アトラさん出番です

                                                                

 

  

 

【こんなはずでは!】

  

2012年の3大目玉だった「金環食」「金星日面通過」「金星食」。その結果はというと、日面通過だけは何とかモノにできたものの、他の2つは悪天候の前にあえなく沈没。

天気が悪くても、やる気さえあれば敢行できる釣りとかゴルフとかと違って、コチラの世界はたいていの場合「曇っただけでアウト」になってしまうだけに、非常に割に合わない趣味だと痛感させられた出来事でした。いっそこの世界から身を引いてしまえば、いろんな意味でハッピーになれるに違いないのですが、代わりの新たな趣味を開拓するようなガッツはなく、これからも多分気まぐれ天気に一喜一憂する生活を続けていくのだろうと思います。

・・・ってか、ここで身を引いてはならない事態が発生してしまったのです。

 

8月某日、金星食が起こる8月14日の天候が思わしくないことに次第に苛々感が増してきた中でYahooオークションをチェックしていたところ、ニューアトラクス赤道儀(以下アトラ)が出品されているのが目に止まりました。赤道儀本体、スカイセンサー、バランスウェイト、ピラー脚といったフルセットの出品内容で、開始価格は******円(拙HP倫理規約により非表示)。アトラはこれまでも何度かオークションに出品されていますが、この内容でこの開始価格はなかなかお手頃。にも関わらず、今のところ入札はありません。そんなことでいいんでしょうか!

金星食ミッションがポシャる可能性が濃厚になってきたことで、「やってらんねーよ!度」が頂点に達したことに加え、「適度」に入ったアルコールも手伝って、心と体をつなぐひもがプチっと切れてしまいました。完全に浮遊体となった指は開始価格+αの金額を入力し、入札ボタンをピッ。何という‘無茶しやがって・・・’。

でもまぁ、これが起爆剤となって入札が増えていくはず!出品者にとっていい結果に結びつくはず!

 

・・・・ところが追加入札ないまま 終 了 ( д)  

 

そんなことでよかったんでしょうか!こんなはずではなかったんじゃないでしょうか!

EOS−D以来の衝撃的な結末。しかし進んでしまった時間を戻す術はありません。後はトントン拍子で入金、発送の手続きまで済み、アトラが実家に届いたのはそれから3日後のことでした。

幸いにして、アトラが届いた日はイオと家内がイオのお友達の家にお泊まりする事になっていたので、実家から自宅への移送は問題ありませんでした。ただ!どうひいき目に見ても「何か見慣れないモノが置いてある」と分かる代物です。おそらく後日「ああ、また何か買っちまったな。」と思うことは間違いないことでしょう。特に子供たちは容赦なく「パパ、新しいの買ったの?」と家内の前で質問してくることが予想されるだけに、善後策を講じる必要がありそうです・・・・。

 

実家に届いたときの状態。

 

袋に入った状態で撮ったものです。本体の状態は非常にきれいなものでした。

重量はEM200よりも約3kgほど重いだけですが、ボリュームはEM200よりもあるような気がします。

このほかに、バランスウェイトの箱とピラーの箱が送ってきました。

ピラーの箱は置き場所がどうしても見つからず、やむなく押入の奥にしまい込みました・・・。

 

 

 

 

  

 

【架台クルクル】

 

アトラが来てからもしばらくは、箱から出さない日が続きました。天候不順が続いたこと、暑くて機材を出す気になれなかったこと、そしてピラー脚を組み立てる気になれなかったことが主な理由です。

ピラーは高さが約65cmと、EM200の三脚よりちょっぴり低く、ホタロンとか屈折系だと天頂付近の観望・撮影に苦労しそうです。また、据え付けのし易さや保管の面で今ひとつの感があります。でも、一番の理由は「押入から出すのが億劫」というところにあるのですが!

ということで、EM200の三脚を流用できないかと考え、関連情報をネットで調べることにしました。検索方法が悪かったのか、アトラに関する情報そのものが少ないことに驚きつつも、苦労の末、「コスモ天文工房」というところでEM200の三脚に載せるためのアダプタを製作していることが分かりました。価格が****円(拙HP倫理規約に基づき非表示)とこれまた手頃で、納期は1週間。迷わず注文です。

 

←アトラをEM200の三脚につけるためのアダプタ

 

右の天板みたいなのを三脚の台座に置いて、その上に赤道儀を載せ、左にあるボルトを下から通して赤道儀に接続・固定します。

 

 

アダプタが届いたこの日の夜は、雲が結構流れるあいにくの天候。しかし、赤道儀の使用感をつかむのが目的なので特に問題はありません。アトラが来てから2週間、やっと箱の中から出す日が来ました。

三脚を組み立て、その上に届いたばかりのアダプタを載せ、主役の赤道儀を装着。見た目には不格好という印象はありません。よしよし、イメージ通り(?)

後は望遠鏡を載せ・・・・・る前に、ウェイトを付け・・・・・る前に、赤道儀がちゃんと固定されているかチェックします。

 

クル・・・!?

 

ゑ?回っちゃいましたよ?何かの間違いでしょうか?・・・・も、もう一度チェックしてみます。

 

グリ・・・

 

なにぃ!?アダプタごと回っているじゃないですか。予想外の出来事に言葉を失ってしまいました。

 

アダプタが回転する様子:アダプタに打った黒い線の位置が左と右で変わっているのが分かるでしょうか・・・・

 

 

 

どうしてアダプタごと回ってしまうんでしょうか。原因としては、アダプタが三脚の台座の上に載っているだけで、固定されていないからなのではないかと考えました。

ところが、製作元の工房に問い合わせたところ、過去いくつか納めているがこのような不具合はなかったとのこと。基本的に三脚台座に赤道儀がしっかり固定されれば、サンドイッチされているアダプタは回転しないはず、ということです。

とはいうものの、固定ねじはこれ以上ないほど締めているので、やっぱりアダプタが滑っているようにも思えます。ですので、こちらとしては台座とアダプタを固定したいところ。工房側とは何度かメールのやりとりをして、アダプタの追加工をしてもらうことにしました。

ところが、明日返送しようと言うことろでクルクル回る原因が判明しました。ぎっちり締めていると思っていた固定ねじは、実は締まっていなかったのでした!先方からの指摘で「固定ねじのねじ部が長すぎて、締まる前に赤道儀のねじ穴奥に行き着いているかもしれない」と連絡があり、調べてみたところ、ワッシャをさわるとたしかにグラついていたのです。

ならば間に追加でワッシャをかませれば問題は解決するはずです。2枚ほど追加で入れた結果、ねじが行き着く前に締め付けができ、アダプタが回る現象も解消。すんでの所でアダプタの追加工は回避できました。やれやれです(工房さん、どうもお騒がせしました!)。

 

とりあえずホタロンを載っけてみました

 

今回落札したアトラには、アリミゾプレートを装着できるGPプレートが付属していたので、これまで使っていたマルチプレートとか、WB25用取り付け用のプレートなどもそのまま流用できます。

 

赤道儀自体も、感触としてはEM200にも劣らない頑強さはありそうな感じがしました。・・・が、赤緯軸に

少しがたつきがあるのが気になります(方向によってガタガタしたり、ビシッと固定されたり)。

赤経軸、赤緯軸の動きは渋めで、多少バランスが崩れてもその位置をキープします。バランス調整は結構やりにくいと思います。

 

EM200に代わって、これから長いつきあいとなるか??とりあえず、かっこはよさげ。

 

 

 

 

  

 

【目から鱗の自動導入】

 

三脚と赤道儀が無事つながりましたので、お次は極軸のセッティング。

取扱説明書を見るとびっくり。対応パターンが2010年までしかないではありませんか!これから先使っていくのにすでに賞味期限切れ?

ところがこれも、実際に見てみると2025年までは対応しているパターンであることが判明。一安心でした。

セッティング自体は、細かなやり方は異なるもののEM200と同じくらいやりやすく、精度も十分出ていました。リングレベルがあるので架台の水平を取る必要がないのも助かります。

 

そしていよいよモータを動かすときが来ました。スカイセンサーの電源を入れるとモータが駆動するようです。なんか、宇宙戦艦ヤマトが初めて発進するようなどきどき感を持ちながらスイッチを入れると・・・・

Ziiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii

 

一発でモータが動いているのが分かる音量です。表現が難しいのですが、扇風機のゼンマイ式タイマーが動いているような音と言えばイメージがわくでしょうか。一番静かな低速モードでもこれだけの音が出ることにびっくりです。EM200のパルスモータは通常はほとんど無音で、高速で動かしているときにわずかにジーッと聞こえる程度なので、それに慣れている身としては「音が聞こえる」事自体に戸惑ってしまいました。こ、これで高速モードで動かすとどうなるんでしょう?

アライメントを兼ねてどこかの星を自動導入してみることにします。導入時のスピードは後で見たところ500倍速でした。

取説片手にまず望遠鏡をセットポジションにし、スカイセンサーで基準星をベガに選択し、いざ導入。

 

キュアアアアアアアアアアア ⇒ Ziiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii・・・・・

 

でかい!・・・いや、多分これでも静かな方なんでしょうけど、夜中にこの音は結構響きます。自宅観望ではあまり多用しない方が良さそうです。

一方で、自動導入の精度と簡易さには驚きです。極軸をあわせていた事もあるのでしょうけど、2点アライメントをしただけで150倍の倍率をかけた状態でもほぼ真ん中に星が導入されます。これは素晴らしい!

 

←ベガを導入中のホタロン

 

船長っのG11と同様、目に見えて望遠鏡が動きます。まさにマシンといった感じ。

 

 

 

 

説明書によれば、単に観望するだけならば、赤道儀をだいたい北に向けて2点アライメントをすればある程度導入の精度が出ると書いてあります(3点アライメントだと、高倍率でも視野の中に導入できるそう)。アライメント前の準備も、望遠鏡を大ざっぱに水平にするだけの簡単な要領で、自分が先入観として持っていた「自動導入装置は本番に入るまでの手順が面倒」というのは、全く見当はずれということが分かった次第です。むしろ、赤道儀や望遠鏡を設置すること自体が「面倒」と考えてしまいかねない手軽さでした。

この自動導入は日中の惑星探しや惑星食などに重宝しそうです。特に、導入後はその天体の動きにあわせて追尾するようなので、これまで失敗ばかりしてきた惑星食の「出現」の観望には効果が期待できるのではないかと思います。これでモータの音が静粛だったら言うことなしなんですが、それ言ったらそもそもの話になっちゃいますわな。

 

ということで、3時間ほどお試し運転をしてみましたが、感触としては悪くありませんでした。あと何回か使えば基本的な機能は取説を引っ張り出さずに使え・・・るかもしれません。

 

 

  

 

 

【夢は大きく現実は厳しく】

 

自動導入は予想以上の扱いやすさで満足できました。次はキングオブ目玉である追尾精度のチェックです。

アトラには1つの期待がありました。それは「ホタロンでノータッチ撮影ができるのではないか?」ということです。

というのも、初代のアトラが非常に追尾精度に優れた赤道儀だという評判があるからでした。同時期に出たほぼ同クラスのEM200を上回る追尾精度、同架重量、赤経軸のウォームホイルの歯数などなど、メーカのこだわりが随所に出ていて、もし自分にNewポラリスのトラウマがなければ、EM200ではなくてコチラを選んだかもしれません。

自分が入手したアトラは2代目にあたり、自動導入が高速でできるようになった反面、いろんなところで合理化が図られ、同架重量やウォームホイルの歯数がスペックダウンした他、ウォーム部の加工精度も初代から比べると甘くなったと聞きます。とはいえ、少なくとも自分が所持しているEM200よりは追尾精度はマシだろうと思っていました。

おまけに、取扱説明書を読めば、スカイセンサーにPEC(ピリオディックエラー修正機能)が備わっているというのですから、その期待が高まるのは当然と言えましょう。

じゃじゃ馬EM200で鍛えてきたタッチガイドの技でPECれば(=PE補正をすれば)、ホタロンはもとより、焦点距離が更に倍のVC200Lでのノータッチ撮影も夢ではありません。

 

9月も半ばになって、そのPECにチャレンジしてみました。

こと座の比較的明るい星でまずはガイドを行います。これでエラーの補正量を記録させるわけです。

しかしこれがなかなか大変。ガイドアイピース内の十字線の真ん中から星がずれないよう、少しの星の動きにも修正をかけるよう心がけたのですが、モーターの速度が遅すぎてどうしても真ん中から外れてしまうのです。

PEC記録時のモーター速度は0.1倍〜0.9倍まで設定できますが、自分が最初に設定したのは0.2倍。これでは星の動きに追いつけないんだと考え、次は0.5倍にして再チャレンジ。

ところが、これでも部分的に追いつけない!特にウォームの特定の位置で急速に星が動く場所があって、そこにかかると最大の0.9倍でも戻しきれないのでした。逆に、それ以外の箇所ではモーター速度が速すぎて、ちょこちょこ修正をかけると行き過ぎ・戻し過ぎの繰り返しとなり、とても真ん中キープどころではありません。ガイドアイピース内に暴風が吹いている!と愚にもつかないいいわけをしたくなる気分です。

のべ1時間近くをかけて何度も記録をやり直し、だいたい満足できる補正ができたかな?といったところでその効果を確認したのですが、下の写真の通り、PECらない方がいいじゃんという有様。ギザギザの波形になるわ、過修正で星が大きく飛ぶところはあるわで、初トライは散々な結果に終わりました。

 

←PEC初挑戦後のピリオディックモーション

 

星の飛びはある程度抑えられてはいるのですが、比較的星の動きが安定しているところでも修正をかけすぎたために、逆に悪い結果を引き出してしまいました。

特にブラックホールから噴出するジェットみたいな飛びは、実際の直焦撮影でもしっかりと残っていました><;

 

下の星はアルビレオで、離角の基準につかいました。

(露出オーバーで、中心がよく分からないのですが・・・)

 

 

 

アトラのPECは実は使えないんだろうか。星のジャンプは止められないんだろうか。退嬰的な気分が広がる中、もう一度基本に返ることにしました。

上の星の軌跡をみると、PECが入っていない方は確かに振幅は小さいものの、なんとなく不規則な動きを見せています。特にジャンプしている部分は、たまりたまったストレスが一気に掃き出されたような感じもします。ひょっとして、これはバランスがよく合っていなかったのではないでしょうか。決まったウォーム位置で出てくるというのはちょっと奇っ怪な話ではありますが、バランス調整不足の可能性はあります。それだと、モータが星の動きについて行けない理由も説明がつきそうです。

また、前回の失敗の大きな原因は、十字線真ん中キープを目指しすぎたところにもあります。デッドバンド(=不感帯:ちょっとのズレには反応しない)を設け、余裕を持った大人の修正を心がけると案外いい結果が出るかもしれません。

 

ということで、日を改めて再びPECってみました。、今度はガイドアイピースではなくてWEBカメラを使ってPCモニタ上で追っかけてみることにします。中央のボックスの中に星をキープすることが目標です。

ちなみに、ピリオディックモーションは一般的には天の赤道付近の星で計測するそうなので、今回はこと座の星ではなく、アルタイルあたりでやってみることにしました。

 

 ←Lucamレコーダでのガイド風景

 

中央にある星がアルタイルです。後で確かめたところ、1目盛りはおおよそ4.5秒角でした。したがって中央のボックス内にキープ できれば、ピリオディックエラーは4.5秒内に収まることになる・・・はずだったのですが、そうは問屋が卸しません!

 

 

 

 

 

さすがにWEBカメラを使ってのモニタリングは大変快適です。姿勢的に楽ですし、両目が使えるので目も疲れません。ついでに、バランス調整を入念に行ったのがよかったのか、モータの反応はすこぶる快調(事前にやったバックラッシュ補正も効いているようです)、星のジャンプも見られません。これならイケル!!

果たして、当初のもくろみ通り、ほぼボックス内に星をキープしたまま記録を終わりました。これで少なくともホタロンノータッチは達成したも同然だよ!

・・・・と喜ぶ前に、レチクルのボックスから出ないことを確認しましょう。・・・・・・・・

 

出てる!出てるよ!!なんでやねん!!!

 

我が目を疑いました。あれほど完璧なガイドでボックスから出さなかったはずなのに、1目盛り半ぐらい星が出て行ってしまうのです。おまけに、突然大きく外れたかと思うと、今度はそこの場所を中心にふらふら動くという不審な挙動も見られます。

この後、リング星雲をノータッチで撮影してみましたが、5分露出を3回に分けて撮った結果、良好な写真は1枚だけで他の2枚は星が流れていました。流れの具合も線状に流れるのではなく、いびつな形をしているので、動きに不安定な部分があることを伺わせます。

焦点距離がホタロンより短いカプリ程度なら星の流れ具合もまだ少なくなると考えますが、ノータッチで撮影というのは不安が残りそうです。ましてやVC200Lの撮影なんて夢物語です。

オートガイドが全盛のご時世とはいえ、やっぱり単体としての追尾精度は追求してほしいと強く感じた次第です。

 

←再チャレンジ後のピリオディックモーション

 

ペガスス座の鼻つら付近の星でやってみました。

今度はバランスがあったためか、PECなしのときの軌跡はきれいな正弦波になりました。

 

PECを生かすと、約5秒度ほど改善できていることが確認されましたが、記録時は4.5秒前後の振れで抑えたつもりなので、それから8秒も悪くなったこの結果は意外です。

中央の星はアルビレオです。

 

 

 

 

  

PEC ONにして5分露出で連続的に3枚撮影したリング星雲。左から右の順で撮影しています。2枚目は比較的点像になっていますが、1枚目と3枚目は星が流れています。3枚目は1枚目と逆の動きをしているようにも感じられます。(撮影鏡筒:ホタロン)

 

 

 

 

  

 

 

【過去を忘れて】

 

PECの再チャレンジを終えて以降は、来る日も来る日も撮影テストを繰り返し、試行錯誤に悩む日々が続きました。

◆焦点距離が短いカプリだったら、星の流れが目立たないかもと思って試し撮りしたら、逆に大きく星が流れるし。

◆カプリの接眼部の固定が甘いのかもしれない。接眼部がしっかり固定できるホタロンで焦点距離を短くしたらいい結果が生まれるかもと思って試し撮りしたら、結果は全く変わらないし。

◆やっぱりノータッチは無理なのかと見切りを付けてガイド撮影にシフトし、神のごときタッチガイドを披露してご満悦気分で結果を見れば、やっぱり星が流れているし。

◆ガイド中はPEC入れると逆効果なのか、と思って、PECを無効にして試し撮りしたら、ますます流れるし。

 

一体何が悪いんですか!!

少なくともEM200よりタッチガイドが楽になった(=修正がそれなりにうまくいった)ような感触があったのに、EM200のときよりもズレ具合が大きくなっているようで、これは納得がいきません。もしかしてガイド鏡の固定が不十分と言うことなのでしょうか。あるいはガイド中の姿勢が悪く、視線の傾き具合で星が十字線からずれ、それを追尾エラーと間違って修正してしまっているのでしょうか。でも、こんなことってEM200の時代からやってることなんだけどなぁ・・・。

 

  

左からカプリでノータッチ撮影したリング星雲、ホタロン+レデューサでノータッチ撮影したリング星雲、カプリでガイド撮影したリング星雲です。どれもこれも代わり映えしない撮影結果です。ガイド撮影した方は、それなりに十字線の真ん中付近をキープしたつもりなんですが!

 

 

昔の天文ガイドを見ていたら、偶然ニューアトラクスのテスト記事が掲載されている刊がありました。正直提灯持ちのインプレで、中身はスカスカな気がしないでもなかったのですが、400mm望遠にテレコン付けてノータッチで撮影した球状星団の撮影結果だけは目を見張りました。テレコンの拡大率がどれくらいかはかかれていなかったものの、500mm以上、おそらく600mmぐらいにはなっていると予想します。それが見事に点像に写っているのです。「PECや大気補正を精密に設定し・・・」とあったことから、しっかり調整すれば少なくともカプリだったらノータッチで撮影できるポテンシャルは持ち合わせているようです。・・・・・もう一度PECってみるか・・・・・。そんな気にさせてくれます。

 

PECを再々チャレンジするに当たっては、記録対象の星を天の赤道付近からやや北側に位置する星に変更しました。実は天の赤道付近の星は隣家の屋根にさしかかっていて、屋根からの熱による揺らぎの影響とかが考えられたためです。アルビレオ付近であれば周りに障害物はないので、揺らぎの影響とかは抑えられます。

また、以前に記録したPECはリセットすることにしました。PEC記録に失敗したときの保険として以前のPECを後生大事に持っていたのですが、星ズレを起こすようなPECは必要ありません。過去に見切りを付けるときなのです。

更に、拡大率をもう少し上げて、ガイドの精度を上げることにします。

ここまでやって何の効果もなかった場合、アトラは惑星専用として使うことにします!

 

まさに背水の陣(?)で臨む再々PEC。拡大率を上げた分、Lucamレコーダのレチクルの中央ボックスからはみ出ることはありましたが、おおむね順調にいったという感触はありました。記録終了後8分間流してみても、前回のように飛んだり、別のところでウロチョロしたりすることはありません。今度こそ(何となく)イケてる感じがします。

ホタロンにレデューサを付けて、M15(ペガスス座)で試写してみました。5分間×3枚の試写です。いつも撮影していたM57は、この時間すでに隣家の屋根に隠れてしまっていました。撮影テストで四苦八苦してすでに1ヶ月半が過ぎていたので当たり前と言えば当たり前ですが、結構な時間を費やしたモノだ、としみじみ実感。

さて、アトラの今後を占う撮影結果はどうなったのでしょうか。やはり惑星専用となってしまうのか。

3枚目の撮影が終了し、カメラの液晶で結果をみてみると・・・・。おお!若干流れてはいますが、その程度は大きく改善されています。しかも3枚とも同じような傾向になっていますよ!

 

  

これまでの記録をリセットして再度PEC記録し直した後、ホタロン+レデューサでノータッチ撮影したM15。5分露出で左から右の順で連続的に3枚撮影しています。若干流れているものの、いびつな星像は解消され、いずれもEM200で撮影してきたものよりも良好な結果となりました。ノータッチでこれだけ撮れれば満足です。

 

 

後日カプリで撮ってみたところ、EM200のタッチガイドで一番ばっちり撮れたときの写真が、ノータッチでもコンスタントに撮ることができるようになり、満足のいく結果となりました。

これまでうまくいかなかったのは、おそらく過去のPEC記録が影響していたのかもしれません。

一時は直焦撮影にはつかないのではないかと思われたアトラは、一発逆転、直焦撮影の主役として活躍が期待される赤道儀となりました。これまでガイド撮影では風にフェイントに泣かされ続けてきましたが、ノータッチならそんな懸念も払拭できるだけに、ようやく直焦3悪の最後の1つ「ガイドミス」からも解放されそうです。

さあ、アトラさん出番ですよ。******円分の働き、見せてもらおうか!

 

  ]

こちらはカプリでノータッチ撮影したM15。上と同様、5分露出で左から右の順で連続的に3枚撮影しています。ホタロンではやや目立った星の流れも、カプリでは気にならないレベルです。「VC200Lでノータッチ」の夢から一気に下がりましたが、風に悩まされる心配が少なくなるだけでも大きな前進と言えます。

 

 

 

 

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