Whitey DOB25出陣

 

 

 

 

                           【天高い秋の空に燃ゆ】

 

 

9月の新月期間はものすごい青空に恵まれました。青く澄み切った空がどこまでも続いています。「これぞ秋の空」って叫びたくなるような天気です。

17日にWhitey DOB25(以下WB25)が家にやってきてから1週間。ベランダでちょこちょこっと明るい星を見たりしていますが、大口径ドブソニアン(注:あくまでもY−da自身が持っている範囲内での「大口径」と解釈して下さい)の真骨頂を発揮できるのは、やっぱり暗い星空の下です。真っ先に思いつくのは「船長っの場所」。秋になって、南からの海風が無くなった今の時期からが観望に適するようになります。

よし、ここは23日の土曜日、WB25の初出陣を兼ねて観望会に出張りましょう。

WB25の購入で、すっかりへそを曲げてしまった母ちゃんに対しては、「よーし、イオよ。明日の日曜日はみんなでお山に遊びに行こうな」と、家族サービスをアピールすることで、更なるヒートアップを防止します。

 

さて、最初はWB25の観望をメインに、撮影はカメラレンズで星野写真でも撮っておくか、と計画していました。ところが、こんなに澄んだ青空はそうそう巡り会えません。だんだんと欲が出てきて「WB25での観望」と「ホタロンでの撮影」を並行して進めることにしました。

となると、2つの巨大な機材をエアッチに積めることが出来るのかが問題となります。エアッチの荷室はお世辞にも広いとは言えません。これまで、ホタロン、EM200、小物類を入れただけでほとんど荷室が塞がっていました。これに、WB25の鏡筒とドブ架台が入るものでしょうか?

積み方をあれこれと変えてみた結果、鏡筒をEM200の上に載せ、ホタロンはフロントシートとリアシートの間の空間に載せることで、かろうじて全部載りました!ドブソニアン架台も何とか立てたままで入りました!鏡筒を荷室の奥に突っ込むときに鏡の重さでバランスが崩れ、身体がよろめくのが難点です。船長っのハイエースならこんな苦労はしなくて済むんですが、エアッチに積めることが分かっただけでもヨシとします(でも、運搬中は光軸狂いまくりだろうな、と)。

よーし、これで観望&撮影の一挙両得が狙えます。さぁ、よーるよ来い、はーやく来い。

 

 

 

 

 【道が消えた!!】

 

夜になりました。昼寝が遅かったイオがなかなか寝てくれませんでしたが、寝かしつけは途中から母ちゃんに交替して、9時半頃いざ出陣です。

今回も流すBGMはイオCD(童謡)。あれ以来、すっかりはまってしまいました。何と言いますか、陽気な童謡を聴くと、目的地に急がんとクルマを爆走させる自分がバカみたいに思えて、気持ちに余裕を持たせて運転することが出来るのです。ついでに「え?こんなフレーズだったの?」という今更の発見もあって面白いし。

ところが、そんなロンパーな雰囲気が、「船長っの場所」へ通じる山道に入った途端に吹っ飛んでしまいました。何と、台風13号の被害で、道路がヒドイ状態になっています。

「船長っの場所」への道にはいってしばらくは竹藪ゾーンが続くわけですが、崖から落ちてきたと思われる泥や石が散乱、さながら何ちゃってオフロードです。ガタガタ揺られつつそれでも奥へと進むと、次は車線半分がえぐり取られた道路が待ちかまえていました。ローダウン、エアロ車お断り!!とでも言いたげな状態です。SUVライクで車高がそこそこ高いエアッチなので、何とかクリアできましたが、それでもクルマの底を擦るか擦らないかギリギリでした。まだ登って間もないこんな場所でこんな状況なら、上はどうなっているのか?だんだん不安が押し寄せてきます。

で、その不安が的中しました。とどめは、3、4km程登ったところで、先の道がぽっかり消えているんです。

左に切り立った崖が地滑り起こして、道路もろとも右下の崖の方へと崩れたようです。崩落現場なんて、ニュースでしか見たことがなく、生で見たのは初めてでした。クルマのライトに照らされた道路の断面が不気味です。さらにその先は左に緩やかにフェードアウトしていくのですが、その先は地獄へ通じているかのような感じがします。

寸断された道路は見積もり約20mというところでしょうか。生憎、自分のエアッチは007仕様ではないので、ロケット噴射して向こうに飛び移るなんて芸当はできません。ルパンの世界だったら、切り立つ崖につたってバイーンと走っていけるのでしょうが、まずバイーンと崖に乗る前にドカーンと激突するのがオチです。早い話、ここで引き返せ、ちゅうことです。

と言っても、ここは車幅2.5mぐらいの狭い道。離合できる場所まで約500mバックで引き返して、這々の体で山道を後にしました。

下手な絵で恐縮ですが、イメージ的にはこんな感じでした。

 

 

 

【光軸疑惑】

 

 

 「船長っの場所」がダメになりましたが、しかしこのまま撤収するにはもったいない空でしたので、ここから「いつもの山」に行くことにしました。ここも、台風の被害を受けていて、所々で木が道路を塞いでいた形跡がありましたが、既に枝が切られていて途中で通れないということはありませんでした。

現場に到着したのは23時半頃。空を見上げると、雲一つ無いいい夜空です。ただ、空が明るく、おまけに風もひどかったために撮影するには厳しい環境です。「船長っの場所」がダメになった時点で気力がすっかり萎えてしまったこともあり、今回はWB25での観望に徹することにします。

 

機材のセッティングは僅かに3分。EM200だったらやっと「本体を箱から出して三脚に付けるところ」ですが、ドブソニアンだと、すぐ観望に入ることが出来ます・・・いや待て光軸調整があるじゃないですか。そう、ここに至るまでの間に、ドンガドンガと揺られまくっていましたので、光軸が出発前の状態を保持しているとは思えません。

取り出しましたるレーザーコリメータ(左の写真)。これのおかげで、夜でもその場で簡単に光軸を合わせることができます。

レーザーを照射すると、お〜お、見事に芯を外れていますよ。でも、家の中で何度も何度も練習したので、この程度だったら、チョチョイのチョ・・・(5分、10分、13分・・・)。意外と手間取りました。

 

光軸が合いましたので、早速アイピースを付けていろんな天体を見てみましょう。まずは、今の時期の旬アンドロメダ大星雲・・・の前に、旬は過ぎているけどなぜか見たくなるM57リング星雲に行きましょう。

これは以前VC200Lで見たとき、難なくリングの穴が識別出来て「20cm偉大なり!!」と唸った思い出深い天体です。きっと25cmだったら中心星が見えることでしょう(見えません)。

接眼部にPL17mmを付けて、70倍で見てみます。・・・うーん、何かピントが合ってないようなボヤッとした見え方ですね。こころなし、周りの星も点ではなく尾を引いているような気がします。変だな、光軸合わせたつもりなんですが?

そこでもう一度レーザーコリメータを付けて光軸チェックしてみました。主鏡も斜鏡もいじっていないので、基本的にはずれていないはずです・・・。

えー?思いっきりずれてんじゃん!?

 

「そんなバナナ!!」と冗談を言いたくなるような光景です。レーザーの光が中心から3つ半ほどずれているのです。もしかして鏡筒の傾きで主鏡ががたついたのでしょうか。しかし、自宅でチェックした限りでは、たしかにずれはするものの、高々1つぶんの移動量に収まりました。なにゆえ、こんなに??

渦巻く動揺の中、もう1度調整し直します。そして、一度コリメータを外して再度取り付け、再現性があるか調べてみます。

ずれてます!?

 

な、何と言うことでしょう。今度はコリメータを1/3回転させて取り付けたんですが、レーザの位置が中心から1つ半ずれてるではないですか。これってもしかしてコリメータ自身が偏芯しているのか??

まだ結論は分かりませんが、いずれにしてもコリメータを取り付けるたびにレーザの位置がずれるようであれば、光軸が合っているのかどうかを何を持って判断すればいいのか分かりません。星像でやってもいいんですが、真剣にやろうとすれば赤道儀に載せる必要が出てきますので、それもやりたくない・・・。

しかたありません。特に星がひどく歪んでいるという訳じゃないですので、今晩はこのまま観望にシフトすることにします。

 

 

 

 

【25cmの醍醐味は味わえず】

 

 

この日見た天体は、M57から始まって、アンドロメダ星雲、M33、NGC257、NGC288、M77、M2、NGC7293、NGC7009(土星状星雲)、M72、天王星、海王星でした。

WB25は2インチアイピースへの取り替えもすぐできますので、久しぶりにLV30mmを引っ張り出してみました。視野の広さとも相まってアンドロメダ星雲なんかは迫力があり、思わず唸ってしまいました。ただ、バックが明るいのが災いして、見え味としては10cmクラスの望遠鏡と大差ないような気がします。

特に、M33とかNGC7293とかの淡くて芯のない天体は薄いことこの上なく、残念ながら25cmの醍醐味を味わうには至りませんでした。

逆に、輝度の高い土星状星雲なんかはホタロンで見るよりもはっきりして、倍率を上げても像が薄れないのはさすがでした。

しかしやっぱり、低倍率で星雲を見るには夜空の暗さが第一だなあと認識させられた次第です。

 

まぁ、そうは言っても今回がWB25の本当の意味でのファーストライト。久方ぶりにゆっくりと星を見ることができた感動を胸に、帰りはリンガーハットで大漁いかチャンポン(550円+深夜料金)を食したのでした。

 

それにしても・・・「船長っの場所」に行けないのは痛いなぁ・・・。

 

 

 

 

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