ト ラ 人間依存度300%、最強の甘えネコ〜

 

 

ネコは自分の死期を悟ったときひっそりと飼い主のもとを離れ、人目のつかない場所で静かにその生涯を閉じるといいます。キジ、ババァ、ミケ、タレ…、我が家で縦横無尽に駆け回った英雄はいずれも自分の死に場所を求めて、ある日フッと姿を消してそのまま戻ってきませんでした。これを思うとき私はいつも三国志の豪傑を思い忍ぶのであります(意味不明)。しかし、このトラはひと味違いました。最期の瞬間を我が家で遂げた唯一のネコなのです。それだけ我が家とともに在り続けたいということだったのでしょうか。

 

 

見てください、小さき頃のトラのこの可愛さ!!何と私のショートパンツが大好きで、所かまわず脱ぎ捨てられたショートパンツを目ざとく見つけてはその上でシュワッチをするのです。

仔猫の頃のトラは、小さいのに既に老年期を過ぎたようなしゃがれ声で、鳴き声なんぞほとんど出せないネコでした(本人は出しているつもり)。しかし、顔は口ほどにものを言う(ん?「顔」ではなくて「目」では?)とはまさにトラに相応しく、何を求めているのか顔で語りかけていました。

ちなみにトラの出生は記憶が定かではなく、不明。一説にはまたもや公園で捨てられていたのをグレーとマザーが拾ってきたとか、家の裏で生まれたものの親ネコが類い希なる不良ネコで、子供を育てないため我が家が引き取ったとか、いろんな説があります。いずれにしても外来ネコだったのは間違いありませんが…。思えば、この不遇な運命が愛を求めて止まないトラの性格を決定づけたのかも?

 

小さい頃は声が出なかったトラ。しかし、成長とともに声を出すコツが分かったのか、少しづつ「ギャァ」と出すようになりました。コイツはヘレン・ケラーか!?

小さい頃は愛らしかったトラ。しかし育ちすぎました。みるみるうちに巨大化し、体重も5kg超と歴代のネコの中でもトップクラス。図体がでかい割には気が弱く、特に自分に対して甘えるネコでした。椅子に座っているとこの巨大な生物が腹の上にのしかかり、私の顔めがけて己の顔をすり寄せてくるのです。「止せ」と手で押しのけようとしても、グイグイッ頭を上へ下へ右へ左へ揺り動かしながら迫ってくるこの力強さ!!お前の力は甘えるためだけに使われているのか!!

 

 

 

 

甘えの度は年を取る毎により強大なものとなります。もし、我が家が他のちびネコどもに関心を示そうものなら、それはもう大変なことになります。食べ物を戻すわ、ストレスのあまり体中をかきむしるわ、10円ハゲを作り出すわ…。そんなときは2週間ほどは集中してリハビリをしなければなりません。「お前がここのNo.1だよ」「おお、よしよしいいコだねぇ」。

おいおい、まるで5歳の子供をあやすような感じじゃないか。

こうした精神的なケアを続けて、次第にストレスを解消し普通の生活に戻すわけですが、ついにクビもとに出来た10円ハゲは直りませんでした。

不思議なことに犬をかわいがっているときには、トラはストレスは持たなかったみたいです。あくまでもストレス対象は他のネコ。うーん、違う生き物の場合は気にかけないものなんですかねぇ?

とにかく人からの愛情をまんべんなく受けないとアラームが出かねないネコですが、そこがまたトラのいいところですね。一昨年に天寿を全うしてタロウやみんなの所へ旅立ちましたが、トラの残した思い出は今だに我が家とともに根付いています。

ところでトラよ、お前にうり二つのネコ…トラコピー(仮称)が昨年当たりから家の周りをうろつくようになったが、コイツは警戒心旺盛で飯だけ食ったらさっさと逃げやがる。どうやらお前の子供ではないようですな。

 

 

 

 

 

 

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