ブランクに半泣き

 

 

 

【シャレんならん!(6月3日)】

 

なんだかんだ言って、もう6月になっちゃいました。入梅はすぐそこです。何とか梅雨入り前に出張っておきたいモノです。

例年6月上旬の前半までは晴れの確率が高いです。もしかしたら、新月期と重なる6月3日もしくは4日にチャンスが到来するのではないかと予想していました。

3日(金)、天気予報によれば「晴れ」。衛星画像見ても、たしかに夜あたりから雲がなくなりそうな気配です。

ほぅら 言わんこっちゃない♪(←嬉しさの裏返しです)

 

当初4日に出張ろうか、と船長っと画策していましたが、嬉々として急遽予定を変更して3日に行くことにします。

出発した9時半頃はまだ雲が残っていますが、自分の読みでは11時頃には晴れ渡るはずです。それを期待して「船長っの場所」へと向かいました・・・が、何だ?霧っぽいじゃないですか。

現地について辺りを見ると、何かしら白い湯気みたいなのが立ちこめてパッとしません。程なくして到着した船長っも、来るなり「他の場所に行こうか」と言い出すくらい、一目で怪しい状態だったのでした。何だか昨年の「さすらい観望会」が巻き戻し再生されたかのようです。

場所を変えるとして、さてどこにしましょう?う〜ん、真っ先に浮かぶのは、「百武彗星記念の地」ですなぁ。ところが、おおよその場所を言った途端、急に船長っが険しい顔になりました。

そこさぁ、・・・・・・自殺があったところぞ?

 

なぁぁにぃぃ!?背筋が凍り付くその一言。。

何でも今から5年ほど前、そこで車ごと焼身自殺を図った人が居たそうです。他にも、スーツ姿をしたお化けが林道を走っているオフライダーを追っかけてくるとか、キャンプをしていたらお化けがテントの中をのぞき込んでいたとか、船長っの口から出るわ出るわ都市伝説。

 

そんな物騒なところで今年の2月に自分はオリオン星雲を呑気に撮っていたんですか?マジでシャレんならんですよ。

ひょっとして、それから数ヶ月に渡る一家ダウンの悲劇は自殺者の怨念によるものだったのか?そんな疑念も浮かんできます。いや、ホント。

 

そう言う話を聞いた以上、もはやそんなところに行けません。「いつもの山」を提案し、そこへと向かいます。ますます「さすらい観望会」の時と同じパターンです。

その「いつもの山」、ハッハッハッ、雲一色です。別に山だからというわけではなく、市内全域雲に覆われていていましたから、多分どこに行っても無理です。

船長っはこの時点で、明日4日の第2戦を考えていたようです。しばらく子供のこととか仕事のこととか、船長っのおニューのクルマ(=ハイエース)のこととか話していましたが2時頃撤収しました。

え?この後?そりゃもちろん怒りのリンガー+生ビールですよ。

 

 

 

 

【呪われし船長っ(6月4日)

 

 

明けて4日(土)、朝から素晴らしい天気です。先日行くかどうか決めかねていた自分の心はあっという間に「行く」モード。家内の

いい加減にせぇ!!!

という怒号もどこ吹く風。船長っと示し合わせて今日も「いつもの山」へと赴きました。

 

現地には10時頃到着。東の方角はガスっぽくて、普段見えるはずの対岸の明かりは見えません。しかし、この日は北からの強風が絶え間なく吹いていましたので、あのガスがこちらに来ることはないでしょう。南にはさそり座が顔を出し、天頂付近も微光星が見えています。突風を除けば久しぶりのいい条件です。

船長っもしばらくして到着し、さっさと機材の組み立てを開始します。ここのところ船長っは、オートガイドとかタイマーリモコンなど撮影環境の充実を図ってますが、その充実した機材を全て使っての撮影は今日が初めてとか。自分もオートガイドを見るのは初めてなんで、ちょっと興味あります。

 

ところが、この日の船長っは撮影ではなくひたすらネタ作りに邁進するのでした。

まずセッティングから飛ばします。どの箱に何が入っているのか忘れてしまって、「あれ?どこに置いたかなぁ?」「うっ?これどうすっとやったっけ?ハッハッハッ、分からんぞー!」と絶叫。

そしてカメラの取り付けでは、何とコンパクトフラッシュに他の画像データが残っていて、撮影枚数を制限されるという悪夢に出くわし驚愕。

苦労の末撮影にこぎ着ければ、撮ったら撮ったで「あー、ピンぼけやった!!」と深く悲しみ、オートガイドシステムはご主人様不在時にガイド星を見失い、リモコンは2枚撮影の設定にしていたつもりが1枚になっていてご主人様の混乱を誘い、・・・とにかく「よしこれから本番行くぞ、本番」と言いながら、いつまで経っても本番に入れなかったのでした。

11時から延々と何かトラブルに見舞われながら、やっと軌道に乗りだしたかと思うと、薄明開始。

長期間のブランクが響いたのか、はたまた薄着にもって強風による寒さで集中力を削がれたか、この日の船長っはYーdaのお株を完全に奪う勢いでした(逆に言えば、自分は毎回こんなことをやらかしとるのかと)。

ここで、この不満足な結果がリンガーハットに向けられれば面白かったのですが、船長っの場合は日曜日の第3戦を構える原動力となったようです。

 

 

 

 

【本家も負けじと】

 

対するこちら。船長っとは対照的に順調に天体撮影をこなします。でも、やっぱり悩みの種はあるわけで、風が強くてガイドに苦労するのでした。突風下の撮影は過去に体験済みとは言え、ブランクが空きすぎるとカンが戻らんのです。突風の状況下での撮影は、オートガイドよりも「入魂のタッチガイド」に分があると知らしめたかったのですが、

東にちょっと動いた!→即座に西に修正→風が止んだら戻ってきた→修正分が加わり過剰に西にずれていく!(シクシク)

またまた東に動いた→「同じ手は二度も食わん」と何も修正しない→実はホントにずれていた(シクシク)

 

もう、何と言いますか、真実と虚像が繰り出すコンビネーションに完全に翻弄されてしまいました。残念ながら、この日もタッチガイドの神髄を炸裂することは出来ませんで、全体の4割は星が流れていたのでした。

まっ、それ以前にピントが合っていなかったんですけどね。

昔得意としていた「一面ドーナツ星雲」までには至りませんでしたが、船長っのピンぼけを片手うちわで笑っている身分ではないっちゅうことです、ハイ。

 

この日撮影したのはいて座の主要な天体で、M8、M20、M23、M25、M22、M55、M17の合計7天体でした。この後に天頂付近に昇った網状星雲とか北アメリカ星雲にも挑戦したのですが、導入に当たっては、土下座して首を120度回し、さらに目ン玉をギリギリいっぱい端に寄せるという、極めて無理なポーズを強いられたため断念。首が180度回れば何てことないんだけどなぁ。

そうこうするうちに、月の出とともに薄明が始まり、最後に現在接近中の火星を見てみました。シーイングがすこぶる悪くてとても撮影するに値しないようなボヤボヤぶりでしたが、クリーム色の大きな極冠と何かしら黒い模様があるのは分かりました(あとで調べたところによると、シレーンの海辺りが見えていたようです。右の図はその時間帯のシミュレーション図です。ただし、極冠はかなり大きく目立っていました)

今年の接近は秋ですので、梅雨明け頃からボチボチ火星撮影にシフトしていきたいものです。

 

ということで、今回の撮影は二人ともブランクに泣かされました。しかしそれでも、一晩晴れた星空に巡り会ったのは久しぶりのことでしたし、それなりに撮影もこなしましたし、心おきなく梅雨を迎えられそうです(?)

 

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