キタロウ壊れる?
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【背筋が凍る】 火星の最接近が迫ってきました。撮影にも俄然気合いが入ります。この時期北からの冷たい空気の流れ込みでシーイングがすこぶる悪いのは悩みの種ですが(特にベランダからでは、シーイングが安定しない夜半前までの観望に限られますので)、ちょこっとならシーイングが安定してくれるかもしれないな、と思うと、やはり出撃しないわけにはいきません。 10月の15日もいい具合に晴れ渡り、イソイソと組み立ててまずは眼視でちょこっと火星面を確認。相変わらずシーイングが悪くて、ボヤっ、ボヤッと膨れあがっては「ほらほら、今日も華麗にダンスを踊ってやるぜ?撮るだけ無駄だぜ?」と、自分に撮影中止を促しているかのようです。ですが、 こ れ で 引 き 下 が る と 思 っ た ら 大 間 違 い で す。 白いボディのキタロウをホタロンに取り付け、USBをPCにつないで撮影環境を整えます。PCのモニタで見ると、ボヤッとする頻度は僅かながらも減少傾向にあり、改善の兆しが。10分程度状態を監視したら撮影を敢行できそうな状態に落ち着いてきました。よし、早速撮影しますか。いつものように撮影開始ボタンを押して、いざ記録を始めます。 ギックシャック ギックシャック ギ・・・ック シャ・・・・・ック・・・ ・・・何ですか、これは?いつもはシャカシャカと絶え間なく揺らぐ火星が、止まったり動いたり止まったり動いたり・・・をぎこちなく繰り返すのです。何と言いますか、486CPUマシンで動画を見ているような錯覚に陥ります。フレーム落ちの時に散見する現象で、これまでにも時々起こることはありましたが、いずれも短時間で収束していました。しかし今回は違います。2分間延々とギクシャクし、次の動画撮影でもやはりギクシャクするのです。 撮影した後のファイルサイズを見てみると、普通は800MB近くにもなるのが200MB止まりです。何と75%近くもフレーム落ちしていることになります!!い、一体どうした!!これでは撮影もままなりません。「引き下がると思ったら大間違い」と豪語しながら、すごすごと引き下がってしまいました。 明けて翌日、もしかしたらトラブルは解消できたかも知れないと思い、再度撮影に踏み切りました。 本日も撮り始めてしばらくはギクシャクしているのですが、いきなりスムーズに揺れ出しました。やった!治っとるやんか!やっぱり昨日の現象は一過性のものだったんだ!! ・・・と喜んだのも束の間。なーーんか様子がおかしいのです。 まず火星の揺らめきが一定なのでした。火星が揺らぐのはシーイングの影響です。従って揺らぎ方は川の底の石を見るがごとく不規則なのが常道です。もちろん劇的にシーイングが良くなればこんなのもありなのですが・・・?いや、それよりも火星がその場からジッと動かないのはもっと変です。極軸は完全に合っていないから、時間経過とともに、画面中央からずれていくはずです。 試しにモータードライブをわざと駆動させて、火星が逃げていくか調べてみましょうかね。・・・・ ハッハッハッ!動かないやんか!!! 動画記録機能が昇天してますよ。オホホホホホ!! とどめは、撮影終了と同時にウインドウが全面緑色になって、ウンともスンとも言わなくなりました。逝ってます、完全に逝ってますって、こんちくしょうめ。 ファイルサイズを見てみると80MBと、実に90%近くのフレーム落ちが発生していました。試しにこれでREGISTAXかけてみましょうか? ・・・ハハ、使える画像が100枚にも満たないですわ。WAVELET処理なんぞしようものなら、まだざらめの方が可愛く見えるほどヒドイ画像でした。 |
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【原因はキタロウにあり?】 さぁ、困りました。最接近を目前にしてこんなトラブルに見舞われようとは。一体何が原因なのでしょう? @HDDの不連続領域が多くて書き込みがスムーズに行かない → デフラグかければ改善できるかも Aキャプチャソフトがイカれた → 一旦アンインストールして再インストールすれば改善できるかも Bキタロウがイカれた → 取り替えかも? @はHDDの解析をしたところ際だってヒドイというわけではないことが分かりました。 Aについても再インストールしてみたのですが、改善できませんでした。 となると、必然的にBのキタロウに疑いが持たれます。考えてみると、一昨年前に買ってからというもの、木星、土星、金星撮影にと、ことある事に酷使してきました。そのツケが回ってきたのでしょうか(でもこんな時に起こらなくても・・・)。 いずれにしましても、キタロウがいかれたと考えると、その代替機をどうやって調達するかが問題です。国内のどこかの販売店に在庫があればいいのですが・・・、海外調達は安くあがるものの時間がかかりますからねぇ・・・と言いつつチェック。あちゃー、やっぱりないわ。 んーー、ならばNexImageはどうですか。ちょうどオークションで出品されています。拙HPに来て頂いているほうき星さんがこのNexImageを使って、かなりスゴイ火星を撮影されていますから、身近なところでリファレンスが出来るのもいいです。 おーし、物欲発動です。お値段は少々お高いですが「BUTSUYOKU」という名の麻薬を吸えば、金銭感覚が麻痺してしまいます。速攻で落札して、その日のウチに商談成立。予定では明後日届くことになりそうです。 その一方で、「本当にキタロウが壊れたのだろうか」という疑念も拭えません。試しに後日別のPCにキタロウをつないで動画記録をやってみました。もし本当にキタロウが壊れていれば、PCに依存せずにギクシャクするはずです。・・・ 映像がスムーズに動いてますやんけ!!! Y−da理論見事に崩壊です。えーー!?もしかしてキタロウは壊れていなかったんですか? |
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【原因はwinにあり】 キタロウが実はイカれていないとすると、じゃあ何が原因なのでしょう。次に考えられるのは CWIN2000のシステムに登録されたファイルがおかしくなった? ということですか? キャプチャソフトをアンインストールしたと言っても、実のところは正規な方法でアンインストールしたわけではなく、フォルダだけ削除しただけです。 これではWINDOWSにシステムの中にあると思われるファイルまでは消されていない可能性があります。 じゃあ、システムに登録されているファイルってなんでしょう?・・・分かりません。 さんざん悩んだ結果、こうなったらとりあえずNexImageをインストールしてちゃんと動作するか確かめてみましょう。動作すればそれで良し。ダメだったら・・・WIN2000を再インストールです。WIN2000のインストールは7月にもやっているのでコツは覚えていますが、・・・できればやりたくないです・・・。 NexImageを落札してから1日半、先方の素早い対応で時間をおかずに入手することができました。ボディはキタロウとは正反対の全面ブラックです。最初から天体撮影用に割り切っているのか、スリーブ径は(多分)31.7mm、キャップを外すとレンズみたいな物は一切なく、モロCCDが見えていました。多分IRフィルタもないでしょう。 |
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外観はToUcam2とそっくりです。 |
こちらは背面側。ロゴがさりげなく書かれています。 |
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取り付けの方は神懸かり的な幸運に恵まれて、既存のパーツの組み合わせでOKでした。難点があるとすれば、スリーブ外径がギチギチなのか、力づくでアダプタに差し込まないといけない事ですが(何故か先端部分だけがギチギチ。逆から差し込むとスルッと入って先端部で引っかかる)、どうってことはありません。 果たしてWIN2000を総入れ替えしないといけないのか、運命のジャッジメントはたった1回の撮影で判明します。ドキドキしながら、いざ開始!! ギックシャック ギックシャック ギ・・・ック シャ・・・・・ック・・・ ワッハッハッ!!!・・・WIN2000再インストール決定。 |
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【メインをねらえ】 翌日、WIN2000を再インストールしたあとに取り急き動画撮影のためのアプリケーションを入れて、キタロウでの動画撮影をやってみました。すると、撮影中でもシャキシャキした本来のスムーズな動きが戻り、一連のトラブルは解消しました。もちろん、NexImageも問題ありません。 もし最初のウチにWIN2000の異常を推定できれば、ひょっとしたらNexImageは買わなくて済んだかもしれませんが、万が一キタロウが壊れた場合には即座に取り替えが効きますので、ここは前向きに考える方が良さそうです。 特に、NexImageはキタロウと比べてもアドバンスがあり、使い方次第ではこちらがメインになることも十分あり得ます。まずはしばらく両方で取り比べてみてから、どちらをメインで使うかを決めてみたいと思います。 それにしても、トラブルは思わぬところで、思わぬ所からやってくるものです・・・。結局、根本的な原因は分からないままだし。(気にすんな!) |
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NexImageで撮影した火星(10月22日撮影) NexImageはToUcamと比較すると、色彩が豊富でPCのモニタで見ても オレンジ色に写っていました。色調整ができないのが難点ですが、ガンマと 彩度の調整である程度眼視で見る火星の色に近づけて撮影することが可能 です。画質もなめらかなので、PCに投影して大人数で見るには適したカメラ です。 |
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