サッポロの雑酒

 

               ドラフトワンシリーズ  2004年版     夏色缶   2006年リニューアル版 【New】

               スリムス         2005年版

 

ドラフトワン2004年版

またまたサッポロから新シリーズ。今度は「Draft One」という一風変わったお酒です。

2003年に発売されたものですが、その時は販売されている地域が九州の北部だけという、一種の地域限定のお酒でした。その後、2004年2月に全国で発売されることになりました。

変わっているのはこの酒の性質で、麦、麦芽を一切使用していないためビールや発泡酒に分類されず、「その他の雑酒(それもAという分類)」という区分に入るそうです。そのため税率が低く、発泡酒に比べても価格帯を1割ほど安く設定されているのがDraft Oneの一番のウリだと思います。1本あたり125円、6本セットでは安いところだと598円と、何と600円を切っている販売店も。

5月に増税された発泡酒の方は6本セットで平均720円前後。果たしてこの差は大きいのでしょうか。外観は上の写真の通り、「Draft One」の文字がデーンと構えた、ちょっとシンプルな、悪く言えば味も素っ気もないデザインです。まぁ、明快と言えば明快ではあります。原材料のところには、ホップ、コーン、スターチとビールや発泡酒とほとんど同じ原料が使用されていますが、麦関係はありません。その代わり「炭酸ガス含有」と書いてあって、おそらく炭酸で刺激感を再現していることを伺わせます。

さて飲んでみたその感想は…、うーーーん、シュワシュワっとした爽快感が意外と新鮮なんですが、これってまさしく炭酸の味です。たしかに味は発泡酒に似ているのですが、どうしても炭酸の味が舌全体に広がってなんだかジュースを飲んでいるような感じ。サッポロ独特の濃厚なクセは味わえません。刺激感も飲んだ瞬間にグワッと来る程度で、全体的には缶のデザイン通り素っ気ない印象です。サッポロの発泡酒と思って買った人は間違いなく…とまでは言いませんが、十中八九その期待を裏切られます。そのショックは、言うなればカニカマがカニではなかったと知ったときの心境ですね。

Draft Oneはいわば「なんちゃって発泡酒」なんですが、自分は発泡酒をお手本にしたお手軽アルコールはどんなものかと思います。元々発泡酒はビールに近い味をビールよりもお手ごろな価格で飲めることに意義があり、基本はビールにあります。つまり飲む人はあたかもビールを飲む感覚で発泡酒を飲んでいるわけです。いくら発泡酒がシェアを伸ばしてきたとは言っても、発泡酒をスタンダードにしてはいけません。

価格はたしかに安いのですが、自分としては少々高くても普通の発泡酒にするか、どうしても安く上げたいと思うのであれば同じ価格の酎ハイを選択する方をオススメします。

 

 

ドラフトワン夏色缶

 

 

「Draft One」が発売されてから3年あまり。なんちゃって発泡酒の先駆けとして雑酒の世界を切り開いたこのブランドも、他の3メーカーの参入ですっかり目新しさがなくなってしまいました。2006年6月21日に発売された夏色缶は、夏限定で発売されたものですが、ネルソンソーヴィンとか言うニュージーランド産ホップを使用して、 マスカットのような清々しい香りと涼やかな口当たりを実現したそうです。

飲んでみると、口に含んだ瞬間の炭酸のシュワシュワ感もさることながら、フルーツっぽい味がさわやかさに一票を投じている感じがしました。マスカットと言うよりは、どことなくグレープフルーツの味がします。何というか、以前大々的に販売してあっさり消えたアサヒのフルーツブルワリーを少々薄めたらこんな味になるんじゃないかと。本家のドラフトワンは味も素っ気もないお酒なだけに、こっちはかなりマシに思えます。あんまり杯を重ねるとちょっと不自然な味に感じてくるところではありますが、1日2缶程度ならそこそこ楽しめる一品です。限定発売ではなく、本家と入れ替わってほしいと思いました。(サッポロのサイトでは、使用したホップの収穫数が少なく、希少性が高いと言うことですから、難しいとは思いますが)。

 

 

 

 

ドラフトワン2006年リニューアル版

 

 

夏色缶から2ヶ月。ドラフトワンが装いも新たにリニューアルされました。

主な変更点は、主原料のエンドウたんぱくを増量し、ホップに欧州産のファインアロマを一部使用しているとのことです。

飲んでみましたが、・・・ダメ・・・・・。炭酸水を飲んでいるかのような無機質な味、イガイガした喉ごし、べちゃっとした甘み、夏色缶で少し印象が良くなったかに見えたドラフトワンが、再び地の底へ沈んでいったような気がしました。

飲んだ後は具合が悪くなって、そのまま寝込んだ次第。しかも1、2本ではなく、飲んだ6本全てで具合が悪くなったということは、どうも体質的にも合ってないようです。

ちょっとやられましたね。

 

 

 

 

スリムス 2005年版

 

2005年に大本命のキリンとアサヒが雑酒を出して、一気に雑酒の人気が沸騰してきました。4月時点でのビール、発泡酒、雑酒全体の出荷量の中で雑酒が占めるシェアは、3月の8%(この時点ではサッポロとサントリーのみ)から一気に19%にまで伸びたそうです。実際の出荷量についても3月の300万ケースから一気に900万ケース超に跳ね上がったと言うのですから、キリンとアサヒは何ともスゴイ量の雑酒を出荷したものだと感心させられます。

こうなると、これまで雑酒界をリードしてきたサッポロはシェアを維持するためにあれこれ対抗策を立てることになります。しかし、数に物言わせて売りまくるキリン、アサヒにまともにぶつかっても勝負になりません。ドラフトワンのマイナーチェンジを計るか、あるいは兄弟を増やすなどして消費者の興味を引きつけることになるのではないかと予想していました。

今回発売されたスリムスは、ドラフトワンの兄弟分に当たりますが、「雑酒界のパイオニア」たる意地が込められた1品であるような気がします。

スリムスは、ドラフトワンと同じくエンドウ豆タンパクを主原料に、カロリー、糖質、プリン体を抑え、健康志向を前面に押し出した雑酒です。最初は試験発売(あるいは生産ラインが軌道に乗るまで?)で、関東圏内のみでの発売でしたが、2005年6月22日に全国的に販売を開始しました。

缶のデザインは「slims」のロゴを縦に配置するという、ソフトドリンクのようなレイアウトでライトさをアピールし、何となく若者をターゲットにしたような印象を与えます。

ドラフトワンは全然好みに合わなかったこともあり、今回も被害を最小限に抑える為に2本だけ買って飲んでみました。

口に含んだ瞬間、シュワッと炭酸が口の中全体を刺激します。来るぞ、来るぞ、ここからグワッとコクがこみ上げて来る・・・・・・・来ませんね。

あっさり退かれてしまいました。炭酸の刺激だけでハイさよなら〜では、ドラフトワンと変わらんじゃないか!

こうなりゃ、何としてでも味を感じ取ってやる!ということで、味わいを楽しむためにはいかなる方法を成すべきか、あれこれやってみました。

その結果、飲んだ後に必死になって舌を口の中で振動させればいいことが判明しました。液体が喉を通過した後、舌を絶え間なく口の中で踊らせるのです。するとどうでしょう。かすかに苦みのきいた味が感じられるではありませんか。それは、葉っぱを噛みつぶしたような苦みでもあり、塩をつけないソルティードッグのようなものでもあり、どこかで味わったことのある変な味でした。

一度苦く感じると、不思議なものでその後は延々と口の奥に苦みが残ります。これが結構後味を悪くしている原因のように感じられます。

スリムスは、味としてはドラフトワンと大差なく、すっきり派の人には受け入れられやすい飲み物ではありますが、「うまい」と高らかに言える代物ではありません。ドラフトワンとの並行販売でどこまで生き延びられるか(あるいはドラフトワンが沈むのか)ちと心配になります。

 

 

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