8.エアトレックの評価はいかに?

 

11月、それは自分が心待ちにしている本が出る時期です。「間違いだらけのクルマ選び(草思社:徳大寺有恒著)」−一種のバイヤーズガイドですが、ものすごく主観的な評価なので人によっては受け入れがたい本かもしれません。

この本との出会いは笑檄でした。飲み会の集合場所にちょっと早く到着したので、近くの本屋でコイツをペラッと読んでみたのですが、開いたそのページからいきなり「ザ・下品(ランサーエボリューション)」の見出し。そして、その後にずらずら書きつづられる辛口批評の嵐…。

うっわーー、ここまで書く?

その頃自分はRVRに乗っていましたが、これに至ってはもう目も当てられないような評価でした。普通なら「けっ、何を偉そうな口をきいていやがる、てやんでい!」と憤慨するところですが、妙に説得力があって、胸くそ悪くなるどころか「なるほど」と唸るばかり。内容はマニアック的なモノではないのですが表現が巧みなんですね。クルマの外観を皮肉るにしても予め読者にイメージしやすい比喩(ストリーム→カツオブシ、エルグランド→凶暴なお面、など)を与えるなど、読んで楽しめる内容にしています。まぁ、クルマの持ち主にとってはアドレナリン吹き出しまくりなのでしょうが。

以来、年2回(大体は5月と11月)発刊されるこの本を買うのは自分にとって習慣みたいなモノになりました。

 

さて、この11月発刊の本にはおそらくエアトレックのことが書かれてあるはずです。これまで、三菱車はいずれも走行性能はべた褒めにも関わらず、デザイン面において完全敗北を喫していました。しかし、エアトレックはこれまでの三菱車になかった洗練されたエクステリアがあります。ポップなカラーのカジュアル内装があります。加えて、低速トルクたっぷりのしっとりした走り心地があります(個人的評価)。これならさしもの徳大寺センセもエアッチの死角を見いだせまい

本が発売される前から既に勝利の美酒に酔いしれる自分。いつ出るかいつ出るかとわくわくしながら待っておりました。

そして、ようやく発売。表紙には今は無きブラウン+シルバーのエアトレックのデフォルメ絵が載っていたので、まずこの本に取り上げられているのは間違いなさそうです。はやる気持ちを抑えに抑えて、順番に読んでいきます。ステップワゴンは今回も一蹴。マークUはメルセデスの猿マネと評され、MPVに至っては生まれた瞬間から旧いクルマと一刀両断。三菱車はというと、エントリーされたセディア、ディンゴ、ディオンいずれもデザイン面で蜂の巣状態でした。

もはや最後の砦はエアッチのみ。さぁ、どうよ!?その下した結果とは?

 

「エアトレック…このクルマを出した意味が分からない」 

 

ぬわっ!そうきましたかっ!?ようし、ここは不肖Y−daがご説明しようではないか。

本: ボディスタイルはべつだん悪くもないが強い個性もない。

Y: いやいや、この流麗なフォルムをご覧なさい。これまでの三菱車はみなイカツイものばっかりだったじゃないですか。これからの

    三菱のアイデンティティの先駆けになるかもしれんじゃござんせんか。

本: インテリアは結構派手だ(カジュアル内装)。ちょっと唐突な感じ。

Y: うーーん、そうかな?ポップながらもそれとなくシックでいいんじゃないっすか。自分は遠慮するけど。

本: SUVとして何がウリなのか見えてこない。

Y: そ、それは乗用車よりも比較的アイポイントが高いことと最低地上高が高いことで…(うっ、これはSUV一般に通じることではないか)

本: いったいこのクルマはどんなコンセプトで作られたのか分からない。

Y: 「エアトレックの全て(モータファン別冊)」を参照下さい。(事務口調)

 

所詮ワタクシごときが意見できる立場ではございませんでした、ハイ。

ということで、何もかも否定されたわけではなかったのですが、結局エアトレックをもってしても一矢報いることは叶わず、3ラウンドノックアウト負け(個人的所感)を喫してしまいました。ご丁寧に本の裏表紙にまで「このクルマを出した意味はあるのか」と追い打ちをかけられたりするし。死者にむち打つことは止めてくだされ。

まぁ、クルマに限らずモノや人に対する評価というのは人それぞれです。何もかも他人の言うことが正しいと思うことなく、自分の持っているエアトレック像を大事にしたいモノです。

 

 

 

 

 

 

                           前に戻る       エアトレ日記に戻る         次に進む