火 星 観 望 日 記 F

 

 

【最終話:ToUcam Pro 撮影奮闘記】

 

晴れてToUcamを入手して、遅ればせながらもこれで動画撮影→コンポジット枚数大幅増→ハッブル宇宙望遠鏡並みの画像(目標)への扉が開かれました。

ミッションあかまりも以来、デジタル道に目覚めてしまった船長っは既にデジタルビデオでの撮影を始めていて、最近デジタル道に入ったとはとても思えない素晴らしい火星像を提供(画像アップ版BBS<船長室>をご覧下さい)しています。老骨にむち打って最後の奮起を醸し出すには十分すぎる刺激です。

さて、その形から「鬼太郎くん」と名付けたこのToUcam、望遠鏡にしっかりと取り付けるためにはちょっとした改造が必要なのですが、とにもかくにも早く撮影したくて無謀にもデジカメアダプターに輪ゴムで縛り付けてチャレンジしてみました。

 

ちょっと強引すぎる取り付けですが、とりあえず撮影は出来そうですのでPCと鬼太郎くんをつないで、PCからビデオプログラムを起動してみました。

これまで仕入れてきた情報から推測するに、640×480のスクリーンの中には巨大な火星が映し出されるはずです。さぁ、どうだ!?

見えません…  ありゃ??

ど、どうやらカメラと接眼レンズのセンターが合ってないようでした。

PCをのぞきながら、鬼太郎くんをグリグリ動かして火星が入ってくるようセンター調整します。

これがまた一苦労。なかなかモニタ上に火星が入りません。格闘すること数分。ようやく火星が入って来ました。さぁ、次こそどうよ!?

うわっ!!小っちぇぇぇ!!(左図)

な、何でこんなに小さいの?

思わずY−da芥川状態。

もしかしたら、モニタ上は小さくとも実際の画像は大きいのではないかと思いましたが、そんな期待はもろくも崩れ去り、プチ火星がゆ〜らゆ〜らゆれています。

ならばと、倍率を最大300倍に上げてみましたが、火星はそれ程大きくなりません。これではとてもハッブル宇宙望遠鏡並みの画像に迫るどころじゃないっすよ。

鬼太郎くんでの撮影は、まず正規の改造を行ってからとなりそうです。それまでは結局これまでどおりデジカメでの撮影になってしまいました。

ということで、週末に改造してみました。改造に当たってはこちらのサイトを参考にさせてもらいました。

取り付けるにはドリルで穴を空けなければならず、断腸の思いでズコズコと。しかもレンズもばらして、もはや復旧不可能になりました。この時点でリセールバリューは0です。鬼太郎くんはもはや骨の髄までY−daにしゃぶられるしかありません。

改造した後はさっそくその成果を確かめるべく、その夜火星に向けてみました。

さぁ来い、巨大な火星よ!!さぁ、どうよ!?

   …見えません!!何でやぁぁぁ!?

 

 

 

 

あれこれ調べた結果、露出設定のミスでした。露出を500分の1秒という極端に短い時間にセットしていたので、暗くなりすぎてモニタに映らなかったようです。

露出設定を調整すると、おお、でかい!でかいぞ赤まりも君!!

右の写真は先ほどと同じスクリーンサイズです。かなり大きくなりました。

おそらく、今までは鬼太郎くんをアイピースに近づけすぎたためプチ火星しか得られなかったのでしょう。

(注:一般にフィルム面をアイピースから離せば離すほど画像は大きくなります)

これでいよいよハッブル宇宙望遠鏡並みの画像が撮れそうです。行くぞ!Y−da。

ということでようやく本格的に撮影してみました。しかしその仕上がりは右の写真のように模様は良く写っていますがなにやら荒々しいものになってしまいました。

うーーん、難しいなぁ…。

 

その後、試行錯誤を重ねながらも連日連夜火星を動画撮影しては画像処理する作業を繰り返し、まぁまぁそれなりに満足できる画像に仕上がってきました(鬼太郎くんでの火星ギャラリーはこちら)。惜しむらくは、撮影を開始した9月後半からはシーイング*1が悪くなり、夏の時期ほどいい像に巡り会えなかったことでしょうか。結果論ではありますがもう少し早く鬼太郎くんを買っておけば良かったです。そうすれば、ひょっとしたらデジカメを新調せずに済んで嫁さんの冷たい視線を浴びることもなかったかも??

これを書いている10月後半になると、いよいよ火星も小さくなり更にシーイングがますます悪くなって模様が見づらくなってきました。7月の中旬から観測(撮影だけ??)を始め、デジカメは買い換えるわ、取付アダプタは買うわ、Webカメラまで買っちまうわ、嫁さんをそっちのけで晴れてさえいれば火星を見るわ、という具合に当初の公約通りまさに「火星に身を捧げる」日々でしたがそろそろミッションも終わりに近づいてきた感があります。

この間の観測回数を振り返ってみると、何と!!……・えーーーっと、52日ですか。おおっ、過去10年間に望遠鏡を出した回数をはるかに凌いでいるじゃないですか。火星効果てきめんです。

せっかく鬼太郎君を買ったことですし、次なるミッションは土星です。運良く昇り始めの頃であればベランダから土星を見ることが出来ることが分かりましたので、今度こそハッブル宇宙望遠鏡に迫る画像を撮りたいですね。

 

 

*1: 地上から星を見ると言うことは川面の中の石を見るようなもので、大気の影響によって絶えず像が揺らめいています。この大気の影響度を一般にシーイングという言葉で

    呼んでいて、シーイングが悪いということは大気が全然落ち着かず星の像を激しく乱している状態を言います。(本文へ

 

 

 

 

 

                                前に戻る    観望大作戦に戻る     次に進む