火 星 観 望 日 記 B

 

 

【いよいよ本番? 〜7月26日〜】

 

25日から26日にかけての夜は、結局雲に覆われてまたも観測の機会を逸してしまいましたが、26日から27日にかけての夜こそは何としても観測にこぎつけたいところ。最近日の目を見なくなったあの怪しげなてるてる坊主に登場してもらわないといかんかなぁ、と思い始めていたときですが、ようやく待望の晴れた夜空に巡り会えました。

この日も当然夕方から望遠鏡をベランダに出しておき、外気に馴染ませておきます。本来ならクーラーの効かない部屋で観測するのは地獄以外のなにものでもないのですが、不思議とここ数日はまるで秋を思わせる気温で、湿気もなく快適な観測ができそうです。

燃えてきたぜ!!

 

 

 

7月27日00時00分頃の火星面(上が南)

 

中央のやや目立つ黒い模様は「シレーンの海」。前回の火星面と

ほとんど変化ありません。

 

画像は「火星くるくる」で出力した画像をキャプチャしました。

 

 

今日の火星も昨日とあまり変わらず、シレーンの海当たり。もちろん、時間が経てば火星の模様も逐一変わっていきます。

夜になっても雲は出てくることなく、また風も出ていない様子。昨日は雲の切れ間に火星を見たものの、上空の風が影響しているのか結構像が揺らいでいて何が何だかよく分からないオレンジ色の物体といった感じでしたが、今日はビシッと見えるのではないでしょうか。ほのかな期待が夜の観測への楽しみを増幅させます。

火星が自宅のベランダから顔を出すのは大体22時45分頃ですが、出たての頃は低空のため大気の影響をモロに受けて像が揺らぐので、ある程度落ち着いた頃を見計らって約1時間経ってから見てみました。おおっ、結構しっとりした火星が見えるではないですか。何と言っても目立つのは乳白色に輝く南極冠です。明らかに「火星くるくる」で出力した画像よりも大きく、ホントに火星の季節は夏なのか?と思ってしまいます。

ただし模様は相変わらず見にくい見にくい。火星の模様は淡くて低倍率では本体の赤い光に溶け込んでしまうんですよね。なので、高倍率にして火星の輝度を落とし模様のコントラストをあげるのが望ましく、口径(mm)の2倍〜2.5倍程度をかけるのがベストなのです。昔使っていた10cm(100mm)だと200倍ぐらいでちょうどいい案配でしたが、20cm(200mm)で200倍は口径の1倍。これだとまだ本体の光が強すぎて模様が埋没してしまうのです。かといって、400倍もかけてしまうと大気の影響を受けすぎてもはやまともな火星は見えません。大体300倍でもユラユラしてしまうのですから。

 

 

 

 

 

本日の火星

 

7月26日 23時58分撮影

 

望遠鏡の向いている先にある光が火星です。この日は雲もなくすっきりとした夜空でした。とは言え、街灯などの影響を受けてしまうので明るい星以外は見えません。ベランダから見る星は惑星か月か太陽ぐらいなものです。

 

 

 

 

 

これだけ像が落ち着いているのなら写真も結構写ってくれるかもしれません。早速カメラを取り付けて撮影を始めました。展開する戦法は「とにかく写して写して写しまくる」作戦。下手な鉄砲も数打ちゃ当たる…ということで。銀塩写真だったらとても出来ない作戦で、デジカメだからこそ可能な技でしょう。さらには撮影枚数を重ねるともしかしたらコンポジット(画像を重ねて画像粒子を低減する方法)の材料になるかも。いろんな期待を込めていざ撮影ぞ!!

ピッピッピッピーカシャ、ピッピッピッピーカシャ、ピッピッピッピーカシャ、ピッピッピッピーカシャ…、暗闇に延々とこだまするタイマー撮影のビープ音。隣近所に迷惑かけていないか心配しつつ、取り憑かれたように撮影を重ねました。

撮影枚数5分の間に25枚。さぁ、これだけ鉄砲を撃った成果を早速PCで見てみました。どうよ!?

 

…二重惑星ゾラ!?

 

なんと言うことでしょう。シャッター速度が遅いのが災いし撮影中に火星が動いてしまってぶれた画像になっているではないですか。

…いや、原因は分かってます。極軸が合ってないから火星がずれていくのです。だってベランダからは北極星が見えないんだもの…。*1

今のデジカメはシャッター速度を任意に設定できず、1/8秒よりも速いシャッターが切れないのが泣き所。これが、もう少し本格的なデジカメが欲しくなった理由でもあるのですが、かと言ってニューデジカメは望遠鏡に取り付けられないし…。うーーん、悩めるY-da。

あっそうだ!古式コリメート法があるジャン。これだ、コレで行こう!!

 

<<古式コリメート法とは!?>>

 

望遠鏡の接眼レンズの後方にカメラを設置して撮影する方法。最近はカメラを望遠鏡に取り付ける道具が普及して容易に接眼レンズにカメラを合わせやすくなりましたが、昔は左の写真のようにカメラを三脚に付けて接眼レンズに合わせていました。これこそ昔ながらのコリメート法撮影です。望遠鏡とカメラは連動しないので時間が経つ毎に望遠鏡が動くとそのたびにカメラも動かさなければならず、カメラの焦点に天体を持って行くのは結構大変でした(^_^;

 

ということで、早速ニューデジカメを三脚に取り付けて撮影に取りかかりました。ところがやっぱり接眼レンズに合わせるのは一苦労で、なかなか液晶表示に火星が入ってきません。早く取り付けアダプターが欲しいところです。4、5分は格闘したでしょうか、やっとのことで液晶に火星が入ってきて撮影です。こちらのデジカメはシャッター速度の調整ができるので高速シャッターも問題なく切ることができ、だいぶん模様が写しやすくなりました。どうも前のデジカメでは露出オーバー気味だったようです。

ファーストライトの時よりもマシな写真を撮ることが出来てちょっぴり満足するY−daでした。

 

 

火星

 

7月27日 00時13分撮影

 

上(南)に白く輝く極冠が大変目立ちます。模様は、はっきりと写っているわけではないですが、一応薄黒く写ってくれました。

 

 

 

 

 

*1 地球の北極と南極を結ぶ軸に、架台の駆動軸を平行にすることを「極軸を合わせる」と言います。詳しくはこちらへ。極軸が合っていないと、架台が星を自動追尾していても

しだいにずれていくため、そのたびに修正しないといけません。極軸を合わせるためには北極星が必要で、北極星が見えない我が家のベランダでは極軸を正確に合わせる

ことが出来ません…。(本文へ

 

 

 

 

 

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