スイス旅日記C

 

スイス旅行のうち3日目から5日目まで3日間は、ここツェルマットを拠点に「アルプス巡り」というまさに今度の旅行のハイライトとも言うべきイベントである。

スイス観光の最大の魅力は、このアルプスの山々を間近に体験できることに尽きると言っても過言ではない(力説!!)。特にツェルマットにはあの名峰「マッターホルン」がある。自分にとってのスイス旅行のハイライトは、この生のマッターホルンを満喫することである。

ツェルマットからの登山コースは、大きく分けて次の3つ。

@ツェルマット → フーリ → トロッケナーシュテーク → クラインマッターホルン

Aツェルマット → ゴルナーグラート

Bツェルマット → シュネガー → ウンターロートホルン

自分たちが取ったコースはこのうちの@とA。ツェルマット2日目はゴルナーグラート目指して出発だ。

 

 

ツェルマット付近の主な観光コース図

 

赤線     : 1日目と3日目のコース(ただし、フーリ→シュバルツ湖は1日目のみ)

黄線と青線: 2日目のコース。黄線は登山列車、ローテンボーデンからリッフェルアルプを結ぶ青線はハイキング

 

 

ゴルナーグラートは、スイスでももっとも有名な観光スポットの一つで、ツアー旅行では必ずと言ってもいいほどコースに組み入れられる。

1日目のトロッケナーシュテーク程にはマッターホルンが間近に迫らないものの、ここから見るマッターホルンは大変美しく、左の写真のようなドームとマッターホルンのショットは、これまた必ずと言っていいほどスイスのパンフレットを飾っている。

さらには、ゴルナーグラートの一つ手前の駅には「逆さマッターホルン」で有名なリッフェル湖あり、初心者向けのハイキングコースありと、もうガイドブックを読んだだけでワクワクするようなシーンがまぶたに浮かんでくるのである。

 

ゴルナーグラートへ向かう登山列車の発着場はツェルマット駅のすぐ前にあって、朝早くからまずまずの賑わい。赤い色をした登山列車は一昨日ツェルマットまで乗ってきた氷河特急そっくりで、アルプスの山々に囲まれているこの地域に本当によく似合っている

料金は往復ならば通常は63SF(約4500円)で、これにスイスパスを適用すれば48SF(約3400円)に割り引きされる。今回は帰りの途中でローテンボーデンからリッフェルアルプまではハイキングするので、その区間は登山列車は利用しないけれどとりあえず往復でチケットを購入(注:記憶が定かではないですが、たしか1回の往復乗車券で途中での乗下車が可能だったと思います)。

車内は日本の鈍行列車よりも造りは簡素なものの、明るい基調のためか陽気で開放感にあふれ、これから登山する人たちの気持ちを盛り立ててくれる。

 

登山列車(リッフェルアルプで撮影)

登山列車の車内の様子

出発すると早速急な勾配を登り始め、ツェルマットの町並みを下に見ながらしばらくは周りを林で囲まれた渓谷をのどかに走る。この時点から車内はガイドが流れるが、何とここでも日本語によるガイドが!いかにスイスに訪れる日本人観光客が多いか伺える瞬間(その2)であった。

林を抜ければ、一気に視界が広がりここからはアルプスの山並みと広大な草原の大パノラマを楽しめる…はずなのだが、またしてもこの日は朝から天候よろしくなく、どんよりたれ込めた雲が山々を覆いつくしてせっかくの景色も今ひとつ。羊の群れがのんびりと草を食む風景が見られたのがせめてもの慰みか?

そういえば、周辺には所々にマーモットがいて、嫁は目ざとく見つけては「あ、あそこにマーモットのおるよ!!可愛い!!(ハート付)とはしゃぐのだが、こちらは全く遭遇しない。嫁が見つけた瞬間、即座にその方向を見るも列車はカーブを曲がってしまって期待のマーモットは列車に隠れてしまうのである。写真を撮ろうなんてとてもとても…。戦績 嫁8匹、ダンナ2匹で嫁の圧勝であった。

標高を重ねると、やがて森林限界(植物限界?)を超え、ここからはわずかな草の群れとれきの世界に。空は相変わらず曇天で、これがすっきりと晴れ渡ったらどれだけ天上の世界に入ったような気分になったかもしれない。そう思うとこの天気はやっぱり残念である。

 

ツェルマットの町並み

ゴルナーグラートへ登る登山列車(リッフェルアルプ付近から)

 

ツェルマットを出発して約1時間を要してゴルナーグラートに到着。パンフレットで見たドームのある展望所は駅を下りればすぐそこにあり、「おお、ホンモノだー!」とちょっと感動。いよいよパンフレットのアングルのような、ドームとマッターホルンの2ショットを撮るときがきた!

ところが、ここに至ってもマッターホルンは分厚い雲に覆われて晴れる様子全くなし!雲がどんどん流れて、右の写真のように頂上付近がちょこっとでも姿を現すと、周囲から「オオオオ!!」と歓声が上がり、あっさりと隠れて「あぁぁぁぁぁ!!」とため息が。

何という憎たらしい雲か!!

さて、ゴルナーグラートからはスイス最高峰のモンテ・ローザや、星好きは思わずニヤリとしてしまうカストル、ポルックス(ふたご座の双子の名前)など4000m級の山が目と鼻の先にあるのだが、いずれも雲に閉ざされて軒並み壊滅状態。しかしここまで来て「アルプスの山を見られませんでした」ではあまりにも寂しいので、せめてモンテ・ローザだけでも見るまでは帰らじの不退転の気持ちで晴れ間を待った。ひたすら待った。その甲斐あって少しづつ雲が切れ始め、雪に覆われたモンテ・ローザやリスカムの頂が眼前に!素晴らしい!

この勢いを買って是非マッターホルンも晴れてほしいが、こちらは相変わらず「オオオ!」「あぁぁぁ」の繰り返しで、どもこもなりまへん。

ドームとマッターホルンの2ショットは諦めて、ここで昼食をとったあとはハイキングに興じることにしよう。いいじゃないか、アルプスの山は大いに満喫したんだし…。

 

雲の向こうにマッターホルン…

 

 

リスカムの雄姿

 

待ちに待ってようやく雲の切れ間からリスカムの姿が拝めました。リスカムはスイス最高峰のモンテ・ローザの隣(写真では左側)にあり、標高4527m。。

このあと、モンテ・ローザも見えましたが標高が低いはずのリスカムの方が高い感じがしました。

リスカムの脇から下へ流れるように見える雪はゴルナー氷河で、ゴルナーグラートをかすめるように広がりグレンチェ氷河と合流します。大洪水を起こす大河がそのまま固まったような迫力がありました。

 

 

ハイキングは、ゴルナーグラートの次の停車駅ローテンボーデンから出発。ここでの見物は何と言ってもリッフェル湖の「逆さマッターホルン」…なのだが、上半分が依然雲に覆われて「逆さ台形ホルン」が湖面に映し出されるのみ。何というしつこい雲かっ!!しばらく待つもいっこうに晴れる気配もなく、やむなく台形ホルンを撮って再出発する。

ローテンボーデン〜リッフェルアルプのハイキングコースは下りのコースのみなので、体力0の嫁さんも疲れる様子を見せず大いに大自然を満喫しているご様子。何と言っても山に囲まれた広大な草原を歩くこの開放感がイイ。アルプスを背に両手をグワッと広げれば世界をつかんだような気分にさせてくれるし、眼下に広がるうねるような草原を見れば何だか天地がひっくり返ったような錯覚を覚えるのである。

ちょうどこの頃から空も晴れ始め、一面青空が広がってきた。マッターホルンをしつこく隠していた雲もあともう少しで消えてなくなりそう。これぞ待ちに待っていた瞬間である。足を止めてその瞬間をしばらく待っていた。すると、スーッと頂上からガスが抜けたのである。二人して「ヤッター!!」の大歓声。

素晴らしい、素晴らしいぞマッターホルン!

出来ればもっと早くにこうなって欲しかった。きっと今頃ゴルナーグラートやリッフェル湖では雄大なマッターホルンが見えたに違いない…と名残惜しくゴルナーグラート方面を振り返れば、分厚い雲に覆われていた…。あらら、あかんみたいですな。

 

リッフェル湖の逆さマッターホルン…は拝めず

リッフェルアルプまであともう少し!

 

 

マッターホルンの雄姿

 

雲が切れた瞬間です。

こうしてみると、何だかスフィンクスに似ているような気がしました。

 

とにもかくにも、最後の最後でマッターホルンを見ることが出来たおかげで、これまでのもやもやした気持ちがいっぺんに吹き飛び大満足のウチにリッフェルアルプに到着。まだ興奮冷めやらない2人は、いつまでもマッターホルンの方を見やりながらツェルマットへと戻るのであった。   (続く)

 

おまけの写真

ゴルナーグラートで出会ったセントバーナード

何ともおとなしい犬で、多くの観光客を前にしても微動だにせず。グレンツェ氷河をバックに撮ってみました。

 

ハイキングで出会ったヒツジの家族

大自然に抱かれて草を食むヒツジをみると、おおらかな気持ちになりそうです。もし自分がヒツジだったら、こんな環境で育ちたいものです。

 

 

 

 

 

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