キリン チルドビールシリーズ

 

           まろやか酵母   ラテスタウト    豊潤    White Ale    GOLDEN HOP

一番搾り無濾過(生)

 

<まろやか酵母>

 

 

キリン まろやか酵母(330ml)

 

キリンから発売されている330mlのスモールサイズビールです。この前のサントリー「茜色の芳醇」と同じで、サントリー流に言えばテーブルビアと言ったところ。船長っの家に遊びに行ったとき飲ませてもらったのですが、これがまた美味い!!あの時の味よ、もう一度と言うことで、県内にはそれ程多くないセブンイレブンを探してようやく買ってきました。

まろやか酵母は酵母を濾過していない生ビールで、当然麦芽100%のオールモルトビール。酵母を取り除かないため保存期間は短く、ラベルの記載によれば60日が品質保持期限だそうです。新鮮な味わいがこのビールの一番のウリと言えるでしょう。

まろやか酵母も結構懐があるように見えて容量は330ml、価格は238円(税抜き)です。コンビニで買ったため値引きはなく割高な感は否めませんが、厳選されたこだわりの原材料の使用や、保存期間が短い上に大量消費が見込めない性格上やむなしでしょうか。

飲んだ感想はと言いますと。まず感動したのは、グラスに注いだ瞬間から鼻孔をくすぐる甘くふくよかな香りでした。ずいぶん昔に飲んだNAGASAKIの「あぐりの丘」ビールを彷彿とさせる香りだったので、つい懐かしい気分に。調子に乗ってあたかもワインを扱うごとくグラスを揺らして香りを楽しんでいたら泡が消えてしまいました(ありゃりゃ)。飲み味の方は、苦み、キレは少なくあくまでもまろやか。まさにブランド名そのものです。ほんのりフワッと広がる甘さ、いつまでも余韻を残す奥深いコクはアサヒのスーパードライと全く正反対で、スーパードライが大勢でワイワイしながら飲むようなイメージだとすると、こちらはジャズを聴きながらゆったりと飲む雰囲気がピッタリです。

「まろやか酵母」はプレミアム性を持たせた少々お高いビールですが、その割高感を補って余りある出来だと思います。是非お店では陳列棚の後ろの方から取り出して、なるだけ新鮮な「まろやか酵母」を楽しみましょう。

 

 

 

<Latte Stout>

 

 

キリン Latte Stout(330ml)

 

これもキリンがイトーヨーカドー系列の店舗でのみ限定発売する330mlのスモールサイズビール。たまたま「まろやか酵母」と同じ陳列棚に置かれてあるのに気付き、瞬時にしてワタシの顔は好奇心旺盛なネコ顔状態に。実はこの時箱入りの4本セットしかなかったのですが、4本も買う金はなく箱からこっそり2本だけ取り出して何食わぬ顔でレジに出したという…。神よ、この所業お許し下さい( ^v^ )?

「ラテ スタウト」の「ラテ」とはイタリア語の「牛乳」を意味していて、そう言えば「カフェラテ」とかでお馴染みの言葉ですねって…、

なにーー!?牛乳ビールですかっ!!

 

まずそう…、と思いきや、実際は牛乳の中に含まれている「乳糖」を加えたそうです(ホッ…)。最近は色んなものをビールに加える用になってきましたが、もはや何でもありの世界になってきているような気がします。そのうちビールのトマトジュース割りとか出てくるかも??

「ラテ スタウト」は名前が示すとおりスタウトビールがベースです。スタウトビールは濃厚で苦みの強い黒ビール(あるいは黒ビールに近い濃色ビール)で例えばアイルランドのギネスビールなどがこれに代表されます。それに乳糖を加えてマイルドな味わいを実現したのがLatte Stoutなのですが、苦みが特徴のスタウトに糖分を加えたら平凡な味になりゃしません???とちょっと疑問を感じました。

ところが、色んなビールの製法を調べたところ、スタウトはポーターという苦みの強い濃色ビールから派生したものでポーターに砂糖を加えて醸造したのが起源だそうです。ふーーんなるほど。んじゃあ苦みと甘みの絶妙なバランスがスタウトの味の決め手となるのかなぁ…。

ということで、興味津々で飲んでみました。結論、エビス黒が奥行きのある3次元の世界とすれば、こちらは2次元の平面の世界。プレミアム性を持たせるには何か足りません。苦みが少なく、かといってスペシャルな甘みがあるわけでもなく、濃厚なコクもなく、すっきりした味わい。値段の割に平凡な仕上がりでした。サントリーの「茜色の芳醇」と似たり寄ったりの味で、気付いてみれば同じようなインプレになってしまいました。

モルツ黒生から苦みを取りさったような味ですが、正直言ってコストパフォーマンスを考えればモルツ黒生の方が断然オススメです。「まろやか酵母」が大変美味しかったのでちょっと期待しすぎたかな?スタウトとは「強い」という意味があるらしいのですが、強さを主張するような個性に乏しいのが大変残念。多分残りの1本を飲んだらもう買うことはないでしょう。

 

 

 

<豊  潤>

 

 

キリン 豊潤(330ml)

 

キリンから2004年6月9日に「豊潤」が発売されました。チルドビールシリーズ第3弾です。チルドビールとは、酵母をろ過せずそのまま瓶詰めし、酵母の品質を低下させないため出荷から販売に至るまで冷蔵(チルド)管理されたビールです。もし店頭で室温にさらされたものがあれば、それはまず買ってはいけないということになります。

自分がこれまで飲んだビールの中で、特にまろやか酵母は3本の指に入れてもいいぐらい美味しいビールでした。ラテスタウトは「ん?」と、ちょっと期待したような味は感じられず、普通の黒ビールでした。今回発売された豊潤はどんな味がするか大変楽しみです。

パッケージの方は、ゴールド基調の立体感のないのっぺりとしたデザインです。同系統の色彩をあしらい、そのせいか麒麟の存在が薄く感じるのは自分だけでしょうか。まじまじと見ているウチに「極生」や「生黒」にやけに似ているな、と思いましたが、サイトを見て納得。極生をデザインした人によるものでした。シンプルだけど力強さをイメージしたデザインだそうですが・・・。

次にビールをグラスに注いでみます。色はアンバーの濃色で、まろやか酵母とラテスタウトの中間といった感じがします。ちょっと苦みがありそうなそんな雰囲気を予感させる色合いです。

ということで、早速グイッと。おお、苦い。飲んだ瞬間からグワっとキレのある苦みが広がりました。まろやかさはほとんどなく、のどを通った後もしばらく苦みの余韻が続きます。「豊潤」という名から想像していた味(まろやか、深みのあるコクなど、まろやか酵母の延長上にあると思っていました)とは全然違いました。これもビールの色同様、まろやか酵母とラテスタウトの中間ぐらいの味ですかね。いやいやラテスタウトからラテを取ったような味にも感じます。いや待て、単刀直入にクラシックラガーを飲んでいるような気分ですな。苦みの中にもコクがありますし、爽快なキレ。ウン、これはクラシックラガーの上位版と思って間違いないかも。

 

<White Ale>

 

 

キリン White Ale(330ml)

 

キリンのチルドビール第4弾として、2004年12月1日に「White Ale」が発売されました。今回のビールはエールビールに区分されるようです。エールビールは上面発酵型のビールで、ホップの香りが強いのが特徴とされています。エールビールにもペールエール、ブラウンエール、スコッチエールなどいくつかに分類されるようですが、このWhite Aleは「White」という名前から淡色系のペールエールに近いのではないでしょうか。

White Aleの特徴は、カスケードホップの清々しい香りと、小麦の爽やかな旨みにあるそうです。カスケードホップはアメリカなどでは有名なホップだそうで、柑橘系を思わせるいい香りがするホップと言うことです。

瓶のデザインは、白をベースに上半分におそらくカスケードホップを配し、ブランド名を挟んで下にはキリンが描かれています。「White」と言う名からどことなく冬らしいイメージを持たせますが、雪の中を駆けめぐる麒麟と言った感じで、冬に合ったデザインと思います。デカデカと麒麟の絵だけ載っけた豊潤よりはよっぽどこちらの方が良いです。

では期待して飲んでみましょうか。

グラスに注いでみるとかぐわしい香りが鼻腔をくすぐり、「あっ何だか美味しそうだな」と思います。まずはカスケードホップの効果が存分に出ています。ビールの色は透明感のないピルスナーといった感じで、どことなくにごり酒を思い起こさせます。銀河高原ビールなど地ビールには、結構この手の透明感がない色をしているものが多いので、このWhite Aleは地ビールのような雰囲気を醸しだし、それも手伝ってかふっくらとした重厚感のある印象を与えます。

さて、飲んでみましょう。はい、グイッと…。おっといきなり口の中にさわやかな刺激が広がり、それからちょっと遅れて苦みとふくよかな甘みが追いかけてきます。刺激はシュワッとはじけて喉を通り、喉の奥からコクの効いた旨さがじんわりと口の中に戻ってくるようです。まろやか酵母に似た味わいですが、さっぱり感がより表に出て快活なビールに仕立て上がっています。苦みはかなり低めに抑えられていますので、苦いビールを敬遠しがちな人にも受け入れやすいでしょう。キリンが標榜する「清々しい香り、爽やかな旨み」は伊達ではありません。また、さっぱり感の中にも懐の深い味わいがありますので、鍋の季節にも良く合うのではないかと思います。

White Aleは、まろやか酵母や豊潤とはまた性格の異なる、両者のいいとこ取りをしたようなビールです。238円(なぜかコンビニでは250円)という高い値付けでも納得のいく美味しさで、クリスマスなどちょっとしたイベントや記念日の時に飲んでもらいたいビールです。

 

 

<GOLDEN HOP>

 

 

キリン GOLDEN HOP(330ml)

 

キリンのチルドビール第5弾は、2005年11月30日に発売された「GOLDEN HOP」です。その代わり、昨年12月から発売されていた「White Ale」はフェードアウトしました。ですので、現在発売されているチルドビールは定番の「まろやか酵母」「豊潤」を合わせて3本です。

「GOLDEN HOP」の特徴は、専用サイトによると「チェコ・ザーツ産のファインアロマホップを長期に渡って低温熟成させ、しっかりした苦みとさわやかな余韻を醸し出す」というものです。

飲んでみると、豊潤とまろやか酵母の中間といった感じです。コンセプト通り最初の飲み口にグワッと苦みが効いてきますが、ほどよく抑えられているので、それほどキツイ印象はありません。ふくよかさもそこそこあり、ビールらしくコクのある深い味わいです。ただ、苦みもまろやかさも思ったより中庸でコレと言ったインパクトにかけているような気がします。「White Ale」は両者のいいところを組み合わせた美味しいビールでしたが、こちらはそれと比べると若干落ちるかな?と思います。飲み応えを重視するなら「豊潤」の方がオススメです。

 

 

<一番搾り無濾過(生)>

 

 

キリン 一番搾り無濾過(生)(330ml)

 

キリンのチルドビール第6弾は、2006年4月5日に発売された一番搾りです。一般向けの一番搾りは、副原料を入れていますが、こちらは麦芽100%のオールモルトで、酵母を濾過していないチルドビール共通の製法で仕上げています。わざわざ、一番搾りをプレミアム化するメーカーの意図が今ひとつ分からないのですが、推測としてはラガーと並んでキリンを代表するまでに至った一番搾りの、「一番搾り」というネーミングがチルドビールのコンセプトに合致していたことと、一番搾りをチルドビールの製法で作るとどのような味になるのか消費者に期待感を持たせやすいのではないか、ということが理由としてあげられるかもしれません。

 

飲んでみると、まろやかさと甘みがすごく際だち、コクも十分あります。味わい深さという点では、チルドビールの中で一番あるのではないでしょうか。一般向けの一番搾りと比べると(もともと少なかった)キレや苦みと言った爽快感を与える要素は低く、喉ごしを重視する人には物足りないかもしれませが、爽快感はほどほどに、あくまでも麦芽100%の深い味わいを楽しみたい人向けのビールといえます。

ただ、まろやか酵母とかなりかぶった飲み口で、今後両者の間にどんな違いがあるのか、と考えると、「?」がついてしまいます。これまではまろやか路線がはっきり出ていたまろやか酵母、きりっとした苦みが魅力の豊潤、これというった特徴はないもののまろやか酵母と豊潤のいいとこ取りをしたゴールデンホップと、棲み分けができていたチルドビールですが、まろやか酵母と一番搾りでなかなか区別できないところがあるので、今後つぶし合わないためには味わいに差別化を図ることが重要かと思われます。

とは言え、美味しいことには変わりませんので、肩肘を張らずに楽しんでほしいビールです。

 

 

 

 

 

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