ペルセに乗じて撮影会

 

 

 

 

 

 

<スカッと青空>

 

 

前回の7月18日は観望場所を転々とさすらった挙げ句、収穫物は僅かに3枚と非常に寂しい結果に終わりました。その後は8月の半ばまでは月明かりの影響で出張りは出来ませんで、ベランダで月でもちょこっと眺めたり、明け方にモソッと起きて金星の撮影をしたり、朝方は太陽の黒点の様子を写真に収めたりしてしのいでました。

今度のチャンスは8月中旬頃です。とりあえずのXデーはお盆休みが始まる13日夜〜14日未明としました。新月に近く、おまけにペルセウス座流星群(以下ペルセ)が極大になる頃で、さぞかし夜空一面に流星の乱舞が見られると踏んでました。…と思ったら、ペルセの極大日は12日のお昼頃らしいです。13日に星見に行くと、それ程多くの流星は見られないかもしれません。でもいいです。自分は流星より直焦です。星雲・星団の撮影に情熱を傾けてしまえば、流星の存在なんて(多分)忘れてしまうことでしょう。

 

空の方は7日当たりから良い天気が続きだしました。いいっすよ?是非このままお盆まで突っ走って欲しいモノです。週間天気を見てみると12日までは持ちそうな気配ですが、13日当たりから天気が崩れ始めるそうなので、この時点で日程修正して12日(木)〜13日(金)にかけて星見に出かけることにしました。会社は12日までですが、問答無用で5時上がりです。大体この日(木曜日)は定時日で、会社からも「緊急の仕事は別にして仕事に区切りをつけ、早期退社で心身のリフレッシュを図れ」と言ってくるのですから、例え仕事の進捗が遅れ気味であろうと帰ります。帰ってみせます。

 

Xデーが近づいてくると毎日のごとく空の状態が気になってきます。考えてみればいくら前日が晴れていても、当日曇りだったら意味がないのは重々承知しているんですが、ここのところずーっとヤキモキさせられてましたからねぇ。ついつい空を見上げてしまいます。

前日の11日もものすごくいい天気でした。昼間っから秋空を思わせるような澄んだ青空で、遠方を見ても霞が見られません。こんな日に撮影したらそれこそ失神しそうな写真が撮れるのではないでしょうか。「行くか行かないか、それが問題だ」と気分は思わずハムレット(?)

しかしここは強固な意志で我慢しなければなりません。当日になっての予定変更は間違いなく家内の機嫌を悪くするだけです。滅多にない青空への未練を断ち切るために、帰宅するなり500mlビールを一気飲み。するとどうでしょう。「あれ?今日良か天気やったけんが、てっきり星見に行くて思うとった。」と家内の一言。

それはないやろう、と・・・。

ちなみにこの11日、船長っは「船長っの場所」に繰り出して撮影三昧だったという報告を寄せていました。ついでに、ゆっこんさんも遠く久住の山で星空を心ゆくまで堪能したという報告もありました。ぬはっ、やられたー!! やはり皆さん夜空に飢えていたんですなぁ。

 

気を取り直しましょう。先を越されたとは言え、船長っやゆっこんさんの活躍は自分のモチベーションを高めるに十分な内容です。12日当日は11日ほどではないにしても透明度は高く、すっきりした青空が広がっていました。この状態は夕方になってもそれ程崩れず、密かに握り拳です。これでリンガーハットで成功祈願メニューを食すれば、今日の成功は間違いないでしょう。予告通り5時の鐘が鳴るや速攻で切り上がり、さっさと機材を積み込んで、イオの入浴を済ませた後の7時半頃出発。今回は「いつもの山」へと向かいます。途中成功祈願メニューを食べるべく最寄りのリンガーに寄りましたが、あいにく大混雑で泣く泣く諦めたのは残念でした。

 

 

 

 

 

 

<悲願達成!>

 

 

この日の撮影会には、船長っとオクヒデ君も揃いました。船長っは何と2日連チャンですよ。燃えてるねー。聞けば前日は結局2時間しか寝てなくて、会社にもしっかりと出ての今日の星見とか。「眠い!!今日は途中で寝るかもしれん」と言うのも分からんでもありません。

久しぶりのオクヒデ君は、今日は固定撮影でペルセオンリーにするということで、いつものMT160はお目見えしませんでした。しかもオクヒデ君もどこかお疲れの様子です。それもそのはず、この真夏の炎天下の中、陸上競技場で走って跳んで、跳んで走りまくったそうな。よく死にませんでした。

 

さて、9時頃に機材のセッティングを終えて早速撮影に…と行きたいところですが、撮影に入る前に長年の悲願を達成しようと思います。その悲願とは「M天体110個を全て見る」というものです。この20年をかけて107個まで見つけたはいいものの、それからとんと足踏みしていました。残るM天体はM18(いて座)、M19(へびつかい座)、M24(いて座)で、いずれも夏の天体です。ホントは去年の火星観望会で制覇を目論んでたのですが、完全に勘が鈍ってしまって見つけることが出来ず、あれから1年。しかし、この1年でかなり観望回数を重ねたので、あの時とは違うはずです?

ということで、いざいざ!!

…おっしゃ!M18発見、…続いて暗いながらもM24もゲットぉ!!…ちょっと辿りにくいM19も苦労の末捕獲!!ついに20年来の悲願が成就しました!!おめでとうY−da。

 

(左)M18M17

(右)M24

 

とりあえずM天体制覇の記念として、一番最後まで残った3天体のうち、2つの天体を撮ってみました。しょぼい天体ではありますが、20年来の悲願が達成した立役者(?)なので格別の思いを込めて撮りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

<慌てない、騒がない>

 

長年の目標を達成した余韻にひたりつつ、さぁ次は直焦撮影に入り…って雲出てるじゃん!!

またですか?またこのパターンですか?やっぱりリンガーで成功祈願メニューを食べなかったから、曇ってきたんですか?

舌打ちする自分とは対照的に、しかし船長っは冷静でした。「心配せんでも晴れるよ。昨日もこげん風に曇ったけどしばらくしたら晴れたけん。」  そうは言ってもなぁ…。

ヤキモキしているところに、突然引っ越しのサカイのCMで盛り上がりました。今となっては何でこうなったのか覚えていないのですが、船長っが大のお気に入りと言うことが分かりまして、密かにイチオシにしていた自分と見事に意気投合し、2人であの粘っこいセリフを大合唱したわけです。「慌てな〜い、騒がない、じっくり待っててみなさ〜〜い。→お願いしま〜す」 ん?こんなセリフだったか?

するとどうしたことでしょう。我々の願いが通じたかのようにだんだん晴れて来るではありませんか。何とサカイのCMはリンガーハットに匹敵する晴れ効果があったのです。

もちろん、「シャギィ、シャギィ、大はしゃぎ!ハイハイハイハイ…」で、お礼のコールを献じなければなりません(?)

ということで、まさに大はしゃぎしながら撮影準備を整えました。ペルセを固定撮影で狙うオクヒデ君だけはまだ出番が来ないので、地べたにマットを敷いてポータブルTVを取り出し「人間の証明」を見始めています。しかし、場所が山の中だったので電波の入り具合が今ひとつだったようで…。

 

撮影準備が整ったら早速撮影に入ります。今日の一番の大捕物は前回うまく撮ることの出来なかったアンドロメダ大星雲と、惑星状星雲の中で一番大きいNGC7293という天体ですが、程よく昇ってくるまで少し時間がありますので、大好きな球状星団を撮って時間を潰します。とは言っても、大きくて有名な星団はほとんど撮ってしまい、あとは「そんなのあったの?」と言われそうなマイナーなものばかりです。撮って楽しいというものではありませんが、どうせだったら、大捕物以外は小粒なものに絞って、1天体1枚のお気軽撮影に興じます。本日のキーワードは「マイナーハンター」っす。

この日の成果は、M54、M69、M70、M24、M18、M11、M26、M56、M30、M2、NGC7293、M33、M31、NGC253、二重星団、M45、オリオン星雲の計17天体30枚でした。ほとんどの写真は「星のギャラリー」に掲載していますのでそちらをご覧下さい。この中で二重星団は半分ピンぼけ、オリオン星雲は雲の中でコントラストが上がらず全然あきませんでした。次回のリベンジ天体の筆頭に挙げたいと思います。

 

 

失敗その1:二重星団(ペルセウス座)

失敗その2:オリオン星雲(オリオン座)

こっちは会心:すばる(おうし座)

 

 

 

 

 

<焦る船長っ 寝るオクヒデ君>

 

さて、眠たい体にむち打って直焦撮影に勤しむ船長っの様子はどうでしょうか。船長っはこのところ北アメリカ星雲とか写真でしかお目にかかれない天体にはまってまして、この日ははくちょう座の網状星雲をターゲットに撮影を始めていました。

自分たちはオートガイダーを使わずに、己の目でひたすら星のズレを修正する昔ながらのガイド撮影をやってますが、赤く浮かぶガイドパターンにポツンと光る星を見ているとどうしても睡魔に襲われます。特にこの日の船長っは2日連チャンですから、撮影開始直後からガイド中に「眠てぇ〜眠てぇ〜」と連呼していました。そしてその度に引っ越しのサカイのCMを口ずさんで睡魔に打ち勝とうとしています。そういう姿にちょっと感動したりします。ていうか、船長っが口ずさんでいる間は空の方が晴れてくれるのでできれば延々と歌って欲しいモノです。

ただ、世の中というのは実にうまくできているもので、眠気に負けそうになったときにはいきなりデジカメのバッテリーが切れたり、モータドライブの調子がおかしくなったりして、無理に歌を歌わなくても超自然的に船長っを眠りの淵から呼び起こしていました。何ともまぁ主人思いの機材達ではあります。

 

一方で、ペルセ撮影に燃えていたはずのオクヒデ君は、最初のウチこそ自分たちのデジカメ撮影結果に目を光らせ、「今月末までに絶対D70買いますよ」と鼻息荒く決意表明をしていたのですが、「人間の証明」を見終わった当たりからずいぶんと静かになりました。空は結構流星が飛び始めてきたので、話す時間も惜しんで固定撮影に励んでいるのかと思いきや…寝てます。おいおい、これからが本番でっせ?と思いつつも、本人はこのくそ暑い中県立総合運動公園まで繰り出して他の教職員とともに飛びまくりの走りまくりで体力が0になっているのです。ここは朝まで静かに寝せておきましょう。自分って優しいなぁ…。別に朝まで熟睡のオクヒデ君が起きた瞬間「あーー!全然撮ってませんよー。」と慌てふためく様子を見たいからではないのです。

まぁ、本人は実は寝ていると見せかけて撮るべき所はちゃんと撮っていたようです。

 

空の方は、ところどころで曇ってきたモノのしばらく待てば晴れ上がると言った具合で、おおむね良好なウチに薄明が始まりました。東の空には金星がとんでもない明るさで輝き、おっと土星も上がってきているようです。撮影機材をEOS−DからToUcamに変更して、今シーズン初めての土星を撮ってこの日の観望会を終了しました。ペルセ群はまともに見ませんでしたが、撮影の合間に空を見上げたときに時々大きい流星が流れてくれただけでもヨシとします。

それにしても今年の夏は良い天気に全然恵まれませんでした。何とか1日持ってくれただけ救いですが、これでダメだったらホント波動砲ものだったと思います。

…なお、今シーズン初めての土星は、拡大率を高くしすぎたことと、シーイングの悪さと、薄明中の撮影でコントラストが上がらなかったことのトリプルアタックで、見事に玉砕しました。

 

 

 

今シーズン初めての土星

 

670枚コンポジットしただけの状態です。

画像処理してみましたが、ノイズがひどくて

全然ダメでした。

 

 

 

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