PROJECT H

 

 

 

<誘惑の神様再び>

 

Project EDが完了してからはや1年が経とうとしています。ED115Sのゲット後はほとんど毎月出張ったり、あるいは晴れていればほぼ毎日ベランダに出すようになりました。こんなに望遠鏡を引っ張り出すなんて何年ぶりですかね?

拙HPのネタ作りのために、おいそれと止めるわけにはいかない状況を作ってしまったとは言え、念願の直焦撮影が軌道に乗りましたし、ハッブルライクな惑星写真が撮れるようになりましたし、過去見たことのなかった木星と衛星の競演も楽しめてますし…で、大変満足のいく結果を残しています。

これから10年近くは付き合って行けそうだ。・・・・・・・・・・

 

なんてことを思った矢先のことでした。

 

先日(11月19日)、いつものごとくビクセン開発工業のHPに行って、何か面白いモノでも出していないかとチェックしてたら、「ホタロン130mmアポクロマート」の文字が飛び込んできました。何っ!ホタロンですと?

 

 

 

 

 

ホタロンという、カイロと間違えてしまいそうなこの名前、フッ化物ガラス(CaFK95)の名称です。フッ化カルシウムの人工結晶であるフローライトとほぼ同等の性質を持ちながら、ガラス材と言うことで加工がしやすく、強度もフローライトより高いというもっぱらの評判です。ちなみにフローライトは蛍石とも呼ばれるので、それに近い特製があることからホタロンという名がついたということを聞いたことがあります。

それが、突然ビクセン開発工業から出るということで、これはビックリしました。

 

ビクセンは、昨年まではフローライトとEDの2種類の高性能屈折望遠鏡をリリースしていましたが、フローライトシリーズがカタログから落とされ、現在ではEDシリーズのみの販売になっています。2004年11月ぐらいにEDレンズの仕様を変更して、従来よりも性能をアップしたモデルを販売し始めましたが、ホタロンシリーズの話は全然耳にしません。もしかしたら試験的に製作をしているのが、今回試験的に発売することになったのでしょうか!

とにもかくにも詳細のページに行ってみました。

しかし、この日の段階では下の概要だけ。普通は「GO!」を押すといろんな情報が記載されたページが出るんですが、そこまではまだいけないようです。

 

 

 

 

オンラインショップの一覧を見ると、3枚玉、 限定発売30万円以下の文字が飛び込みました。

おお、3枚玉ですか!?基本的には玉数が多ければそれだけ光学的性能が高くなりますから、2枚玉のED115Sよりも高性能であることが伺えます。しかも使っているレンズはEDよりも基本性能が上のホタロンですから尚更です。

別にED115Sに全く不満はないのですが、これを見せられると収まりかけた(?)物欲がフツフツこみ上げてくるのが分かります。従来のパターンで言えば、これはもう買いモードに他なりません。

しかし、最悪30万円ですよ?前回のProject EDでは散々「安いヤツを安いヤツを」と検討に検討を重ねた挙げ句、泣く泣くフローライト(特価18万円)を諦めたというのに、それから1年も経たないうちから30万円に手を出していいものでしょうか。

 

おまけに、鏡筒長は推測1m近くに及ぶことが予想されます。これまたProject EDで散々検討しましたように「ベランダ観測ではコンパクトな鏡筒が有利」ということで、泣く泣くED102S(特価11万円ぐらい)を諦めたのです。ED115Sを買った直後「(コンパクトな)これを選んで正解だった」とまで言っておきながら、それから1年も経っていないのにあっさり方針転換していいものでしょうか。

 

ついでに言いますと、太陽観測用のフィルターとか、ついこの間作ったピント合わせツールは、ED115Sクラスの望遠鏡にフィットするように仕上げています。明らかにでかい130mmホタロンではこれらが全部パーということになりかねません。これでいいものでしょうか。

 

いいんです

 

大体がです。いろいろと自分を後押しする誘惑の神様がいらっしゃるんです。何と言っても限定発売。この言葉に揺り動かされてしまうのが、自分が自分であり続ける理由です。過去幾度この言葉に泣かされてきたでしょうか。しかも、今回はそれに加えて販売台数が数台と明記されているのが憎たらしいところです。

数台…ということは、感覚的には2〜3台、もう少し多くしても5〜6台といったところでしょう。かなりのレアものです。(注:今後も機会を見て発売されるかもしれない、とは全く考えていない)。

参りました。ただでさえ、「限定」という言葉に弱い上に「レアもの」だと分かった日には、尻の穴がむず痒くなって落ち着かなくなってしまいます。

 

そしてトドメの神様が、競合相手の出現です。もしかしたらホタロンを買うために、現在所持している機材をオークションに出す人がいるんじゃないか、と予想していました。ただ、それはもう少し後のことだと思っていました。

というのも、11月19日や20日の段階では、具体的な価格の提示がなく、また鏡筒仕様の詳細も分からない状態でしたので、ホタロン買う前から売りに出す人なんていないと思ったからです。

ところが、オークションを見ると何と「ホタロン買うために手放します」と言う出品者がいらっしゃるのでした。負けられません!!(負けろよ) 

自分は、まるでメーテルに呼び寄せられた鉄郎よろしく、走り出した物欲列車スリーナインに飛び込んでしまいました。お金のことなど後からどうにでもなります、仕様のことなど自分の予想通りになってくれているはずです。まだ注文受付も解禁されていないというのに、オーダーフォームに「ホタロン130mmF7鏡筒」と打ち込んで、ためらうことなく「注文」PBを押したのでした。

                                                 

 

 

<あの手この手>

 

さて、運命の注文PBを押した翌日、さっそくビクセン開発工業から返信のメールが届きました。多分注文受付完了か、あるいは完売による注文不可の連絡でしょう。

一体どちらに転がるか、と思ったら、向こうからの返事は「とりあえず仮予約番号5番で受け付けます。注文が確定しましたら12月1日以降に再度連絡下さい」という内容でした。注文は受け付けるが、思いとどまれ、と冷却時間を与えてくれたようにも聞こえます。が、飛び出した物欲列車は既に太陽系の果てまでガタゴトいっちゃってそうなので、ブラックホールでも出現しない限りはそのまま突っ走る公算が高いです。

 

それにしても、自分の前には既に4人も予約を立てた方がいらっしゃるのにはオドロキです。しかも「予約番号が6〜7番以降の方は、お待ち頂いたり期待に添えないかも知れない」とあることから、まだまだ予約を入れている方がいるんだということが分かります(自分は5番目という事でギリギリご期待に添えてもらえそう)。

11月24日時点でメーカーが提示した仕様ページの中には、自分を含む12人の人がコンタクトしている、と書いてありました。具体的には下記のような内容ですが、メーカーさん困惑してるのと同時に、「‘見切り発車’ご注文」のお客様をちょっと皮肉ってるようにも見え、思わず苦笑・・・。

 

 

 

 

とにもかくにも、これで注文の目処は立ったっちゅうことです。では、早速次の関門へ向けて対策を練らないといけません。それはもちろん、資金調達と家内の監視網・・・この2点につきます。

 

(その@資金繰り)

前回、「30万もつぎ込んでいいの?→いいんだ!」と勢いで言ったはいいですが、冷静に考えてみれば、結構な大金であることがジワリと染みこんできます。一応お金は揃えられるんですけど、極力出費を減らしたい気持ちが働くのです。手持ちの機材を売り払って少しでも回収せねば。

まず断腸の思いで、買ったばかりのED115Sを売却することにしましょう。多分これが回収資金の大半を占めるはずです。短い付き合いだったものの、そのまったりとした密度の濃い親交は永遠に自分の心の中に刻み込まれることでしょう(?)

次に、これも勿体ないですけど防具76EDにもご協力頂きます。ちょっと状態が良くないのが難点ながら、買った値段の半分でも吸収出来れば万々歳です。

その他、使う機会がないGA−4、昔良く活躍したミザールガイドマウント、入手したばかりのモノセントリックアイピースミードバローレンズも放出です。何故かエアトレックの標準テールランプ(??)

うーーん、思惑通りに進んでも10万円いくかいかないか、だなぁ・・・。

どうしても20万円はショートしちゃいますねぇ。これはボチボチ返済することにしましょう。あてはないですが。

・・・え?VC200Lは売らないの?ですか。あれは星雲・星団観望に残しておこうと思います。やっぱり、20cmで見る星雲・星団の迫力は10cmクラスとは違いますから(その割に全然使ってませんが)。

 

(そのAすり替え)

資金調達と双璧をなす関門が、いかに家内の監視網をくぐり抜けるか、です。さわやかな笑顔で、堂々と箱を持ち帰るなんてことは死んでもできません。正直に申告したところで、首を絞められるのがオチです。

・・・(長考中)・・・自分のプアな頭で考えられるのは、すり替え作戦ぐらいでしょうか。

すなわち、望遠鏡は実家の方に届けさせておいて、「父ちゃん星見」に乗じて一旦実家でED115Sとホタロンをすり替え、シレッと星見を終えて持ち帰る。「ん?箱の大きさが微妙に違わない?」 こんな言葉は出てこないよう、部屋での置き方にも工夫を凝らすことを忘れてはいけません。

これや、これしかあらへん。何という完璧な手段。

そこまでセコい手段をとらなければならない自分が悲しい!!

まっ、それはそれとして、もし12月10日ぐらいが納期であれば、17日か18日をターゲットに「父ちゃん星見」を入れておいて、この作戦を実行しましょう。もちろん、この日は最低でもうっすら晴れ間の見える天気でなくてはなりません。雨が降っているのに星見を敢行すれば、それだけで怪しまれますから。

ということで、エセ坊主に祈っておくことにしておきますか…。

 

ビクセン開発工業のHPでは、そろそろホタロンの具体的な仕様も掲載されるようになってきたようです。さて、その内容とはどんなモノなのでしょう。ちょっと楽しみです。

 

 

                                            

<焦りは禁物>

 

「ホタロン」発売の予告が経ってから数日後、ホタロンの仕様についてもボチボチ出てくるようになりました。

一般的な仕様は、有効径130mm、焦点距離910mm(口径比F7)、全長980mm、重量6.5kg、鏡筒外径140φ云々・・・、現在ビクセンから発売されているED130SSとほぼ同じスペックです。

パック内容はホタロン鏡筒、7×50ファインダーだけで、今回は鏡筒バンドが付属していませんでした。

幸いにしてED115Sの鏡筒バンドが使えますから新たな出費は必要ありませんが、ED115Sを売りに出す場合、「鏡筒バンドが付属しない」のがマイナスポイントになりそう。このビハインドは、ホタロンに付属する新品のファインダーをお譲りすることでゲインアップを図ります。

 

さらに数日してからは、鏡筒の外観写真がアップされていました。今度はフード部が一回り大きくなって2段フォルムになっています。これぞ天体望遠鏡のシルエットです。欲を言えば、ビクセンから出されているNA140SSのような、ちょっと近代風な感じになってくれればなお良かったのですが、そこまで言っては罰当たり?

 

 

 

PH130SSの外観

NA140SSの外観

 

今回は珍しく収差曲線まで発表されていました。ED115Sと比べてどのような性能の差があるのか確認したかったので、願ってもない情報です(もちろんこれだけで性能が語れるものではないですが)。

ベンチマークとしてED130SSの収差図も出ています。ED115Sの収差傾向はこの130SSとほとんど同じと考えられるので、ますます興味深いことです。

これで比較すると、当然のことではありますがほとんどの色において分散度が少なくなっていて(各色が集約している)、特に紫色の線が一目盛ほど中心付近に集約しているのが分かります。この図で見る限りでは、ED115Sで気になった青いハロがおそらく目立たないレベルになっているのではないでしょうか。加えて、口径比がF7と暗めの設計であることから推測すると、より色収差の少ない星像が得られそうです。

 

 

PH130SSED130SSの色収差チャート

 

左がPH130SSで右がED130SSです。

PH130SSの各色が、より集約しているのが

分かります。色分散が少ないことを表しています。

 

 

あとはコストパフォーマンス次第です。ED115Sは、価格と性能が絶妙にマッチングした(と個人的に思っている)望遠鏡でしたが、さてこのホタロンはどうでしょう。

気になるのはやっぱり価格です。最初の発表では「30万円以下」となってますが、そうは言っても25万円以上30万円以下までは「30万円以下」なのです。

常識的に考えれば、例えば27万5千円だったら28万円以下と書くのが普通でしょうから、多分限りなく30万円に近い「30万円以下」なのだろうな、と思うものの、心の内では限りなく25万円に近い「30万円以下」も期待しています。根拠はないですが、自分の中では26万円ぐらいを目安に、あれこれ「機材を売却した場合の取り戻し分」を考えたりするわけです。

で、ついにその価格もアップされました。どっちに転ぶのか・・・→29万8千円!!

だったら「約30万円」と書いといてくれ!!

 

送料別料金、銀行振り込み手数料を考えると30万円オーバーは必至。このコストパフォーマンスをどう考えるべきでしょうか。何を持って価格相応の性能と判断すべきでしょうか。

・・・(長考中)・・・。

見てないのに分かりませんね。大体自分は頭の中であれこれ考えず、トライ&エラーの人生、後悔先に立たずの言葉がよく似合う男です。実際に見て撮って扱ってみてから判断したいと思います。

 

ということで、迎えました12月1日。この日から6日まで注文解禁となります。

もちろん、1日のうちに注文確定の再連絡をしましたよ。(自分が興味のあることに限って)鉄は熱いうちに打て-----これがモットーですから。

これできっとメーカーからは「注文受け付けました。どこそこの口座にいくら振り込んで下さい。」と連絡が入るでしょう・・・。と思ったら、来た連絡は「注文受け付けました。最終案内は7日に連絡致しますので今しばらくお待ち下さい」でした。そんなに焦るなよ!ということですか、ハッハッハッ。

どうやら「打った鉄は冷えるまで待て」というのも心がけておく必要があるようです。

 

 

 

 

<早ければいいというものでもなく>

 

12月1日に注文確定の連絡を入れたものの、最終案内は注文受付期間(12月1日〜6日)が終わってからということで、7日まで案内が来るのを待ちました。ホタロン争奪戦の行方に非常に興味がありますが、メーカーのページで公開されている情報を見る限りでは、まだ「完売」になりません。見切り予約が多かったので、速攻で完売になるだろうという予想も見事なまでに外れてしまいました。

 

そして迎えた運命の7日。夕方4時頃にメーカーから案内が届きました。嬉しいことに、298000円の中には送料も入っていたようで、30万円オーバーまでいかない可能性が高くなってきました(後は振り込み手数料がどれだけかかるか?)。自分のモットーは「鉄は熱いうちに打て。ただし興味があるもの限定」ですから、案内を受けるや早速お金をおろして振り込みに行ってみます。久しぶりに手にする30万円+αに喜び覚える反面、これが10数分後にはあっさりなくなるかと思えば、何とも言えない儚さも感じます。しかし、その日は既に振り込みの時間帯が過ぎていて、一応丸1日大金を手にする喜びを満喫した次第です。

 

さて、メーカーからの案内には、振り込み要領の他にも幾つかの留意事項が書かれてありました。読んでみると、個体差により1本1本焦点距離が異なるのだそうです。それで「双眼鏡用に複数買った人は了承下さい」と。ふんふん、そりゃそうだな・・・って、

2本買った人がいるんですか!!

 

双眼装置用に買いたい気持ちは分かるんですが、玉が少ない上に購入者があぶれてるとなれば、一人一本に限定してよさそうなものです。

 

もう一つ留意事項があって、「見えに支障のないコートキズも許容した」らしいです。何!!もしや棚ズレ品なのか?だとすれば、本チャンのホタロンが近くビクセンから発売される可能性もあるのか?そんな勘ぐりを入れてみましたが、真相は分かりません。

「見えに支障ない」と言うのであれば、シビアに違いの分かる男ではない自分にはまずもって問題ないでしょうし、もし市場に出回るとしても高めの価格設定になる可能性大です。「買うべき時は今!」・・・なのです。

 

ということで明けて8日、再振り込みしてきました。振り込み手数料も500円ちょっとしかかからず、何とか総額30万円内に収まりました。ラッキーです。

メーカーによれば、入金確認されれば10日{金曜日}にも発送可能と言うことでした。送り先は当然実家になりますが、その場合週末の土・日に届く可能性があります。

そうなるとちょっと具合が悪くなります。何となれば12日 日曜日はイオを実家に連れて行くことになっていて、その時に望遠鏡が届いていようものなら緊急事態です。早くご対面をしたいのはヤマヤマながら、ここはグッとこらえて週明けに届けてもらうようにしました。

それにしても今回のプロジェクトは怖いぐらいスムーズに事が進みます。これで後はED115Sとのすり替え作戦という大きなヤマ場を迎えるわけですが、うまくいくでしょうか。何にしても晴れてもらわないと遂行しようがないので、エセてるてる坊主への祈りの強さは、日増しに強くなってきた今日この頃です。

 

                            

 

 

<ドキドキすりかえミッション>

 

メーカーに到着日を週明けの15日にお願いし、一日千秋の思いで待つこと約1週間。望遠鏡来たぁ!!!と実家から連絡があったのは15日の朝11時ぐらいでした。それまでは会社帰りにちょろっと寄ってご対面するつもりでいたのですが、連絡を受けるや一刻も早く見てみたい気になりました。と言うことで、昼休みを狙って実家にGO。

行ってみると、おお、巨大な箱がでーんと座っていました。想像以上に長いです。

いくら家内が望遠鏡関係に無頓着でも、こんなにでかけりゃ一目で分かりそうです。オプション作戦として「箱だけ大きいヤツに変えて耐ショック性を高めたんだ」と苦しい言い逃れを考えておく必要があるでしょう。

早速中身を取り出してみます。ここのところED115Sに慣れていたせいもあって、持った瞬間ズシリと来ましたが、VC200Lと同じ重量と言うことであまり苦にはならなさそうです。

 

 

 

ホタロン全景: 実物は写真で感じるよりもかなり大きいです

対物レンズ:角度を変えて見ると拭き跡のような傷が分かります

 

 

鏡筒は艶のある白色で、なかなか悪くありません。メーカのHPで写真で見たときはデザイン的にイマイチだなと思ったものですが、実物は割とスタイリッシュです。フード部に色つきのラインがあればアクセントがついていいな、と思いますので、勇気があればいずれラインテープでも貼ってみましょう。

その他、感じた点は別にインプレ設けてそちらにずらずら書きたいと思います。

それにしても見れば見るほどこの大きさは壮観です。箱に加えて鏡筒もこんなにデカイと家内も分かるよ。オプション作戦その2として「昔買った望遠鏡がひょんなところで出てきたんだ」と、ますます苦しい言い逃れも考えておく必要があるでしょう。

 

ところで、先日のミッションで「すり替え作戦は18日土曜日決行」と予定していたのですが、こうして実物を見れば一刻も早くファーストライトをしたい気になりました。幸いにも届いたこの日は晴れ。「さぁ見てみんかい」と言わんがばかりの天気で、自分をアツク誘います。そして、これに乗るのが自分が自分で有り続けるもう一つの理由です。今日お持ち帰りしてみましょう!

 

その前に作戦を練らないといけません。要は家内の隙をついて持ち込めばいいわけです。家内がいない時間を作り出すにはイオにもご協力頂いた方がいいでしょう。すなわち今日はイオの風呂入れを家内にやってもらえばいいのです。イオの入浴に要する時間は約15分。頭の中でのすり替えのシミュレーションをした結果、持ち込み後の偽装も含めて5分もあれば完了することが分かりました。完璧です。

                         ますますせこくなってきている自分が悲しい

と思うのですが、それはこの際置いときます。

 

で、会社の仕事も終わり、いよいよすり替え作戦の時がやって参りました。実家のクルマ(スズキ Kei)を借りて、1mにも及ぶ箱を積み込み・・・、入らん!!横向きでは入りませんでした。後部座席を倒して、荷室の対角線上でギリギリ入るサイズです。やっぱデカすぎ。

家に帰宅後は、何気なく「今日は母ちゃんに風呂入れてもらえ」とイオに囁き囁き、そこはかとなく家内へのすり込みを開始します。先方は別段疑う様子もなく、「しょうがないなぁ」といった感じでイオを風呂に入れ始めました。滑り出し順調!

そして、イオのお風呂が始まったときから、いざ作戦決行!

 

部屋にあるED115Sの箱を小脇に抱えて駐車場まで走り抜け、Keiに積んだホタロンの箱と取り替えて、きびすを返してホタロン小脇に部屋へと舞い戻る。

不審な物音が立たないよう静かにドアを開け、抜き足差し足忍び足でホタロンを部屋に持ち込んで、ED115Sが置いてあった場所に慎重に(×3)ホタロンに置きかえる。風呂場から「そろそろ上がるよー」のコールが来ないだろうか!!額をつたう幾筋もの汗!!

ずれた位置を微妙に調整し、近くにあったシートを被せてお隣さん(赤道儀の箱)との境界線をぼかし、さらには念には念をいれよとばかりに、箱の上にあれこれ機材を置いて、ますます境界線を不明瞭にするという狡猾さ。

 

結果は何とシミュレーション通り5分30秒!満足げに頷く自分。

見計らったように「そろそろ上がるよー」と風呂場から上がるコール。「おーし、分かった−!」。じたばた暴れるイオの寝間着着せに四苦八苦する父ちゃん。。。。

緊張のすり替えミッションはここに完了を見たのでした。

 

 

 

<再びファーストライトテールライト>

 

夜が深まり家内もイオも寝入った頃、待望のファーストライトの時間です。架台の方は前々日から極軸を合わせた状態にしていましたから、この状態で載せてみることにします。

 

・・・ベランダ幅いっぱいいっぱい!!

 

左の写真のようなポジションにすると、フードがサッシあたりに、接眼部がベランダの柵に当たりそうなくらいギリギリです。

Project EDで予想していた事が今現実になっちゃいました。取り回しには相当気を配る必要がありそうです。

 

 

さぁファーストライトを迎えました。まずはシリウスを見てみることにしましょう。ED115Sのときもファーストライトはシリウスでしたっけ。縁が深い星です。アイピースを取っ替え引っ替えいろんな倍率で見てみました。んー、青いにじみはたしかに少なくなっています。その代わり何やら黄色っぽい色をしてますね。黄色いフィルターを通して見ているような感じで、ED115Sで見たときのような透き通った白とまではいかないようです。

星像の鋭さはED115Sと同じ感じで、ちょっと肥大している気がします。船長っのFS102のような針で突いたような鋭さは感じられません。シーイングのせいか、あるいはレンズの温度順応が過渡状態にあるのかもしれません。

 

次に北東方角に高く上がった土星を見てみましょう。・・・・・・・・・あれ?アイピースと壁の間に頭が入らない!!何と言うことでしょう。鏡筒が長いおかげで、星の位置によっては写真のようにアイピースがベランダの壁に接近して頭が入らないのです。これではToUcamでの撮影も難しいのではないか?あううっ!

ならば今日は土星を諦めて、程よく上がったマックホルツ彗星を見てみましょう。土星とは逆の南の方角に望遠鏡を向けます。・・・・・・・・・あれ?アイピースがサッシにくっついちゃった!!な、何と、逆に振れば今度はサッシに当たってしまうではありませんか。

あまり使いたくないですが、直角ミラーが必須のようです。

 

 

土星に向けたとき:アイピースが壁にほとんどくっついてます

マックホルツ彗星に向けたとき:今度はサッシにくっついた

 

そんなこんなで目が点になるような事態に遭遇したものの、めげることなく一通りはめぼしいものを見てみました。ただ、やっぱり何か撮影はしておきたいものです。

土星は無理なので、5時頃に起きて木星を撮ってみましょう。ED115Sで初めて撮ったときのあの感動が再び味わえるかもしれません。ということで、ホタロンはそのままベランダにセットしておいて、一時仮眠を取ることにします。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちゃん、・・・・・・・・・・父ちゃん、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・んー・・・・・・何よ?・・・・・・・・・・・イオが愚図ってるんか?・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・雨の降りよっよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・ふーーん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何ですと!!!!

 

飛び起きてみると、何と外から雨の音が聞こえるではありませんか!しかも雷のおまけまで付いてます。おいおいおいおい、ホタロン外に出しっぱなしだよ!!

幸いだったのは、雨がそんなにひどくなっていなかったので、ホタロンや赤道儀には何の影響もなく、三脚が少し湿った程度でしたが、20年前20cm反射望遠鏡を雨量計にした悪夢がよぎりました。

とんだファーストライトでしたが、これで超新星のようにわき上がったProject Hは完了の目処が付きました。予想通り取り回しにはかなり神経を配らないといけませんけど、いいんです。覚悟の上です。

 

あとは資金回収が一番の懸案ですが、これは後日の報告とさせていただきます。とりあえずモノセントリックアイピースは6850円で買って頂けました(^^

 

 

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