キリン クラシックラガー

 

まだ小学生とか中学生の頃、興味半分で親から少しだけビールを飲ませてもらったときのあの苦さ、ふと懐かしくなるときがありませんか?

そんなときにはこのキリン クラシックラガー。今のキリン ラガーは<生>になってしまいましたが、このクラシックラガーは昔のラガーの味を今に再現した、いわゆる昔ながらのビールです。

一般には瓶ビールとして発売され、昔の味をお手軽に味わえないのが残念です。缶に慣らされた身としてはどうも瓶を買う気にはなれず、たまに親から中元の余りと言うことでもらったとき以外はなかなか飲む機会がありません。

どこかに缶はないものか…、そう思いつつ愛媛の方に出張に行ったときに驚くべき光景を目にしました。何とクラシックラガーが缶で発売されているではないですか!!

感動の余り思わず6缶パックを買って、家に持ち帰ってしまいました。何と帰りの荷物の重たさよ。

もしかして、自分の住んでいる地域でも発売され始めたかも知れない、と思って酒屋という酒屋で探してみましたがありませんでした。聞けばこのクラシックラガー缶は中国・四国のみの地域限定発売されている代物なんだそうです。

 

キリン クラシックラガー(350ml)

クラシックラガーの前身は、ずいぶん前に復刻版として限定発売された「明治、大正、昭和のラガー」です。一時のキャンペーンとして終わるかと思いきや、その後に消費者から最も反響の大きかった「昭和版ラガー」を「クラシックラガー」として発売したのです。

こんな事なら初めっからラガーを生に移行させずに、オリジナルのラガーから「生」のブランドを派生させれば良かったのに…と思わずにいられませんが、ほとんどのビールが生になっている中ではラガーも移行せざるを得なかったのでしょう(しかし、それがラガーの味を変えてしまって、さらに求心力を失ってしまうとは…)。

 

クラシックラガー(缶)の外観は、昔のラガーのラベルを配し、さらに缶の色も若干アイボリー調にするなどしてちょっとノスタルジックな雰囲気があり、個人的には好きです。

期待に胸を膨らませ一口飲んでみました。飲んだ瞬間に口全体にツンツンと広がる苦さ。これです。このとんがった苦さこそラガーの真骨頂です。今の生ビールはアサヒスーパードライに代表されるようにすっきりした味わいがほとんどで、万人受けする調和の取れた優等生のような飲み味ですが、クラシックラガーは一言で言えばバンカラ。「この苦さを味わってみろ!」と言わんがばかりの主張を感じます。のどを通った後も胃の方から刺激がこみ上げ、しばらく口全体に苦さが残るこの感触は、まさに子供の時に飲んだビールの味でした。

こう書くと苦さだけしか特徴がないように思われますが、芯の通ったコクはやはりビールならでは。特に最近は発泡酒を飲み慣れていることもあり、ビールと発泡酒のコクの違いが明らかに異なることが分かります。ただ、エビスとか一番搾りとかと比べるとクラシックラガーは苦さが際だつ分コクは物足りないかな?と思います。

 

クラシックラガーは、スーパードライなどのあっさりビールには物足りない人が飲む「大人のビール」です。しかもその大人は決して未来への希望が見いだせない人ではなく、NHKのプロジェクトXを今に呼び起こそうとするようなアツイ人がピッタリです。

おっと、そう定義してしまうと自分はどちらかと言えば前者の方に入るので、クラシックラガーを飲むに相応しい大人にならないといかんということか。これは相当難しい…。

 

 

 

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