あきらめません 撮るまでは

 

 

 

 

 

【目指せ天文紳士(5月3日)】

 

GWも中盤に入るとすっきりさわやかな天気が続くようになりました。天気予報によれば3日〜4日は雲マークすらない晴れの予報。当初は新月に近い6日の金曜日に出張る予定でいたものの、この日は雨になる可能性が大らしいです。ならば3日はどうですか?GW中ですし、朝から保育園に連れて行く必要もないので、こういうときこそ行くべきでしょう。そうと決まればモチベーション急速充電です。

最大の難関である星見申告は、ここ最近の沈没続きに家内も「哀れ」と感じたのか、意外にもあっさりOK。もちろん、哀愁をアピールした以外にも「父ちゃんがイオの面倒を見ておくから、どっか買い物でも行ってリフレッシュしてこい」と、怒りの矛先が向かないような伏線を張っておいたことを見逃してはなりません。

 

さて、日中はすごい青空、夕方にかけてもその状態は変わらず、いい感じで夜を迎えようとしています。イオを寝かした後の夜9時に出発。「いつもの山」は前回のこともあったのでパスし、本日は「船長っの場所」に出陣です。

「船長っの場所」に着くや、早速夜空の状態チェックに入ります。なにしろ、ここ何回かは到着したら曇っているパターンに見舞われました。今夜はいかに?(ドキドキ)・・・・・・・・・いよっし!雲は出ていないようです。

ついガッツポーズをしたくなります。が、ここで安堵してはいけません。過去の経験上、ここで喜びを爆発させてしまうと、この後曇った場合のダメージは計り知れないからです。そろそろ自分も天文紳士としてクールに星見ライフを楽しみたいものです。天文紳士たるもの、曇っても「こんちくしょう」と叫ぶのではなく、さわやかな笑顔で「オウケイ、トゥイはもうメね←コレですよ。それにはまずマインドコントロールが必要です。いつ何時雲が出ても平静さを保てるよう、頭の中で「雲を喜んで迎え入れろ」と自分自身に念じつつ望遠鏡をセットするのでした。

 

そんなこんなで、極軸のセッティングまで終えると恒例の木星撮影に入ります。ちょうどこの時、衛星ガニメデの影が木星面を通過している様子がホタロンでも見ることが出来ました。ちょっとシーイングが良くないのか、全体的にボヤッとしていて残念ながら前回のベストショットには及ばない結果となりました。まっ、今回は木星撮影は食前酒みたいなものですからね。チャチャッと撮影を終えて直焦撮影に移ります。

カメラをEOS−Dに交換して、スピカでピントを合わせて、今回初登場となる船長っオリジナルのタイマーリモコンを載せて、リモコンとカメラの受信部の光軸を合わせて、望遠鏡のバランスを取り直して、さぁ撮影だっ!!見上げた先には、

雲!?

 

(しばし呆然)・・・ほ、ほーらね?やっぱり出てきたっしょ?予想通りの展開バイ。だけん、全然動揺せんとよ(プルプルプルプル…)。

オメガ星団のある南が晴れてりゃ・・・雲張ってますな。そいなら、かみのけ座のNGC4565でも撮り・・・既に雲に隠れとる。ならば、東に昇り始めたへび座のM5なら・・・忍び寄る雲の影?・・・・・・ピキピキピキ・・・・・

天文紳士の心得その1→暴走してはいけません。コールドにキメましょう、コールドに

って、できるかーーーーー!!!!!(ヌガー!)

結局ホットモードに入ってしまって、速攻で機材を撤収。またまた怒りのリンガーハットに直行したのでした。いつものことながら、撤収と同時に晴れるのですからますます気分が滅入ります。

 

 

 

【オメガはささやく(5月7日)】

 

GWも終わった5月7日(土)。夕方からすっきり晴れ上がりました。しかし、行っても曇ってしまえば何の成果も上げられないまま、ただフラストレーションとチャンポンだけがお腹にたまるだけ。今度ばかりは行くべきか行かざるべきか逡巡しました。

そんな心の迷いがある一方で、頭の中ではオメガ星団のブツブツボール(想像)が自分に語りかけてくるから困ったものです。

    <オメガ> よく考えなさい。コレを外せば、次にオメガ星団を撮るのは来年になるの。それでいいの?

    <Y−da> ・・・いいはずないたい!

 

さぁ、「後悔先に立たず」が似合うトライ&エラーの男がまたも立ち上がります。行って玉砕、それもまた人生じゃないですか。

家内はもはや何も言いません。・・・言わないんです。だんまり決め込まれてしまいました。かつてないほど重苦しい空気の中、そそくさと「船長っの場所」へと向かいます。

現地に着くと、雲は出ていない様子。しかも3日と違って今日はオメガ星団の付近までクリアで、絶好のコンディションと言えましょう。恒例の木星撮影はこの日は取りやめです。いつ雲がやってくるかもしれないですから、1分1秒を争います。極軸セットを終えるとさっさと直焦撮影モードにし、いざオメガへとホタロンを向けました。頼むから雲は来ないで下さい!

 

ここでようやく船長っオリジナルのタイマーリモコンを実戦投入するときがきました。船長っは、このリモコンを3台(船長っ、オクヒデ君、自分)製作していますが、実戦に使うのは自分が最初と言うことです。しかもEOS−D用は自分だけですので、果たしてちゃんと動作してくれるのか不安がないわけではありません。

船長っによれば、EOS−D用は信号の受信がシビアで、リモコンとカメラの受信部の軸をある程度合わせておく必要があるとのこと。何度かテストシャッターを切って、念入りに軸合わせをします。

リモコンは露出5分の3枚連続撮影に設定します。2進数での設定というのがいかにも教育的かつマニアックで、扱う喜び(?)を感じさせてくれます。

ガイドアイピースにはオメガ星団付近の星を導入し、いざ撮影開始。リモコンのシーケンス(連続撮影用)ボタンを押しました。15秒後カメラのシャッターがカシャッ。幸先いいスタートです。

と、リモコンの方は無事動作したんですが、思わぬ事態が発生しました。

何と、ガイド星が北の方角にズンズンずれていくのです。ありゃ?5分程度は南北方向にずれない程度に極軸を調整したはずなのに、何でこんなにずれるの?修正すべきか一瞬迷いが走ります。

、ここは我慢です。あれだけ極軸を調整したんだから、これはまやかしに違いありません。最初の自分のセッティングを信じてあえて北方向のズレは無視です。果たしてその判断が吉と出るのか?

5分後・・・。ガイドに集中する自分の耳元でシャッターの下りる音が聞こえました。プレビューを見ると、あっ、ちゃんと写ってます。北方向のズレはありません。やはりガイドパターン内でのズレは(理由は分からないけど)フェイントと判断して良さそうです。少しホッとしました。

リモコンの方は動作快調で、2枚目、3枚目も問題なく動いてくれました。やっぱり自動的にシャッターを切ってくれると時計を見る回数が減る分、ガイドへの入魂率が高まるのでいいです。直焦撮影のブランクが3ヶ月近くあったので、ガイド自体は今一歩でしたが、回数を重ねて入魂レベル(?)を高めればもう少し精度良くガイド出来ると思います。リモコン万歳!!

 

 

【納得(?)の撤収】

  

オメガ星団を撮って、電波銀河として有名なケンタウルスAを2枚撮影した頃に船長っが陣中見舞いに来てくれました。リモコンの動作が気にかかったようです。「いやぁ、実に快調ですぜ」とお礼を言ったら少しばかり安心したみたいでした。本来なら、ホタロンで木星当たりでも見てもらうべきだったんでしょうが、生憎こちらは直焦に燃えています。今度合同観望会をしたときにゆっくり見てもらいましょう。

さぁ、ケンタウルスAを撮ったら、今度はおとめ座のソンブレロでも行きますかね。・・・

何気に雲が湧いてきていませんか?

 

あれれ?またしても望遠鏡を向けた先に雲が出とっですタイ。うーんと、じゃあ前回ダメだったかみのけ座のNGC4565をば・・・そこも雲かい。えいくそ、しからばこと座はリング星雲に・・・どんより。・・・またこのパターンですか?

「はっはっはっ、やっぱりY−daが望遠鏡を向ける方向に雲が行くんだよなー」と言葉を残して去っていく船長っの憎らしいこと!!

 

いやいや落ち着け、今回は念願のオメガ星団とかケンタウルスAが撮れたのでまだマシじゃないですか。ここで退いても決して負けではないのです。胸を張って帰れます(?)

自分をなだめすかし、ホタロンやバイパーに夜露が付きかけてきたのを機に撮影を断念。さっさと機材を片づけてはまたもやリンガーハットへと赴くのでした(←一応慰労会)。

その後、画像処理で出てきたオメガ星団は中心部のブツブツまでよく写ってくれて、想像していた通りのブツブツボールにちょっとばかりの勝ち気分を味わいました。

 

ようやくゲットできたオメガ星団

こちらも念願のケンタウルスA

 

 

 

 

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