火 星 観 望 日 記 E

 

 

ToUcam Pro ゲット作戦】

 

                                               

出会と欲望編

 

ということで、デジカメを新調し、さらにはコンポジット処理のソフトも入手したことで、自分の未熟な腕でもそこそこの火星像を得ることに成功しました。

コンポジットは、合成する火星写真の数が多ければ多いほど効果がありますが、あまり時間をかけて撮影枚数を重ねても火星の自転で模様の位置が変化してしまい、まんま合成したらとんでもない結果になります。模様の移動を許容できる時間としては大体15分が目安と言われていて、この制限時間内に出来るだけ多くの画像を撮影することこそコンポジット道の最大のテーマと言えます。

自分の場合、シャッターを押したときにぶれる可能性があるのでセルフタイマーと使って撮影しているので、まずタイマー分だけ時間の制約が出てきます。タイマーは約15秒だから15分なら60枚。もうちっと粘って20分間撮ったとしても80枚。最近覚えた連写機能を使うと20秒間に4枚撮れるので15分間では180枚ですか。

しかし実際に使える画像がどれくらいかと言えば、その半分以下なのです。ひどいと150枚撮ってまともだったのは20枚にも満たなかったことも。これはガックリです。

そのため、コンポジットに使う枚数は多くても70枚、普通は3、40枚程度しかありません。でも、これが普通なんじゃないかなぁ…。

 

そんな考えはアストロアーツの火星投稿ギャラリーで完膚無く否定されてしまいました。コンポジット枚数の桁が違う。300枚とか500枚は当たり前、多いと1500枚とか1700枚とかいうでたらめな枚数まであるではないですか!!

自分は惑星写真なるもの「デジカメ」で撮影するものと思っていたので、どうやって「デジカメ」でこれだけの画像を撮っているのか不思議でなりませんでした。まさか、あのファミコンが生んだ稀代の天才高橋名人の、「1秒間に16連写」を今に受け継いだ人がいるのでしょうか。それともゲームセンターあらしのような人がいて、「炎のコマ」とか「エレクトリックサンダー」とかシュールな技で撮っているのでしょうか。もはや人智を超えているとしか言いようがありません。

ところで、このような膨大な枚数のコンポジットをしている人のデータを見ると、ある共通の記載があることに気付きました。ひとつは「Registax」、もうひとつは「ToUcam Pro」という名詞で、おそらくこれで撮影されているようです。したがいまして、自分の頭にインプットされた内容とは

    ★この世の中には「ToUcam Pro」という、「Pro」用のデジカメがあって、

    ★これだと、500枚とか1000枚とか鬼のような枚数の画像を撮ることが出来る(どのようなメカニズムで撮るのかは別にして)。

 

自分の中に沸々とわき上がる購入欲望。しかし自分はつい最近デジカメを買ったばかり。これだけの性能を持つデジカメならきっと価格もウン十万するに違いありません。この欲望は家庭崩壊の引き金となるには十分すぎです。Y−da家危うし!!

「耐えろ!ここは我慢だ」と必死に自制しつつも、手の方は無関係に「ToUcam Pro」と打ち込みYahoo検索をかけるこの事実!自分はこのとき初めて政教分離ならぬ心体分離を経験しました。

さて検索の結果からいくつかのサイトをチェックしたところ、さらに衝撃の事実が待ち受けていました。何とこの「ToUcam Pro」はデジカメではなく、Webカメラだったのです。いわゆるTV会議などで使用される小型のビデオカメラですね。なるほどこれで動画を撮って動画中の画像をコンポジットするわけか…。うーーん、冷静に考えれば至極もっともな話ではないか。やっぱりこの世にはゲームセンターあらしはいなかったのです。

それに輪をかけてショッキングだったのが、価格が単品で1万円程度(92.5$なのでレートを120円とすると11000円)しかしないことです。

 

                   なにーー!? 1万ちょっとでこの画像ですかっ!!(見たサイトはこちら

 

この時購入欲望指数210%(概算)。買います。それゲット!

もはや自分の思考スピードを凌いで、手の方が勝手に販売元を調査していきます。国内でも取り扱っているようですが、何やら改造費とか他のキットとかと抱き合わせているため価格が3万から5万?そんなに出せるか!!結局海外の販売元のオンラインショップで注文することにしました。このToUcam Pro、今は生産が終了したとかであとは在庫処分だそうです。もしかして既にレアもの?あらら、購入欲望指数が563%。もはやワタシを止めるすべはありませんぞ? 

 

 

 

 


一日千秋編

 

9月3日、早速海外通販でToUcamを注文しました。勘がすっかり鈍ってしまった自分の英語力ですが、辞書を片手にたどたどしくもオンライン入力。ここで、品物の届け先は自分の実家にしました。なぜかって?

デジカメを買ったばかりだというのに、また新しいアイテムを買ったことを知られた日には…(想像モード)。

嫁: 「ちょっと!!またロクでもない機械買って…(ワナワナ)。ワタシと火星とどっちが大切なのよ!!」

と言われるに違いありません。その時、自分は『ああ、こんなにも心配をかけているのか』 と少しばかりの自省心を胸にありったけの笑顔を作り、「こぉいつぅ」とばかりに嫁のおでこを軽くこづいて

 Y: 「決まっているじゃないか。もちろん火星だよ」

とお約束をかますのです。あぁ、この後の修羅場を考えると…とても自宅にToUcamを送れやしない!!

ということで秘密裏のウチに実家に送ろうと思った次第ですが、まぁそんな恐ろしい予想イメージはとりあえず置いといて、オンライン入力の方は一通り必要事項を入力し終えて注文完了。即座に通販先からメール連絡が入りました。オーダの確認と発送予定日の連絡のようです。それによりますと、品物は9月4日に発送し、大体4日から7日間で届くでしょう、というもの。実はここで発送方法が3パターンほどあり、自分が選択したのは一番発送料金が安くて一番日数がかかるUSPS Ground Commercial でした。よく理解したわけではないのですが、日本でいうところのゆうパック?みたいなものですかね。遅いとは言っても高々1週間程度ですから問題はありません。

さて、1週間後の11日。ToUcamが来たのかというと、…来てません。ま、まぁ海外通販だし1日か2日は遅れるかも知れないよね…、一応海外と品物発送をやっている経験上そのくらいの誤差は見ておかないといけません(しかし心中穏やかでない)。

ならばと、それから2日後の13日。…やっぱり来てません。むぅ?これはおかしいぞ!?

 

いや、これ以前からおかしいとは思っておりました。USPSでは品物の発送状況をネットでチェックできるトラッキングサービスがあるのですが、この情報がいつまで経っても見れなかったのです。というのもトラッキング確認コードが連絡されなかったんですね(本来ならば通販先が発送と同時に確認コードを連絡する)。

それでも、一応物は送ってくれているだろうと思っていたのですが、さすがにこれだけ遅れると怪しい臭いがプンプン漂ってきます。そこで、通販先に「予定の1週間経ったけど来ないよ?」とメールを入れたところ、「発送日数はあくまでも目安なので、時間がかかる場合もある。もう少し待ってくれ」との返事が。そしてそのメールに初めてトラッキング用確認コードが記載されてきたのです。

これが何を意味するかお分かりでしょうか。彼らは4日に品物を送ると言いつつ、実際の所今し方送ったばかりなのです。発送が遅れるならそう連絡しろよ!!

トラッキングが確認できるようになってからは逐一発送状況をチェックしました。

  9月○日-----マイアミ倉庫を出発しました (ほほー、遠くマイアミから発送なのか。ところで、マイアミってどこだっけなぁ…)

  9月×日-----マイアミ空港を出発しました (飛行機だと大体1日半ぐらいかな。到着は2日後ってところか)

  9月*日-----日本の空港に到着しました (おお、ついに着いたか。ならば到着は明日かな?と思いきや)

  9月#日-----日本で税関チェックです (そ、そうか。それがあったか。ならば到着は明日になるだろう。いよいよだな。と思いきや)

  9月◇日-----税関チェックを通過しました (ぷぷっ!こういうオチがあったか!!ならばどう考えても明日だろう。と思いきや)

  9月□日-----運送業者に渡りました (かはっ!!まるで牛歩戦術じゃんかっ!!)

と、情報を見たら見たでもどかしい毎日が続くのでした。

結局、ToUcamが実家に届いたのは9月17日。注文から2週間後のことでした。

 

ともあれ、ToUcamが届きました。ハッブル宇宙望遠鏡のような画像が得られるのももうすぐです!!早速自宅に持ち帰り、高鳴る鼓動を必死に抑えながら、箱を空けました。…

 

 

                              こんにちは、目玉オヤジ!!

 

な、なんちゅうスタイリッシュ(?)な。この外観はまさしくゲゲゲの鬼太郎の目玉オヤジを彷彿とさせるではありませんか!!そう、日本のゴジラがアメリカに渡るとトカゲに変貌したように、目玉オヤジもアメリカナイズされたら、きっとこんな風にデフォルメされるんだろうなぁ…。そしてきっと「Hey!Kitaro!!」と叫ぶのだろうなぁ。…

 

 

 

                                前に戻る    観望大作戦に戻る     次に進む