オートガイドの夜明け

          

 

  

 

PECる日々】

  

親分AXDの追尾精度に涙した出張りから数日が経ちました。

いつまでもショックを引きずっているわけにはいきません。*******円もの大枚をはたいてポチった赤道儀です。現実を受け入れ、共存(?)していく道を探っていくことにします。

となれば、やっぱりPECでエラーを追い込んでいくしかないでしょう。大人の赤道儀たるAXDなら案外サラッと調整できるのではないかという期待もあります。アトラで幾度となくPECをやってきた豊富な(?)経験と、レスポンスに優れたパルスモータを搭載する赤道儀をもってすればうまくいかないはずがない!

 

でもやっぱりうまくいかない!!本気のPECを見せたのに結果は散々。手強いぜ。

アトラの時もそうだったんですが、1周期回った後に星が大きく動くのです。そしてその位置でウロチョロした後、次の周期でまた動く。この繰り返しです。ウロチョロしている間は比較的エラー量が小さいだけにホント腹立ちます。

 

2度目のPEC後のピリオディックモーションです。

 

たしかアトラの時は・・・、このような動きは「東か西のいずれか片方向に偏った修正」が原因だったと思います。ならば次のPECではなるべく両方向均等に修正し、1周期到達後のオフセット量が±0となるよう心がけました。

それでも動くんかーい!(ヌガーッ!!)

たしかアトラの時は、コントローラの電源を落としたらうまくいったっけ?  (注:スターブックの場合、電源切ったら再度アライメントしないと追尾が機能しないのでダメ)

たしかアトラの時は、モーター速度を適切に合わせるとうまくいったっけ?

たしかアトラの時は、コントローラのPEC記録を完全消去したらうまくいったっけ?

たしかアトラの時は、・・・・・以下略

 

アトラで培った豊富なはずの経験値は全く役に立ちませんで、結局のところ何日かかけてトライアンドエラーを繰り返し、4度目の本気PECでようやくホタロンノーマル焦点で星ズレが目立たない程度まで追い込むことが出来ました、、、、って、

アトラと変わらんやないかーい!(ヌガーッ!!)

いやまぁアトラの時よりは安定した挙動ではあるんですが!

 

4度目のPECに撮影したかに星雲です。

 

 

 

 

【いつの間にかオートガイド環境は整ってました】

 

ノータッチガイドは自分が求める理想の撮影スタイルですが、ここまで何度かPECをしてきて思ったのは、AXDでもVC200Lのノータッチは難しいんじゃなかろうか、と。

いくら赤道儀が性能良くても、操作する側がベタでは片手落ちですもんねー。

とは言え、「VC200Lで直焦撮影」は自分の悲願の1つなので、今後もPECを追い込み続けるぞ!・・・・今一度自分を奮い立たせます。

 

こんなことを言うと、周りから「オートガイドすればいいじゃん?」と言われそうです。そう、今やすっかり当たり前となったオートガイド。でも、自分は積極的にやろうと思いませんでした。何となれば、

   @オートガイドソフトの取り扱いが複雑そう。 ←新しい物事を覚えるのが億劫!

   Aガイド星の選定が面倒そう。 ←撮影対象を変える度に(明るい)ガイド星を探さないといけないハズ!

   Bちゃんとガイドしてくれなさそう。 ←ガイド鏡の固定が今イチなので、風のフェイントに翻弄されるのでは!

   CPCの電源が持たなそう。 ←過去、電源にまつわるネタは数知れず!

PECを活かしてのノータッチガイドは天体を導入してシャッターを切るだけ、かつ、PCも使わないので、オートガイドよりはるかにお手軽だと思っていたからです。

船長っはオートガイドをやっていますが難儀する場面も結構ありましたし、ナイショの話ですがその度に「ほれほれ、ノータッチのオレはもう撮影しちゃってるぞ!」と優越感に浸ったりしてました。

 

ちなみにネットで調べてみると、オートガイドに必要なのは「オートガイダー」、「PC」、「オートガイド対応のコントローラ」、「接続するケーブル」、「オートガイドソフト」らしいですが、

   ■オートガイダー: 惑星撮影用に買ったQHYが使える。

   ■PC: ついこの間まで故障していたPCHDDを換装して復活。

   ■コントローラ: AXDのスターブックはオートガイドに対応。

   ■接続ケーブル: 手持ちのケーブルでOK

   ■オートガイドソフト: フリーソフトが出回っている。

あれ?意外にもオートガイドを出来る環境は整っているじゃないですか?

ならば試してみない手はありません。3月初め、初のオートガイドを自宅の庭でやってみることにしました。

 

初っぱなと言うことで、いきなり撮影システムを組んでも失敗しそうなので、今回はオートガイド機能が働くかだけ確認します。AXDVMC110Lを載せるだけの簡単な構成にしました。

キモになるオートガイドソフトは、ネット情報から定評が高そうなPHD guidingを使います。

ソフトを立ち上げ、カメラを接続してピント合わせ。その次はコマンドを出して赤道儀の動きをチェックする「キャリブレーション」をソフトが勝手にやってくれ、キャリブレーションが滞りなく完了後オートガイドが始まりました。・・・・・・?

え?もうガイドしてんの??

 

 

驚くほど簡単にオートガイドが始まっちゃいました。トレンドグラフの動きは大きいものの、逆に星を追っかけている感じがして正常に機能していることを伺わせます。

ソフトを起動してからガイドを始めるまで5分とかからず、冒頭に上げた「@オートガイドソフトの取り扱いが複雑そう。」は完全に自分の見当違いだったことが判明しました。

やっぱり何事も実践することが肝心だと思った次第です。

初のオートガイドは滑り出し順調(調整は今ひとつでしたが)。これはもう、次の機会で撮影システムを組んで試してみなければなりますまい!

 

  

 

【目から鱗のオートガイド】

 

オートガイド確認から2週間、317日は大変いい天気だったので、春〜夏の天体を取り締まりに出張ってきました。

引っ張り出した機材は親分AXDにホタロンとカプリの組み合わせ。

一番の目的は、その前にやっていたAXDの再PECの効果を確認することでしたが、オートガイドも実撮影に使えるか「一応」確かめておきたかったのでカプリも出陣させたのでした。

ところが、蓋を開けてみれば延々オートガイドでの撮影に終始し、PECの出番なし!

 

なんと言っても、とにかくお手軽。ガイド星の選定が手間いらずなのです。

これまでだったら対象天体を導入した後にガイド鏡のみ動かしてガイドに使う星を探すのですが、これは結構時間を食いますし、ガイドマウントの強度が弱いとガイド鏡が風に揺られて不要な補正をかけてしまいます。自分がノータッチに走った一番の原因はこれにありました。

ですが、オートガイダーに使用するQHYはかなり暗めの星でも拾ってくれ、よほどのことがない限りモニタには1つか2つ星が映し出されるのです。それでもって、そんな暗い星でもガイドするんです。

モニタ内にある星をガイド星に選ぶだけでいいのであれば、微動装置を備えたガイドマウントが要らない分ガイド鏡をがっちり固定できるので、風のフェイントは無視できます。

先にあげた「Aガイド星の選定が面倒そう。」とか、「Bちゃんとガイドしてくれなさそう。」とかは全く無用の心配事です。

 

そして高いガイド精度。概ね±1.5秒内の追尾誤差という、下手にPECを効かせるよりもよっぽどいい結果で、言わんやタッチガイドと比べるなど笑止。

そういや、その昔船長っのオートガイドシステムに対抗意識を燃やして、「タッチガイドの神髄見せたるわ。」とか言ってた気がしますが、今考えると無謀だったですね。

 

また、PCのバッテリーは2本用意していましたが、これで一晩十分に持ちました。念のためもう1本追加すれば、冬の寒い時期でもしのげると思います。

電源問題は色々不確定要素はあるものの、「CPCの電源が持たなそう。」についてもあまり神経質にならなくてもよさそう。

 

正直、オートガイドがこれほどとは思っていませんでした。これはもうオートガイドを主体にして、ガイド星がどうしても見つからないときの予備的処置でPECでのノータッチ撮影というスタイルに切り替えた方がいいんじゃないかと思いました。

まぁ、オートガイドも自分の手動介入が入らない意味では一種の「ノータッチガイド」と考えていいっすよね??

 

 

 

 

 

 

 

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