サントリー 春生シリーズ

 

                                    2004年版    2005年版

 

【2006年版】

 

春の限定「春生」が3度目の春を迎えました。今年は、初代と同様のさわやかをコンセプトに仕上げているそうです、

さわやかさを演出するのはカスケードホップという北米産のアロマホップで、これをレイトホッピング製法の2段目に使用し、香りと清々しさを引き出しています。専用サイトを見る限りでは、醸造方法は昨年と変わりなく、ホップがファインアロマホップからカスケードホップに変わったように見受けられます。飲み口の方は苦みが程よく効いたキレのある味わいがあります。昨年は割とまろやかな味わいがありましたが、今年は少なめ。たしかにさわやかな余韻があります。

やや遅れてから甘さが口の中に広がります。この甘さ、キリン淡麗ほど嫌みはないものの、延々と持続するのが気になります。キレがある分、もう少しスッと引いてくれれば、さわやかさが増して良かったのではないかとちょっと残念に思いました。これは春生の昔から続く短所だと個人的には感じています。

とは言っても、今回の春生は昨年とはまた違った味わいで、爽快な刺激が魅力的な発泡酒です。これから花見シーズンを迎えますが、みんなとワイワイやりたい方には向いている一品です。

 

 

【2005年版】

 

昨年春の限定醸造として発売された「春生」が装いも新たにして2度目の春を迎えました。前回のコンセプトは「さわやか旨口」として、ほぼその通りの味に仕上がっていたと記憶しています。今回は名前を「はなやか春生」と変更し、随所にいろんなこだわりを盛り込んで登場しました。

 

サイトをみたところ特徴として3つあり、@ファインアロマホップの使用、Aホップを2回に分けて投入(レイトホッピング)、B天然水を使用。

レイトホッピングとは聞き慣れない言葉でしたが、よくよく調べてみると特別に新しい技術というわけではなさそうです。アサヒから発売されている熟撰も同じようにレイトホッピング製法を採用しています(こちらは3段階にわけて投入していると)。通常は煮沸工程でホップを投入しますが、煮沸が長すぎると苦みは強くなるもののホップの香りが飛び、逆に短すぎると苦みが少なくなるということで、このバランスをメーカーが最適と思われるレベルに調整するために多段投入する製法です。サントリーは、2回目のホッピングではファインアロマホップのみを投入しているということですので、おそらく最初のホッピングで苦みを引き出し、2回目のホッピングで香りを調整しているのではないかと推測します。

 

飲み口の方はサントリーらしくマイルドに仕立て上げられています。口にした瞬間、透明度のあるスッキリとした刺激があって、やや遅れてから甘みのきいたコクがふんわり広がります。この味わいはいかにもサントリーらしいなぁと思いました。

舌に残る刺激とまろやかさがなかなかバランス良くて、飲んだ後しばらくは心地よい余韻を残すのもいいです。苦みが少なくちょいと薄味志向のように感じられますが、味わい自体はしっかりとした芯を持っていますので、淡麗のような飲みやすさを保ちながらもコクを求める人に十分対応できるのではないかと思います。惜しいのは、飲んだ後の余韻が時間を経過する事に甘ったらしく感じてしまうことでしょうか。もう少しスッと引いてくれればもっと美味しく飲めるのでは、と思います。もっとも、こう感じてしまうのも単体で飲んでいるときぐらいで、食事と一緒に飲む分には食事の味にかき消されてしまう程度のものですけど。またレイトホッピングの効果なのかたしかに香りはいいですが、上に述べたように苦みはあまり感じられません。これだったら、ファインアロマホップのみの一段投入で煮沸時間を短めにとっても同じ結果が得られたのではないかな?と思います。そう単純には行かないのかな?

とは言え「はなやか春生」は、飲み口自体は堅実でそつなく仕上がった発泡酒です。まったりまろやかなコクがある発泡酒を好む人には満足できるものだと思います。個人的には是非3度は飲んでみてほしい一品です。

 

 

 

【2004年版】

 

2月24日にサントリーから春限定の発泡酒が発売されました。その名も「春生」…分かりやすい名前ですね。ここのところビール・発泡酒では赤字続きのサントリーですが、製品自体は手堅く、サッポロのようにたまに訳の分からないものを出すようなことはしないので、もっと売れても良いと思うんですけどね。

ところで、春限定のビール、発泡酒はなかなかお目にかかったことがありません。他の季節は結構限定醸造を銘打って大々的に売り出しているんですが、調べたところではサントリーが96−97年にかけて「春一番生ビール(ビール)」、サッポロが96−98年にかけて「春が来た(ビール)」を売り出したぐらいのようです。発泡酒ではおそらくこの春生が初めてではないでしょうか。

この春生のキャッチフレーズは「さわやか旨口」…サントリーって「旨口」が好きだなぁ。もうちっと気の利いた表現を見つけきれないものか。確か冬生が「すっきり旨口」でしょ。どこが違うの?という感じです。

パッケージは桜をイメージしたピンクのグラデーションをあしらっていて、背景には桜の花がデザインされています。いかにも春らしい温かい印象を与えます。これから迎える花見シーズンに持ってこいのデザインですが、ちょっと落ち着きのある日本的な雰囲気は、どんちゃん騒ぎの席よりもむしろお茶会のような閑静な席に向いているような気がします。

飲み味の方は、飲んだ瞬間に舌を強く刺激するビリビリ感が爽快です。まろやか系統の多いサントリーにしては珍しく思い切った味付けに仕上がってました。冬生は「すっきり旨口」といいながら、純生風のまったりした味でしたが、春生はマグナムドライ寄りに味付けされていて、キャッチコピーらしいすっきり感とほどほどのコクをうまく調和させていると思います。発泡酒にありがちなイヤらしい甘みがなく後味も悪くないので、途中で飽きると言うことはないかと思います。ただ、最初の飲み口に苦み(ただし炭酸による刺激で誤魔化していると思います)を強く感じるので、淡麗な味を好む女性にはちょっと違和感があるかもしれません。

「春の味とはなんぞや」と言われてしまうと即座に想像できませんが、少なくともサントリーは「さわやか」と捉え、その通りの味を持たせた発泡酒を作りました。今年の花見はディープにならず、フランクな気持ちで楽しみたい、そんな人たちにオススメです。

 

 

  インプレに戻る