スイス旅日記@
2000年6月某日、新婚旅行と言うことで10日間の休暇をもらって成田を出発。家内の長年に渡る強烈なリクエストに
より行き先はスイスである。
国名は知っているがどこにあるのかすら知らないダンナ様は、ほとんどのプランを家内任せ。その結果、決められた日程、
決められたコース、添乗員同行で安心なツアー旅行ではなく、自分たち自身で行き先を計画する個人旅行となった。
半年前まで中近東で生活していた実績はあるものの、正直言って英語力は皆無に等しい。いざと言う時まともにコミュニ
ケーション取れるのだろうか…。ダンナ様ちょっぴり不安。
成田から飛行機に乗ること約12時間、飛行機はチューリッヒ国際空港に向けて徐々に高度を下げ始めた。さっきまで
ぐっすり寝ていた家内は、いかにもヨーロッパを思わせるとんがり屋根の家が点在する牧歌的な風景を窓越しに見下ろし
て大はしゃぎであった。
1日目は、チューリッヒから飛行機を乗り継いでジュネーブまで向かう。スイス自体国の面積が九州程度で、チューリッヒ〜
ジュネーブまでの所要時間は大体1時間ぐらい。丁度福岡から鹿児島に飛行機で行くような感覚である。
ジュネーブ空港へ向け飛行機が高度を下げる頃に眼下の景色を見下ろすと、レマン湖が遙か遠くまで広がっていて
その一角に巨大な噴水が高く上がっているのが見える。家内の予備知識によれば、ジュネーブのシンボル的な存在だそう
で何と140mもの高さまで上がるそうである。明日のジュネーブ観光コースには組み込んでおきたい。
ジュネーブに着くと、出口ゲートでは現地スタッフが出迎えてくれた。あとはここからホテルに直行して、長旅の疲れを癒す
ことになるのだが、ここでいきなりアクシデント発生である。
成田で預けたスーツケースが出てこないのである!?
ターンテーブルに載せられてぐるぐる回る荷物が一つまた一つと受け渡されていくのに、自分たちの荷物はいつまで経っても
出てこない。ついには最後の荷物も運ばれてターンテーブルが空しく回り続けるのだった。その様子を見つめる自分たちもまた
空しい。
こいつが「ロストバゲッジ」というやつか、恐るべし…。なんて冗談を言っている場合ではないのだ!初日・2日目の着替えとか
重要な荷物はコロコロ(キャスター付バッグ)に入っているが、これだけでは到底間に合わない。
幸いなことに現地スタッフがいてくれたおかげで、空港事務員への対応はスムーズに事が進んだ。が、結局空港では荷物
を受け取ることはできなかった…。無事に荷物が出てくるのか不安に駆られたまま現地スタッフに連れられてホテルへと向
かうのだった。そこで更なる衝撃が待っていた。
ホテルに到着後、スタッフがチェックインの手続きをしている間、ロビーの中を見回す家内がふと玄関口に集められていた
荷物のシマをみてアッと小声を上げた。見ると、おおっ!自分たちと一緒に来るはずのスーツケースがデンと立っているで
はないか。
何というヤツだ!自分だけ先にホテルでくつろいでいるとは!!
どうもチューリッヒ空港では自分たちが乗る便よりも一足先に乗せられてしまったらしく、ジュネーブ空港では誰も受け取る人が
いなかったので、宿泊先の方へ運ばれたらしい。しかし、どうやって宿泊先を知り得たのだろう?コイツはいまだに謎である。
とにかく荷物が無事手元に戻ってきて良かった良かった。これで安心して(?)明日からのスイス巡りを始められる。
現地スタッフは、明日以降の旅行スケジュールでの留意点を一通り説明し、スイスパス(一定期間鉄道に乗り放題の周遊券
みたいなもの)やら記念品を渡した後事務所へと戻っていった。今度会うのはスイスを発つ8日後である。
夕食を済ませた後、旅の疲れがどっと出て一気に眠りこけて初日を終えた…。