遠鏡で金星の近くを目をこらして見てみました。 「あ、あった!!」 何と言うことでしょう(同じくビフォーアフターのノリで)!!ものすごーーく細く淡い淡い淡い月が金星のすぐ近くに迫っているではありませんか!単純にコントラストが低くて気付かなかったのです。見たところ、もう月の縁に接触しかけています。慌ててビデオ撮影を始めました。 福岡での潜入時刻が13時46分と言うことだったのでまだ1分近く余裕があると思っていましたが、福岡ではないこの場所では少し潜入時刻が早いみたいです。45分ごろから現象が始まりました。しかも事前に仕入れた情報では、完全に隠れるまで40秒近くかかると言うことでしたが、わずか30秒足らずで見えなくなりました。 早やっ!! デジカメで画像確認していたら、あっという間に見えなくなりサブ望遠鏡で見る暇がありませんでした。ボーゼン…。 |
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金星食直前の様子(13時41分撮影) 金星のすぐ近くに円弧状の月があるのが分かるでしょうか?自分は後でPCで見たときに気付きました。 |
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いやいやボーゼンとしている暇はないのです。 次のターゲットは15時15分頃に月から金星が出てくる出現。これがまた難関です。何しろ月のこの淡さ。暗い縁がどこにあるのか皆目見当が付きません。しかも、時間を追う毎にますます淡くなって望遠鏡ではほとんど見えなくなってしまいました。たしか福岡での予報で出現時刻は15時16分頃、出現に要する時間は30秒足らず(27秒ぐらい)。少しでも発見が遅れると出現の様子がみられないまま終わりそうです。この時点で出現を動画に収めるのはちょっと諦めのムードが漂ってきました。 とにかくファインダーでは月の輪郭が分かるので、ファインダーを頼りに出現するであろう位置を合わせておき、来る金星出現に備えます。 15時10分、副望遠鏡の視野をのぞいて金星の出現の瞬間を待ちます。もちろん視野の中に出てくる保証はどこにもなく、時間が経つ毎に不安増大。14分、15分、ええぇ?まだ出てこないの?さっきは潜入時刻が早かったので出現も早いだろうと思っていたのですが…。 うーーん。違う場所で出てしまったかなぁ、と思ったその時!!(USO!?ジャパンのノリ) 出たぁっ!! ついに視野の少し左上に金星が現れたのです。慌ててデジカメの表示を見ましたがデジカメには写し出されていません。急いで視野を移動してデジカメの動画撮影に入ります。この間5秒!!何とイメージトレーニング通りではないですか!ただ、発見するのに手間取ったのと出現に要する時間が短いことから、記録された動画には本当に出現途中なのかもう出現した後なのか分からんものとなっていました。多分、出現過程の半分は記録されただろうとは思うんだけど…。 ということで、金星食観望計画は見事成功を収めました(自己満足)。水星日面通過のリベンジは果たしたと言っても良いでしょう。 余は大満足です。 スリリングなひとときを味わえた喜びを胸に、恒例のリンガーハットでチャンポンを…、といきたいところですが、今食べると夕食が入らず嫁からクビを締められかねないので、愛して止まないもう一つの食べ物「八っちゃん堂のたこ焼き」を食すのでありました。 (完) |
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勝利のたこ焼き 数あるたこ焼きの中でもY−daが愛する八ちゃん堂のたこ焼き。生地がでかいこともさることながらそれに劣らぬタコの大きさ。しかもでかいキャベツまで入ってちょっぴりヘルシー。 生地はベチャッとしていないので弾力があって、マジでうまいです。 |
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