親分登場! |
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【べ、別に気にならないんだからね!】 メキシコでの生活が長引いてます。1月から当初2週間程度の予定でメキシコにいったつもりが、気づいてみれば2017年ももう年の暮れ。一時帰任を挟んで延べ10ヶ月になりました。こんなに長期間海外で生活したのはン十年ぶりでしょうか。 出張先では買い物以外は特に外をぶらつくわけでもなく、大体はホテルの部屋でネットでもしながら時間を潰すのがほとんど。 特にYahooオークションなんかは、何か面白いモノがないかと日々チェックしていました。 |
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そんな2017年は11月のある日、たまたまYahooオークションを見ていて目に飛び込んできたのが「ビクセンAXD赤道儀」。 出品内容は、赤道儀本体(ウェイト、コントローラ含む)、三脚、アルミケースのフルセットで、開始価格******円(毎度のごとく、拙HPの独断的規約により非表示とします)。 決して安いとは言えませんが、いやいや、めちゃくちゃ高いんですが、過去の同製品の落札歴と比較すると値付けとしては妥当なところでした。 思わず傾きそうになりましたが、ここは自制が働きます。 何となれば、AXD赤道儀が発表された2010年当時、自分は ●お金持ち限定のような価格の赤道儀をビクセンが出すなんて何事か! ●架筒が小さ過ぎ!重くて大きい望遠鏡をこんな架筒で支えきれるわけがない! ●モアイのような間延びしたデザインがダサい! などなど悪態をつきまくっていたからでした。 また、ビクセンからは近く新型赤道儀が発表されるということでしたので、もし仮に何かの手違いで買っちゃうとしたら、新型赤道儀の方がいいんじゃないかという気持ちもありました。 というわけで、ウォッチリストに追加して、いつ、いくらで落とされるのかをチェックするに止まりました。 |
AXD赤道儀外観(メーカーHPより) |
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ただ!その一方で、いろんなサイトでAXD関連の情報を漁るこの事実! 今回のオークションに出品されているAXDと同型に関するものですが、いずれも悪くない評価のようですし、いくつかのサイトでは、追尾精度が「1秒前後」という驚異的な結果も報告されています。 たしかメーカ公称の追尾精度は3.5秒だったと思われます。しかしそれは控えめな数値で、実際はそれを上回る精度を持っているとしたら?もしかするとVC200Lノーマル焦点のノータッチガイドが出来るんじゃないでしょうか! べ、別に、AXD赤道儀は高いし、バランスも悪そうだし、デザインもイマイチだし、ハナっから気になんてしてませんよっ!! |
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【結局飛び降りる】 さて、もう1つ気になっていたビクセンの新型赤道儀。11月27日にその情報が発信されていました。それが「AXJ赤道儀」でした。 |
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本体重量18kg弱、搭載重量22kg、追尾精度±4秒、パルスモータ駆動・・・、特徴としては、駆動方式にベルトドライブを採用したことにより、バックラッシュ低減と静音化を実現した、とあります。 外観は、AXDよりもさらに赤偉体がモアイのような感じで、スフィンクス赤道儀に似た印象です。 価格は△△△△△△円で、出品されているAXD中古とほぼ同じ。おそらく実売価格はこれよりも安くなると思われますが、個人的にはやはり値付けが高い感は否めません。 本体重量や搭載重量は現在使用中のアトラと同等のスペックです。サイズ的にはEM200と比べて少し大き目な感じなのでしょうか(実物を見ていないので想像ですが)。 AXJをジッと眺めていると、全体的にノッポさんな感じがして、風とかには弱そうな印象を持ってしまいました。 |
AXJ赤道儀外観(メーカーHPより) |
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「これなら、同じ価格で出ている中古のAXDの方がまだ安心感があるかな!」 AXJに食指が動かなかったことに多少勢いもあったのだと思いますが、これまでのAXDのネガ印象はすっかり吹き飛び、「逝っちゃうか??」と悪魔が自分にささやき始めました。 これまでの経験上、こうなるともう止まりません。わずかな葛藤を経てポチる腹を括りました。ところが、・・・・・ オークション終わってます おお!何と絶妙なタイミング!!自分が最後の葛藤を繰り広げている間に、当の中古AXDは落札終了しているではありませんか!! これぞまさに「暴走すんな、冷静になれ。」との天の啓示ではないでしょうか!! AXDが落とせなかったからと言ってAXJになびくわけでもなく、瞬間風速的に発動したプロジェクトは半分残念、半分幸いの気持ちを残して終了。思えばいい夢を見させてもらいました。 ところが!AXD熱が収まりかけた3週間後の12月某日。 中古のAXDが再出品されてます 何と、あの時終了したはずのAXDがまたオークションにお目見えしているじゃないですか。写真、出品者、その他情報を見ても全く同じ出品物です。前回は確かに誰かが入札していたので落札されたはずなのですが、取引がまとまらなかったのでしょうか。 いかん、再び湧き上がるAXD熱。これを冷ますには、ネガな部分を徹底的にほじくり返さなくては。 高額な入札額、小さな架筒、いまいちなデザイン、庶民の味方ではなくなったビクセン、追尾精度1秒(かも)、追尾精度1秒(かも)、追尾精度1秒(かも)!! Y-daは清水から飛び降りた |
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【どうした親分?】 衝撃の落札から1週間後の2017年年末。約10ヶ月の滞在期間を終えた自分は、メキシコから無事帰国しました。 メキシコにいる間に入金、発送時期などの取引内容は全部完了しましたが、年末年始の関係もあり「実家」に届いたのは年明けの2018年1月始めでした。 毎度の事ながらここから自宅に持ち込むのが一番の悩みどころ。今回は、アトラが入っていた箱にAXDを入れることで外観上はいつもと同じ風景を醸し出すプランを考えましたが、そもそもAXDが箱に収まるのかどうか? 特に深く考えることもせず、とりあえず極秘のウチにアトラとの入れ替えを敢行してみました。結果、ギリギリ箱の中に入ってくれてセーフ。ただ、専用の巨大な三脚だけはどうしようもなく、しばらくはクルマの中に置いて人目を避けることにします。あいかわらず姑息よのう! フィールドでの試運転は1月中旬にやってみました。 組み上げ、撤去は実家で軽く実践してその手軽さを実感していましたが、操作性や自動導入、そして一番の関心事である素の状態での追尾精度に期待がかかります。 当日は気温が0℃と低く、アトラだったら間違いなく変な行動を起こして自分のやる気を削ぐのですが、スペック的には親分格のAXDはこんな寒さの中でも何のその。実に堅実な動作を見せてくれました。パルスモータのレスポンスは鋭いですし、クランプフリーでの動きも(EM200ほどではないですが)滑らかですし、アトラと比べて何という大人の赤道儀! コントローラのStar
Book TEN (SBT)の使い勝手も非常にいいです。星図と連携したビジュアル的な操作ができるのはもちろん、モーターの速度が表示範囲の拡大/縮小に連動していて天体の導入をやりやすくしています。速度設定の刻みが細かく、画面の表示範囲と速さがいい具合にマッチングしているので、良く調整されていると思います。 |
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自動導入中のAXD赤道儀+ホタロン 高速駆動時のモーター音は大きいですが、アトラと比べると音量は小さいと思います。 音はキーンとした高周波音で、「マシン」と言った表現がぴったりでした。 通常駆動時はほとんど聞こえないほど静かです。 自動導入では、突飛な挙動を見せることはありませんでしたが(北方角の星なのに南方向に動いたりとか、天頂にさしかかってもいないのに「三脚にぶつかります」警告を出したりとか)、モータの脱調エラーが結構発生しました。説明書を見ると、モータ出力の調整が必要とのこと。 アトラの時もこれで悩まされた時期がありましたが、AXDでも同じ悩みはついて回るのか?? あと、モータが望遠鏡とは反対側の位置に配置されていることで、取り付けるバランスウェイトが少なくて済むのはかなり助かります。ホタロン(約6.5kg)の場合、2.5kgのウェイトで十分バランスしました。 ホタロンよりも軽いカプリではウェイトが不要で、ウェイト軸の出し入れでバランスを取ることが出来ました。 |
で、操作に慣れてきたところでいよいよキングオブ目玉の追尾精度の確認です。公称値は±3.5秒ですが、これをどこまで上回ってくれるでしょうか。ちなみに、この時点では自分は公称値を下回ることなど微塵のかけらも考えていませんでした。ただただ、良好な結果が出てくれるであろうとしか思っていませんでした。ところが、 星がフラフラしてますね!? とりあえずPECを先に記録しておくべく、ガイドアイピースで星の動きを追っかけていたのですが、結構動いているのです。どうひいき目に見ても±1秒というレベルではありません。 むちゃくちゃイヤな予感! PEC記録後、ちょいと極軸をずらしてまずはPEC OFFにして星ズレの軌跡を撮影してみます。すると、基準星として撮影したアルギエバ(しし座γ星:角距離4.4秒)よりもはるかに大きい動きを見せています。こ、これは・・・・! 渦巻く動揺を抑えて、次はPECを効かせて撮影。結果は素の状態よりもかなりの改善を見ましたが、自分の思いとしてはPECなしでこうなってほしかったところ。 翌日、撮った写真を元におおよそのズレ幅を確認したところ、PECなしで大体±7秒前後。PEC効かせて最大±3.5秒弱。何と±1秒どころか公称値の2倍も振れてます。 VC200L ノーマル焦点 ノータッチガイドの夢はまたしてもガラガラと崩れ落ちた瞬間でした。 果たしてどうなる、今後の親分!! *
AXDの追尾状況を撮影したモノです。上がPEC OFF(オリジナル)で、下がPECを効かせた場合の星の動きです。 |