サントリーの雑酒

  

 

麦 風    スーパーブルー   サマーショット  kire(生)     麦の贅沢    ジョッキ生

 

 

<麦 風>

 

発泡酒の価格競争がほぼ終焉を迎えたことで、各メーカは発泡酒よりもより安い商品の開発を目指して頑張っていることと思います。すでにサッポロからはドラフトワンが出ており、安いところでは6本セットが598円(ただし税抜き価格)と、1本当たりの価格が100円を切るという安さを実現しています。以前のインプレで自分はクソミソにけなしましたが、価格の安さという強みは味の程度を払拭し、今や全国で売られる程にシェアを伸ばしてきました。かくいう自分も懐具合が苦しくなったときに、「ドラフトワンの誘惑」が甘く切なく呼びかけるのですが、これ以上堕落するわけにはいかない、と意味もないプライドが邪魔してくれてあれ以来飲んでいません。

そんな折り、2004年3月にサントリーから麦風というちょっと変わった商品が発売されました。これはビールと麦焼酎を混合したリキュールという品目に分類されていて、普通の発泡酒よりも安い値付けで販売されているのが一番の特徴です。なぜ、ビールベースに麦焼酎を混ぜることで安くなるのか?そのあたりのメカニズムが分かりません。いずれにしても種別がビール、発泡酒ではなくリキュールと分類されているため税率が低くなり、その分安くで提供できているようなのですが。

飲んでみると、とろりとしたまろやかな味が口の中に広がった後、遅れてジワジワと苦みが追いついてきます。純生に苦さを加えたような喉ごしだと思います。焼酎の味がどんなところに効いているのか興味津々でしたが、スミマセン、ワタシのチープな舌では焼酎の効きがよく分かりませんでした。後味は苦みがかなりしつこく残り、まるで苦い薬を飲んだような感じでちょっと減点(良薬口に苦し、か?)。もう少しコレがスッと引いてくれれば、爽快な喉ごしになると思うんですが、残念です。次のマイナーチェンジでは最後のクリアさを煮詰めてほしいです。

麦風はビール+麦焼酎というちょっと変わった試みをしてはいますが、飲み味は発泡酒と大差ありません。安い発泡酒と思って飲んでもドラフトワンよりは裏切られることはまずないと思います。これで市場価格がドラフトワン並みになればドラフトワンを食える実力はあると思いますので、ひとつ思い切って価格の見直しをやってみてはいかがでしょう。

 

 

<スーパーブルー>

サントリーは2004年の3月に麦焼酎とビールをカクテル風にアレンジした麦風なるリキュール(ビールカクテルとサントリーは言ってます)を発売しました。これは分類上発泡酒に区分されないため、より安い酒税が適用されるので発泡酒よりも安い価格で提供できる強みがあります。サッポロからもDraft Oneという発泡酒もどきが販売されていますが、個人的には麦風が好きです。

2004年6月に発売されたスーパーブルーは麦風の派生版ともいえるもので、炭酸ガスを加えて刺激感を醸しだし、キレのある爽快な喉ごしに仕上げているとのことです。夏に備えて風味をアレンジし直したというところでしょうか。

麦風はどちらかといえば、まったりとしたちょっととろみの効いた味が特徴でしたが、「キレ」が謳い文句のスーパーブルー、果たしてそのお味はいかがなものでしょう。例によって、新し物好きの自分は、発売日に3本ほど買い込んで飲んでみました。

飲んでみると、麦風と同じように甘くまろやかな味が口全体に拡がりますが、ここから先の味わいは麦風と違って甘さを持続したままシュワーっとした刺激感がやってきてスッと引いていき、そのあとちょっとした苦みが舌に残り最後の余韻を残します。まろやか→ピリピリッと来る刺激感→ほのかな苦みと3段ロケットのような味わいは実に奥行きがあります。この奥行きは発泡酒の純生に通じるものがあります。刺激感を強くするため、夏生と同じく炭酸をやや多めに含んでいると思いますが、飲んだ感じでは夏生よりももったりすることはありませんでした。

スーパーブルーは麦風の味を随所に残しながら、麦風とはまた違った味わいを楽しめ、無機質な夏生よりはこちらの方を断然オススメします。

麦風と比べてもこちらのスーパーブルーの方がメリハリがあっていいですよ。

 

kire(生)

2005年の夏は、ビール、発泡酒、雑酒とも新商品がほとんど出ず、寂しい季節になっていますが、それでも全くというわけではなさそうです。

買い物に出たついでに何か目新しいものはないかと物色したところ、ありましたありました。サントリーから「kire」というものが出ていました。分野は「その他の雑酒A」で、糖質ゼロというのが特徴だそうです。

サントリーには、現在スーパーブルーサマーショット(夏期限定)の2つの雑酒が出ていますが、いずれも小麦スピリッツが主原材料です。しかしこの「kire」は(多分)コーンタンパク分解物が主原材料になっているようです(原材料名がたくさん記載されてあって特定しにくいですが)。小麦スピリッツは何も記載されていないことから、スーパーブルーとは一線を画したブランドと見て間違いなさそうです。

「kire」についてはサントリーのサイトにも紹介されていますが、缶にも記載されていますように「糖質ゼロ」と、その名の通り「キレのある飲み味」がこの商品のウリとみていいようです。他にも「天然水100%」とありますけど、これはサントリーの商品のほとんどに共通しています。

糖質がないと言うことは当然甘みが少なく、さっぱりした飲み味に仕上がることが予想されます。もしかしたら、「キレ」とはさっぱり味に通じているのかもしれないな、と思い、早速6缶セットを買ってみました(←単品での発売がされていませんでしたのでやむなく・・・)

丸1日冷やして飲んでみます。さて、どんな切れ味を楽しめるのでしょうか。

・・・どうかな??(小田和正調で)

 

え?と思いました。全然キレがないのです。グイッと飲んだところ、モワっとした変な固まりが一斉に喉の中を通っていくような喉ごしにビックリしました。しかも冷やしたはずなのにどこか生ぬるい飲み味で、何といいますか、生き物を丸飲みしたような感じです。糖質がないので全体的に淡泊ではあるものの、「さっぱり感」は感じられません。

味も妙です。何か変な薬を飲まされているような感じがします。この味は以前体験したことのあるものでしたが、なかなか思い出せません。終わり際になってようやく「あぁ、そうだ。あの時飲んだ混ぜ物の日本酒だ」とハタと気付きました。1.8リットル650円の格安日本酒で味わった添加物の味によく似ていたのでした。それが飲んだ後もずっと続くので後味が悪くて仕方ありません。

「kire」はどうひいき目に見ても名前通りの味に仕上がっていないような気がします。これだったらスーパーブルーの方が100倍美味しいです。糖分が気になるからと言って、無理して飲む必要はないでしょう。

 

サントリー 麦の贅沢

サントリーは、夏にも雑酒の夏期限定版サマーショットを発売しましたが、冬にもこの「麦の贅沢」を出してきました。成り立ちはスーパーブルーと似通っていますが、原材料に発泡酒+小麦スピリッツではなくビール+小麦スピリッツを使用しているのが特徴のようです。そのため、味わいにより深みがでているのではないかということが予想できます。

これを見たのは本当に偶然で、たまたま家の夕食の買い出しに出たときに見つけたのでした。パッケージ名から見ててっきり発泡酒と思い、キャンペーンしていたおばさんに「これ新しく出た発泡酒?」と聞いたところ、そのおばさんも「そうなんですよ、今日発売されたばかりの発泡酒なんです」と応えます。でも待てよ?サントリーはすでに冬生出しているのに、発泡酒をわざわざ出すのかな?それに、値段を見てみると6本セットで578円と書いてあります。発泡酒にしては異常に安い値段です。どう考えても発泡酒とは考えにくいです。・・・が、そのときは種別を確認することができず、おばさんがやたらめったら「新発売の発泡酒ですよ、今がお買い時の発泡酒です。どうですか?」と「発泡酒」をアピールしてくるため、すっかり「発泡酒」としてインプットされてしまいました。この安い「発泡酒」、調子に乗って6本セットを買ってしまいます。そして、家に帰ってまじまじと見てみると・・・リキュール類って書いてあるじゃないか!!!!くそー、だまされた!!(普通気づきますって・・・)

 

自分の眼力のなさにショックを受けつつも、それでも「限定販売している割には、578円は安いじゃないか」と意味なく自分を慰め、キンキンに冷やして飲んでみました。

なかなかイイですねぇ

これ、自分好みですよ。原材料にビールが入っているからというわけではないと思いますが、ビールに近いコクがあります。苦みや刺激は薄く、まろやかな味わいで、昔出た麦風を彷彿とさせるモノがあります。スーパーブルーと比べるとグワッとこみ上げてくるような爽快感はないですが、麦の味が良く出た、ビール風としてはとても自然な味で、これを飲むとスーパーブルーが「ビール風に無理矢理仕立て上げられている」ように感じてしまうかもしれません。飲んだ後も麦の風味がしっかりと余韻を残し、リッチな気分を十二分に具現化されていると思います。

反面、刺激は少ないので喉ごしに不満が残り、もうちょっと炭酸を効かせるとメリハリが出て良かったのではないでしょうか。飲んでしばらく感じるモワッとした喉ごしはどちらかというと敬遠する人が多いと思います。

とは言え、個人的にはしっかりした飲み応えがあってこれまで飲んだ雑酒の中では一番美味しく感じられた一品です。コクが求められる冬の飲み物としてオススメしたい雑酒です。新生3がこれだけの味を出してくれたらいいのになぁ。。。

 

 

サントリー ジョッキ生

サントリーの雑酒攻勢はすごいモノがあります。この雑酒対決のコラムの中だけでも、サントリーのエントリーは4種類。力の入れようが半端じゃないです。

雑酒は2006年5月から増税になります。トウモロコシを原料とするジョッキ生は増税の対象になりますので、普通であれば増税後市場の動向を見て新商品を出すかどうか検討した方が賢明な策と思えますが、サントリーは増税後でも割安感は変わらないと見込んだのか、はたまた雑酒のシェアを伸ばしたいのか、その真意は分かりません。

ジョッキ生は上に書いたようにトウモロコシを原料にしています。原料で区分するなら、先に出したキレ生と同類といえます。ここで心配事が一つ。キレ生は全然切れていませんし、味もせせらもなかった雑酒でした。どう考えても代わり映えしないような気がしてなりません。反面、美味しく仕上がっているのではないかと、ショボイ期待も持ち合わせ、6本セットを買ってみました。

飲んでみると、・・・・・・・・・・うーん、やっぱり薬品っぽいなぁという気がします。キレ生よりは甘さがあって、刺激も感じられるのですが、棒読みしたような味わいでメリハリがありません。味はあるんだけど味がないという矛盾が同梱した味わいです。正直、この程度だったらビール風味に無理に仕立てなくても、チューハイで稼げばいいじゃんと思わずにいられません。

ジョッキ生は、飲んでもすぐ飽きる代物です。話の種に一度飲めばそれで十分でしょう。自分は後5本何とか我慢して飲んでみます。

新しい味わいを開拓する精神には敬服しますが、やっぱりサントリーは小麦スピリッツで押した方が良いです。

 

 

 

 

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