火 星 観 望 日 記 C
【画像処理に挑戦@】 この夏は、当初の目標通り連日連夜火星観望と撮影に明け暮れ、果てにはデジカメまで新調するという献身ぶりでしたが、撮影された画像の方はなかなかこちらの思惑通りというわけにはいかず、理想としてはシャープで模様がはっきりと写ったワンショットを、と思うのですが、そんな写真はのべ1000枚以上にわたるショット中僅かに4、50枚程しかありません(それでも他の天文ファンが撮影している写真と比べると『うーーーん、何だかなぁ』というレベル)。 そもそも画質が粗いのが難点。言うなればISO3200で火星を撮影したようなこの画質の粗さ。これでデジカメとしてはISO64相当なのだから、設定をISO400相当にしようものならノイズが乗りまくり、PCで結果を見た瞬間に「お前は既にムンクになっている」という状況に陥ること受けあいです。 もちろん、画質モードを最高にすれば多少は軽減できると思うのですが、撮影できる枚数が一気に減りますので残り枚数を気にしながらの撮影となり、逆に撮影に集中できないというジレンマが。 この粗さを解決するためにはコンポジット(いくつかの画像を重ねて粒状性を平滑化する匠の技)するしかないのですが、悲しいかな、コンポジットするためのソフトウェアもしくは技法を、ワタシは身につけていませんでした。 そこで、ネットでコンポジットを簡単に出来るようなソフトウェアがないか調べてみたところ、「Astrostack」と「Registax」というフリーのソフトウェアがあることがわかり、早速その使用感を試すべくダウンロードしてみました。ということで、今回はAstrostackでやってみたドタバタ記をつづってみようかしら。 <Astrostack Ver1とは!> ネットで調べたところ、Astrostackというフリーソフトが引っかかりました。具体的な使用説明をしているサイトを閲覧した後「うーーん、これイケルじゃん」と判断し、提供先のサイトからソフトウェアをダウンロード。サイトに行ってみて分かったのですが現在は「Astrostack2」も提供されていました。先の閲覧したサイトではVer1がメインだったので、とりあえず1と2両方をダウンロードしてみました。 |
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Astrostackの優れたところといえば、何と言っても @画像の重ね合わせを自動的にやってくれる Aある程度の画像処理が可能 BBMP形式、JPG形式どちらでもOK(Ver2のみ) 特にVer2の方では画像の重ね合わせの精度が高められており、また取り扱える画像サイズも拡張されているのでかなり使いやすくなっています。 一方、不満な点とかよく分からない点は @特にVer1の場合取り扱える画像のサイズが小さく、コンポジットする前にトリミング &画像縮小が必須。またBMP形式しか取り扱えない AなぜかVer2の方はカラーでの出力が出来ない(他の人は出来ているみたい) B海外のソフトなので記述が英語。英語アレルギーの自分にはつらい (↑まっ、これはしょうがないですな)。 |
Astrostack1の起動画面 |
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ということで、まずはAstrostack1を使ってコンポジット初挑戦!ネタは撮影した中でも一番ベストな写真が撮れた8月9日版の火星にしました。 使用説明に従いまずは比較的まともに撮れているやつを自分で選定しなければなりません。コンポジットは枚数を重ねれば重ねるほど粒状性が均一になって滑らかな画像にすることができるので、ここは一発20枚程度は選んでおきたいものです。……(選定中)………6枚?\(@0@)/(ちゃぶ台返し) な、なんちゅう少なさ!これでまともなコンポジットが出来るのか??…まぁ最初は練習ですから、いきなり枚数を多くすると大変だよな。そう自分をなだめすかします。 気を取り直し、次はJPEGの画像をBMPに変換。ここで、いきなり先ほどの6枚という少なさが効きました。大変なんです、この作業。単にBMP形式にするだけならまだしも火星の本体を小さくしてやらないと処理画像領域内に収まらないのです(上記短所の@)。この作業を6回、もし20枚だったら20回!!昔の自分ならこんな作業なら喜んでやったものですが*1、ちょっと今はご勘弁かも。 画像変換は画像枚数が少ないおかげで比較的短時間で済み、次なるステップへ。「…何?ヒストグラム補正?」何だか難しそうな雰囲気がプンプンするのですが、とりあえずいくつかのレタッチソフトでトライしてみます……(あれ?どうやって補正するんだ?)……(おっかしいなぁ、調整できん)……(無言)………パスやパス! 早速コンポジットや!前準備だけでこの始末。本当にうまくいくのかしらん? 準備は万端とは行きませんでしたが、とりもなおさずいよいよAstrostackを起動。ワタクシめが厳選した火星画像ベストショット6枚を読み込み、使用説明に従ってアライメント(画像の重ね合わせ)を自動にして、さぁ、Let’s Go! ああああ!逃げていく、火星が逃げていくよぅ!! |
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何と言うことでしょう!! 本来なら1つの像に合わさっていくはずが、実行と同時に四方八方へ散らばっていく火星像(右の図で緑の火星像と紫の火星像が1つにならず離れていく)。 つい「昔船長っが友人たちとカヌーに挑戦したときの様子*2」がオーバーラップします。 点です。ワタシの目は点になりました。(・。・) 仕上がった結果は、幽霊のように半透明化した火星が…、ふっ、また伝説を作ってしまった…。理由は簡単でした。アライメントできる範囲内に火星が微妙に入っていなかったのです(例えば半分ちょん切れていたりとか)。それでソフトがアライメント処理できなかったみたいです。これをし直すとなるとまた振り出し? ………もういい、2の方を使おう。Y−da早くもVer1断念。 |
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コンポジット初挑戦後の結末… 6枚の火星の写真を1枚にするので、1枚当たりの画像の濃さは6分の1に なります。そのため、ちゃんと重ね合わせができないとこんな半透明の火星が 乱舞する結果になります。 とほほ…。 |
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<Astrostack Ver2とは!> 失意さめやらぬ中お次はVer2に挑戦してみました。こちらの方はVer1よりもいくつか機能アップされていて、 @BMPに加えて、JPEG形式の画像も処理可能(これは先ほどもいいました) AAVI 形式の動画が処理可能。ただし、圧縮形式にもよるようです。ワタシの前のデジカメはAVI 形式で動画が撮れるのですが読み込み不可能でした。 Bアライメント(画像の重ね合わせ)処理可能な領域とアライメント精度が大幅アップ ということで、特に@とBのおかげでVer1よりも前準備がかなり軽減されました。 |
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使用行程はVer1のそれをほぼ踏襲しているので、機能的に分からないと言った点はあまりありません。 サクサクっとコンポジット処理まで完了しました。おおっ、Ver1ではアライメントできなかった画像がいともあっさりコンポジットできてしまった。素晴らしい! 出来た画像はたしかに画像の粗さがなくなって滑らかになりました、が模様は逆に目立たなくなったのです。 Astrostackには簡単な画像処理機能がありますが、正直言って付録程度の存在なので機能的にはほとんど使えません。 なので、模様を強調するためには例えばフォトショップなどの画像処理ソフトを使う必要があります。 ここでは、先日買ったスキャナに付属していたフォトスタジオで処理してみました。すると…、おおおっ、何が何だか分からないうちに模様が浮き出てきたではありませんかっ!!素晴らしい!! 一体オレはどんな処理をしたんだろう? |
Astrostack2で画像を読み込む |
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@元画像の中の1枚 |
Aコンポジット処理後の画像 |
B画像処理を施した結果 |
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そう、本能の赴くままに目に付いた処理機能を片っ端から使ったので、何が一番効果的な処理だったのか記憶がないのです。多分、アンシャープマスクあたりが効いていたと思うのですが…。 いずれにしましても、気合いを入れて画像処理に挑戦したのはこれが初めてだったので、その割に良くできたのではないかと自画自賛。早速自分のHPの火星ギャラリーにアップしたのは言うまでもなく、あろうことかアストロアーツの投稿コーナにも投稿するという暴挙に出たのでした(載ってました一応)。 しかし喜んでいるのも束の間。困ったことがひとつありました。カラーでの出力が出来ないのです。カスタマイズするウィンドウで「多分これじゃないかなぁ」と言う箇所をチェックするのですが、いずれもNG。結局、未だにカラー出力する方法を見いだせないまま次なる「Registax」に移行することとなったのでした。 *1: そのむかし、面倒な作業をすることこそ目標達成への大いなる糧である、と言うのが自分のポリシーでした。フロッピーディスク20枚もあるようなアプリケーションのインストール も苦もなくやれたものです(本文へ)。 *2: そのむかし、船長っと愉快な仲間たちがカヌーに挑戦したとき、手慣れぬ仲間はあらぬ方向へちりぢりバラバラに拡散しながら流されていったそうです。離れていく火星がまるで カヌーに乗った仲間たちを連想させるモノでした(本文へ)。 |
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