撮って撮って重ねて重ねて

 

 

 

 

 

【もっと大きく】

 

そろそろ9月です。火星もだいぶん大きくなってきました。撮影を始めた7月中旬の視直径が10秒ちょっとだったのが、14秒近くになりました。おかげで模様の方も以前より見やすくなりました。

撮影の方は、相も変わらず晴れていればモソモソ起き出し、セコセコ撮って、イソイソ処理する、の繰り返しです。最近は、目覚ましが鳴ったにも関わらずそのまま眠ってしまって、起きてみればもう屋根の向こうに火星が隠れてしまったと言うこともしばしばです。うーん、やっぱり疲れてきているのかも?

まぁそれはそれとして・・・。

 

これだけ火星をバンバン撮影していると、自分流の撮影方法もほぼ確立してきます。1フレーム当たりの露出時間を1/25秒(最長)か1/33秒にし、フレームレートは15fpsで(1秒間に15枚撮影すること。これ以上は自分のPCでは追いつきません++)、2分間の動画を撮ります。

あとはREGISTAXでスタック&ウェーブレット処理して出来上がりですが、15fpsでは撮影枚数が1800枚(←15fps×120秒)に限られ、更にスタックする量は普通は全体の90%ぐらいに落ちますので1600枚前後がせいぜいです。これは拡大率を低くして撮る分にはあまり問題はないのですが、火星は小さいので模様の詳細が分かりにくいのが難点です。

 

 

自分は普段LV9mmを使用して、合成焦点距離約5200mmにして撮っていますが、このところLV6mmでもう少し拡大しての撮影にもトライしています。LV6mmなら合成焦点距離が約11000mmになり、LV9mmを使ったときの2倍強の大きさで写る計算です。木星や土星ならここまで拡大すると像が暗くなりすぎて全然使い物になりませんが、単位面積当たりの表面輝度が高い火星だと、何とか撮影出来る範囲にあります。

しかしそうは言っても、実際やってみると「単に撮れる」というだけの話で、画像処理するとノイズの影響で右の写真のようにザラついた火星が出来上がってしまいます。特に今の時期は気温が高い(=ノイズが多くなる)ことも災いして、そのザラザラ具合といったらとても見られたものではありません。

ざらめ火星を改善出来る必殺技を編み出せないものでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

【重ねて更に重ねる】

 

そんな時、1つの方法が浮かび上がりました。2分間の動画を何回か(例えば3回とか)に分けて撮影して、それぞれをスタック処理し、出来た3枚のスタック画像を更に合成するというやり方です。イメージ的には下のような感じです。

 

 

 

 

 

 

「最初っから6分間の動画を撮れば済むじゃん」と言われそうですが、細切れに撮影することで、空の状態が良くなった時を狙って撮影出来る強みがあります。

火星は自転が遅いので、15分の間に撮影したものなら、画像を合成しても模様のズレはそれ程気にする必要はありません。ですので、6分間連続して撮っている最中にいきなり曇って失敗するよりも、15分の間に適当な好機を狙って2分間×3回撮る方が効率的の様な気がします。

ということで、この必殺技を試してみましょう。・・・いや、試す前に何か名前を付けたいな。えっと、コンポ(コンポ=コンポジット←スタックと同じ意味です)とでもしときましょうか。誰かが既にやっている手法かもしれませんし、大袈裟な名前は後で笑われてしまいそうです。

 

 

 

 

 

【必殺技は炸裂するか?】

 

さて、そのコンポをまずはLV9mmで実践してみました。時は8月19日、ちょうど太陽湖が見えている時間帯でした。

2分間の動画を3回撮影し、REGISTAXで3枚のスタック画像を作ります。こうして出来上がった画像を再度スタックします。元画像はそれぞれ、1650枚、1595枚、1626枚でしたので、全て合わせると4871枚のスタック画像になります。スタック画像そのものは全然代わり映えしないように思いましたが、ウェーブレット処理すると・・・。おお!模様の濃さが全然違いますぜ!!(下の結果)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1650枚

 

1595枚

 

1626枚

 

4871枚

 

 

従来の約3倍の画像を重ね合わせた事で、ノイズがかなり低減されたことが実感出来ます。これにより、従来よりも強いウェーブレット処理を加えることが可能になり、模様を濃く出すことができるわけです。もう力わざもいいとこですが、気にすんな(やや自虐的)。

この方法をLV6mmでの撮影にも適用すれば、大きくて模様がしっかりした火星が出来上がる(・・・・・)かも知れません。

ふふふ、心が躍ります。いざ撮らん!!と思ったら・・・雨ですかそうですか・・・(ToT

 

 

結局19日以降は約1週間雨が降ったり曇ったりで火星を拝めませんでした。

ようやく撮影出来たのは8月27日。眼視で見てみるとゆらぎも少なく、強拡大するには絶好のコンディションです。

さぁさぁ、時は来ました。前回と同じく2分間×3回撮ってみます。折しも途中雲が横切り、撮っては雲が抜けるのを待ち、撮っては待ちの繰り返しですが、10分間で3回撮ることが出来ましたので合成上問題はなさそうです。

しからば早速をやってみましょう(下の結果)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1722枚

 

1661枚

 

1525枚

 

4908枚

 

 

イケてますやん。若干調子に乗りすぎたきらいはありますが、同じざらつき状態でも明らかに模様の出具合に差があります。シーイング次第でしょうが、この日と同じような空の状態であれば、LV6mmで撮っても「見られる火星」程度にはなりそうです。

あともう1回撮って4回にすればもう少しイケルかもしれません。

 

 

 

 

 

 

【新たな悩み?】

 

とりあえず、コンポは火星に対して使える手法だと分かりました。今後は積極的に3000枚とか4000枚とか暴力的な数の枚数をコンポしていきたいと思います。

ただ、欠点もあるわけで、データ量が倍になりますので、

   ・処理時間がめっぽう長くなる

   ・PCのHDDの消費が早くなり、火星の自転でも撮ろうものならあっという間にHDDを食いつぶす

   ・保管用CD−RWの消費枚数が多くなる

となり、ハイスペックのPCという物欲が出たり入ったりすることがあります。

当面は、会社のPCが自分のよりも高性能なので、そっちを使うことにしましょうかな。

 

 

 

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