アサヒ フルーツブルワリー

 

                           アップル     ラズベリー    グレープフルーツ

 

発泡酒もおしゃれをまとう時代になってきましたか。ここ最近になって、果汁を入れた変わり種の発泡酒が出るようになってきました。サッポロから発売されているアセロラ果汁入りのクールルビーがその一つです。個性のある発泡酒が出ることはいいことだと思います。しかし、このクールルビー、価格が滅法高く、その割に果汁と麦の味のバランスが悪く、とてもオススメできるモノではありませんでした。

今回紹介するアサヒのフルーツブルワリーはやはり果汁を含んだ発泡酒で、リンゴ果汁版、ラズベリー果汁版、それとやや遅れてグレープフルーツ果汁版の3つのブランドが揃えられています。最初は2004年7月に関東地区限定で先行発売されていましたが、遅れること2ヶ月余り、9月22日にようやく全国展開(リンゴ果汁版、ラズベリー果汁版)されました。

メーカー希望小売価格は189円。こちらも高いです。クールルビーのインプレでも書きましたが、安さがウリの発泡酒をわざわざ高く設定するのはどんなものでしょうか。ちょっとリッチに発泡酒を飲んでみては?というメーカーの提案があるのでしょうが、やはり首を傾げないわけにはいきません。発泡酒にはそのレベルに見合った価格帯があるはずで、果汁でお化粧したぐらいでお高く見せる演出は逆に貧乏くさいと思います。

とまぁ、文句を挙げればきりがないのですが、「それだったら初めから飲むな!」と怒られそうなので、この辺で止めておくことにして、発泡酒ならでは味を期待しつつ飲んでみることにしましょう。

発売日の9月22日、早速アップルとラズベリーを2本ずつ買ってみました。全国展開と言うことでてっきり近くのスーパーに売ってあるかと思ったらまだ置いてなくて、結局そのまた近くのコンビニでゲット。当然値引きはなく、価格を見ると198円!!えらくまた高い値付け…って、あれ?自宅に戻ってから気付いたんですが、メーカー希望小売価格は189円じゃなかったでしたっけ?9円も高いですよ。普通希望小売価格よりも安くで販売するのは知っていますが、高くで売っているのを見たのは初めてです。ちなみに、スーパーでは翌日置いてありましたが、その販売価格は178円!うはっ、1日待っときゃ良かったー!!(それでも高いですけどね)

 

アサヒ フルーツブルワリー(左:アップル 右:ラズベリー 350ml)

 

<アップル>

まずはアップルを飲んでみました。プルトップを開けるとほのかにリンゴの香りがして、心持ちゆったりした気分になります。

飲んでみると、最初の飲み口は麦が下地となって、その上にリンゴの酸味と甘みが程よく重なり、次第に位相の異なった2つのサインカーブが交互に交わるように2つの味が絡まり合うと言った、面白い味わいです。リンゴと麦の味それぞれがちゃんとバランスしていて、クールルビーのように果汁の味だけが突出するようなことはありません。しっかりした味わいがあってきっちりまとまっているな、と思いました。果汁のすっきりした甘みのおかげで発泡酒特有の甘ったらしさはなく、最後に残る酸味と相まって喉ごしも悪くありません。値段のことを全く気にしなければ気軽に飲める発泡酒です。

味の面で難点を言えば、ちょっとパンチに欠けるかな?というところでしょうか。飲んだ瞬間にリンゴの味がするのですが、これからフワッと口の中に広がりそう…というところで収束していき、次は麦の味がグッと上がってきそう…と思うとこれまた沈んでいき、と言った具合です。これだけ盛り上げといてそんな終わり方をするかー!!と言いたくなるドラマを見ている感じで、もどかしい気分になります。

もうちょっとそれぞれの味が高次元なところでバランスしてくれればいいのですが、今のところは「美味しいことは美味しいが、どっちつかずで終わっちゃった」という程度。そうそう何回も189円(安くて178円?)出して飲みたくなるほどの魅力は残念ながらありません。

 

<ラズベリー>

ラズベリーの方は、アップルと比べるとかなり味が濃いです。香りはどことなく麦っぽさが残るのですが、飲んだ味は果汁の味だけが際だちます。クールルビーと同じような性格で、麦らしい味は最後の最後しか現れてきません。それもフ〜っと鼻から息を吐いたときに僅かに鼻腔に感じられるぐらいです。アップルの方は単純にリンゴの味そのものが薄いために麦の味が消されなかっただけなのかも。

飲み口のインパクトがあるのはたしかにラズベリーの方です。赤い缶のデザイン同様、激しい情熱を感じる程パンチ力がありますし、ラズベリーの味を楽しむのであればこれを飲んでみるのも一興です。しかし、これではチューハイと何ら変わりなく、これだったら別に発泡酒にしなくてもいいじゃないですか。麦の味をお情け程度にちょっと出して訳の分からない性格にするよりは、チューハイを飲んだ方がよっぽど明快だし、安上がりです。

おそらくこれを飲んだ人は「おいしい、口当たりがいい」と思うでしょうが、同時に「発泡酒って感じしないよね」と思うに違いありません。発泡酒として売り出すのなら、ちゃんと発泡酒らしさをどこかに忍ばせるべきです。「発泡酒も自由になれる」のカッコのいいキャッチフレーズも、こんな小手先だけの味の前には空しいばかりです。ラズベリーは出直しです。

 

<グレープフルーツ>

 

アサヒ フルーツブルワリー(グレープフルーツ 350ml)

 

アサヒの果汁入り発泡酒第3弾、グレープフルーツです。発売されたのは2004年11月23日で、自分も早速買ってみたはいいものの、体調を崩してなかなか飲めずにいました。ビール飲まない日が3日連続…、これはクウェートに出張して以来ですよ。って、そんなことはどうでもいいのです。

グレープフルーツのコンセプトは、さっぱりした甘みとすっきりとした口当たり。どこかのサイトでは、こちらの方がより発泡酒の味に合うかも知れないと予想された方もいらっしゃったようです。たしかに、ラズベリーと比べれば果汁そのものは薄目ですので、麦の味とバランスが取りやすいかもしれません。また、ホップの苦みにグレープフルーツ独特の苦みが加わってくれれば個性のある味に仕上がるのではないかと考えます。

で、飲んでみた印象ですが、こちらは発泡酒の味がそこそこ残っていると思います。喉を通った後フーッと息をつくと、鼻腔の奥にモワッとした発泡酒のふくよかな香りが残りますし、グレープフルーツ果汁のさっぱりした甘さもなかなか悪くありません。しかし、特徴と言えばさっぱりした甘みと酸味がある程度でしょう。グレープフルーツにしては味が乏しく、アップル同様もうひとひねりが欲しかった。これで定価189円はちょっと、いや、かなり厳しいなぁ。

 

 

 

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