サッポロ 生搾りシリーズ

 

                 生搾りHalf&Herb     生搾りFIBER      生搾りとれたてホップ    麦100%生搾り

 

 

<生搾りHalf&Herb>

 

 

 

サッポロの発泡酒といえば、やはり「生搾り」。日本語で感覚的に分かりやすい名前が受けて、黒ラベルと並んでサッポロを代表するブランドとなりました。これに味をしめてか、これ以降サッポロはとにかく和風なブランド名の発泡酒を出すようになりました。以前、「グランドビア」というビールを発売したものの売り上げは不振。その理由は「グランドビア」というブランドが消費者の心に浸透しなかったためだとか。そこで次なる一手にはイメージ的に分かりやすいものがいい、ということで「生搾り」。その思惑は見事に的中したのでした。今回紹介する「生搾りHalf&Herb」は生搾りから派生したもので、従来よりもカロリーと糖質を抑えた健康志向の発泡酒です。キリンでいえば淡麗グリーンラベルに相当するといっていいかと思います。初めにこの名前を聞いたとき「ハーフ&ハーフ」と思いこんで、黒ビールと割ったものかと勘違いしたのですが、「&」のあとは「ハーブ」でした。

「ハーフ」というのはカロリーが50%OFFであることを指し、「ハーブ」というのは「オレンジピール」というハーブの一種を配合したことを指しているのだそうです。この結果、柑橘系のさわやかな飲み味がこの発泡酒のウリだといえそうです。

飲み味の方は、元祖「生搾り」と飲み比べるとクセがなくてかなり飲みやすくなっています。サッポロはビールでも発泡酒でも独特のコクというのかクセがあって、これは結構好みが分かれるところだと思うのですが、「ハーフ&ハーブ」はより万人向けの味付けになっていると思います。かといって、そのクセがなくなってしまったのかというとそうではなく、飲んだ後しばらくしてからじわりと口いっぱいに広がり、「ああ、やはりサッポロだな」と思わせるものがあります。「ハーブ」を配合した恩恵は…、自分のチープな舌では柑橘系の味までは分かりませんでした。でも最初の飲み口がサワーを効かせたような爽快感がありますので、このあたりに「ハーブ」がいきているのかもしれません。

「ハーフ&ハーブ」は、オリジナルの生搾りからすると、苦さもコクもあらゆる点で半分に抑えられた発泡酒です。生搾りに慣れた人には物足りないかもしれませんが、「ちょっとクセがあるのよね」と言って敬遠している女性にはお勧めです。

 

 

<生搾りFIBER>

 

 

 

最近サッポロが面白いです。サッポロを代表する発泡酒と言えば「生搾り」にまたまた新たなシリーズが登場しました。その名も「生搾りFIBER」。この名を聞いた瞬間「Fiber mini(5 miniだったですかね?)」を思い浮かべた人は自分だけではないと思います。多分繊維質を含んだ発泡酒なんだろうな、と思ったら案の定でした。

最近の発泡酒は、例えばカロリーを半分に抑えたりとか、プリン体をカットしたりとか、あるいはお腹に溜まらないやつとか、とかく何かを「抑える」方向で健康志向を消費者に訴えていますが、では飲み味はというと逆に薄くなってしまって自分としては美味しいと思えません。

このFIBERが今までの健康志向発泡酒と違うのは「抑える」方向には走らず、繊維質をたっぷり取ることで健康志向を訴える道を選びました。何と350ml 1本で1日の4分の1の食物繊維を摂取できるそうです。4本飲めば1日分?お酒が好きな女性には大変魅力的な謳い文句ではないですか。

生搾りFiberの外観は、グリーン基調のほんわかとしたイメージです。個人的にはサッポロのデザインは好きなので、Fiberもうまく仕上がっていると思います。面白いのは原材料を記載している箇所に「飲み過ぎるとお腹が緩くなることがあります」と注意書きがされていることですかね。

うーーん、確かに食物繊維を取るわけだから飲めば飲むほどお通じが良くなるかも。しかし、さすがにそこまで確かめる勇気と財源はありませんでした。もし試された方がおられましたら、この注意書きの真偽を聞かせて頂きたいものです。

さて、その飲み味。食物繊維が入っているという実感は当たり前の事ながら飲み口からは分かりません。やはりこれはたくさん飲んで、お腹の調子に問うてみるしかないようです。しかし味の方は、サッポロの個性とも言えるクセが完全に消え失せていることだけは分かります。Fiberの前に発売されたHalf&Herbもクセがそれ程感じられませんでしたが、Fiberは更に薄味。飲んだ瞬間のちょっとした刺激感以外は何も口の中に残らず、こと飲み味に関して言えば平均的な発泡酒で、「これは!!」というものは皆無。サッポロを飲み慣れている人にとっては相当物足りないはずです。新しい試みをするのは大いに歓迎したいのですが、クセがあるからこそのサッポロ発泡酒の飲み口を没個性にしてしまっていいんですかねぇ。どんな健康的な飲み物でも、味がなければその魅力は半減してしまいます。せっかく食物繊維を含むという新たな開拓をしたのだから、それに相応しい飲み味を追求する意欲を見せて欲しかったと思います。

 

 

 

<生搾りとれたてホップ>

 

 

 

 

サッポロ 生搾りとれたてホップ(350ml)

 

 

2003年10月に、サッポロ生搾りからついに限定版が発売されました。キリン一番搾り 毬花にあやかってか新鮮な取れたてのホップのみを使用した、その名も「とれたてホップ」。このところ薄味志向の生搾りですが、果たしてこの「とれたてホップ」はいかがな味がするものなのでしょう。

生搾りとれたてホップは「富良野産ホップを100%使用」というところが、いかにもサッポロらしいこだわりです。

缶の横には「華やかな香りの生搾り」と書いています。ところが実際に缶を空けて匂いを確かめてみると、それ程かぐわしい香りは感じられませんでした。多分数ある発泡酒の中でも無臭に近いのではないでしょうか。製造日を見てみると「11月中」と書いてあったので別に鮮度が旧いというわけではなさそうですが…。自分の鼻が悪いのかな?

 

さて、飲んでみました。おおっ、何とすっきりした飲み口でしょう。非常にクリアーな喉ごしです。これ程澄みきった飲み味とはちょっと想像していませんでした。使用した水がいいんでしょうか。決してキレがあるわけではないのですが、スッと喉を通る爽快感は発泡酒の中でもトップクラスだと思います。これを飲んだ後、普通の生搾りを飲むと何やらモワモワッとした妙な甘みがしつこく思えることでしょう。また、この取れたてホップは久しぶりにサッポロのクセが感じられるものに仕上がっていました。最初飲んだときはクリアーながらもちょっぴり薄いか、と思いましたが、ちょっと遅れが生じて口の中に広がるサッポロ独特のクセ。オリジナルの生搾りよりも抑えられているモノの、最初のすっきりさが逆にその後のクセを引き立てます。ちょうどカーブの後に速球を投げるとその速さが際だつようなものです。ただ残念なのは、やはり全般的には薄目なので味の濃い食事と一緒に飲むとたちまち取れたてホップの味が飲み込まれてしまうことでしょうか。この日我が家ではすき焼きと一緒にコイツを飲みましたが、最後は水を飲んでいるような感じでした。

そう言う意味では食事を選ぶ発泡酒です。むしろ食前酒として何も食べずに最初に飲んでおくか、軽いおつまみと一緒にウォーミングアップ用として飲む方が、スタイルとして合っていると思います。

おそらくサッポロは来年もこの限定生搾りを出してくるでしょう。その時は今のクリアーさを保ちながらもう少しパンチを効かせた味に調整してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

<麦100%生搾り>

 

2004年3月17日に生搾りに新たなファミリーが追加されました。今回は、副原料を一切使用せず、麦とホップだけで醸造した発泡酒として出してきました。「麦100%」とは、副原料を使用していないいわばオールモルト発泡酒というわけです。また、「100%」の言葉には契約栽培の麦しか使用していないという意味も込められており、品質の良さを大々的にアピールするのもこの麦100%生搾りの大きな役割と言えると思います。ちなみに契約栽培と言っても、全て国産の麦を使用しているわけではなく、カナダ、ドイツなど各国の農場と契約して原材料を仕入れているようです。

ただですよ。麦100%と言えども所詮は麦芽使用率25%以下の発泡酒。使用率の低い発泡酒はそれ単体ではコクがなく、その埋め合わせで使用される副原料すらないとあっては、この生搾りはおそらく味も素っ気もなく小麦くさい味わいだろうな、と予想するのです。

パッケージデザインは、ロゴを金ぴかにするという豪華でいてどことなく素朴な印象です。金色は、おそらく良質の麦をイメージしての配色だと思います。普通の生搾りが銀色主体なので、金閣銀閣の双塔をなす、と言ったところでしょうか。そう思うと、この生搾りにかける意気込みも伝わってくる気がします。

早速飲んでみました。…ごめんなさい、味気ないなんてとんでもありません。しっかりした苦さとコクがあって美味しいです。特に発泡酒にありがちな甘さがなく、すっきりした味わいで爽快感も十分にあります。歴代の生搾りシリーズでは一番押し出しが強いんじゃないですか?キリンクラシックラガーのバンカラな雰囲気を彷彿とさせてくれます。惜しむらくは苦さがずっと残るので淡麗系を好む人には受け入れにくいかもしれませんが、発泡酒としては久しぶりにパンチの効いた飲み物だと思います。コレいいですよ。

 

 

 

 

 

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